YOXO FESTIVAL 2023で展示をしてきた

Takuya Ichise
TAKUYA ICHISE
Published in
Feb 4, 2023

2023年1月28日に横浜で行われたYOXO FESTIVAL 2023で展示してきたので振り返りを書きます。

以前参加した際は大企業ブースの宣伝ブースが多くて物足りなさのあるイベントでしたが、今回は個人クリエイターが多く集まって、歯応えあるイベントになってました。

YOXO FESTIVAL 2023とは

横浜で毎年行われるイノベーション創出を目的とした交流イベントテックイベントです。

以前は横浜ガジェットまつりという名前で、ここ数年はコロナ禍で開催が中止になってました。

自分は前身の横浜ガジェットまつりを含めると今回が2回目の参加でした。

27日(金)と28日(土)の2日間に渡って行われたのですが、片方の日付だけ参加可能だったので、27日は不参加で28日だけ参加しました。

展示会場

YOXO FESTIVAL 2023は横浜みなとみらいの複数の施設を横断した分散型のイベントで、展示者ごとにブースが異なりました。私に割り当てられた展示ブースは横浜みなとみらい21プレゼンテーションルーム C37でした。

横浜みなとみらい21プレゼンテーションルーム C37
プレゼンテーションルーム内の様子

みなとみらい駅を出てすぐのクイーンモール内なので、一見すると立地は最高でしたが、駅を出てから会場に行くまでのルートが複雑で分かりづらかったです。

会場のクイーンモールと東急スクエアの境がないので、どこからプレゼンテーションルームに行けるかが分かりづらかった。

イベント開始前はお客さんが来るか他の出展者と心配してましたが、その心配は杞憂でした。お客さんがずっと入り口で待機状態になってて、1日中列ができてました。

C37はプレゼンテーションルームの入り口前の通路スペースで、プレゼンテーションルームへの入場を待つお客さんが列を作ってました。モバイル展示でブースを離れて展示可能な可能な自分にとっては、入場待ちのお客さんに作品を見てもらえるとてもいい展示スペースでした。

展示物

今回はkasanetariumさんと一緒に展示しました。kasanetariumさんは折り紙式メディアデバイスORIMEを展示し、私は球体型ロボット omicroを展示しました。

最初は床固定展示のomicro balloid | ARと自律型AIを用いた球体型ロボットの群制御システムを展示予定で準備してましたが、当日展示開始直後の会場の混雑を見て、思ってたよりも子供の数が多くてこの形式の展示を続けるのは難しいと思ったので、球体型ロボットomicroだけを使ったモバイル展示に切り替えました。

最初展示予定だったomicro balloid。iPad Pro上のARアプリで制御する仕組みなので、人が殺到してiPad Proの位置をずらされてしまうと、展示が成立しなくなる。

展示スペースのC37がプレゼンテーションルームへの入場を待つ人たちの待機スペースにもなってたので、列で並ぶ子供達を飽きさせないため手で球体型ロボットを操作するデモをメインで行ったのですが、プレゼンテーションルーム入場後に戻ってきて、また遊んでくれる子供も多く、この展示方法は結果的にやってよかったです。

展示振り返り

今回もKPTで振り返りをしました。

Keep

  • カサネタリウム 堀さんと久しぶりに同じブースで展示したが、学びが多かった。 展示時にブースが近いことが多いので展示内容や展示方法は把握してるつもりだったが、1日中横で展示したり堀さんブース不在時にブースでプロダクトの説明をしたら、新たな発見が多かった。
  • 集客の流れやお客さんとの距離感、興味を持つお客さんの層が違う。
  • お互いソロ展示者なので、 休憩や撮影、準備撤収が細かい調整なしで動けるのは楽だった。ソロで動ける人と展示するのはめちゃ楽。リーダーとフォロワーよりこの形が理想。
  • 折り紙型デバイスはプロダクトの説明がしやすい。ICなどのハード側の細部の説明を削っても通じるのはめちゃよい。自分のxR展示はソフトウェア的なものの説明が多いので、細部説明を削るとイメージが通じにくく通じにくい。 その辺りが課題。
  • 展示内容を途中で切り替えたのは結果的によかった。最初はxRを使った展示をメインでやる予定でしたが、小さいお客さんが多くて、展示内容が客層や展示スペースのサイズにあってないと思ったので、急遽2018年くらいの展示方法に戻して展示した。やりたい展示ができたわけではないけど、お父さんお母さんに急かされるまで30分以上ブースにはりついて遊んでくれてる子が沢山いたので イベント後の私自身の満足度はとても高かった。子供に楽しんでもらうため作品を作って展示してるので、これでいいし、こういう展示をもっとやりたい。
  • 横浜ガジェットまつりの時の客層を分析して人がまばらなので玄人向け展示が試せると考えてたが、蓋を開けたらバンコクと同じ客層だった。急遽手動パフォーマンスメインの展示に切り替えたが、それでよかった。お客さんが望むのがいい展示という考え方も正しいし、自分のやりたい展示をつらぬくのもそれもまた正解。今回は前者の日だった。
  • 手のモーションでボールを操作する展示は、AppleWatchアプリの完成度が低くて Maker Faire Shenzhen 2019くらいの頃は毎回切り替えで苦労してた。 その後毎展示ごとに進化を続けて復元機能の完成度が上がり、今回は瞬時にモード切り替えできるようになった。こういうのが地味に嬉しい。展示モードの切り替えのスムーズさ=展示の幅。切り替えをスムーズにして、今後も展示の幅を広げていく。
  • 球体型ロボットはスケールできるのがメリット。台数を揃えてソフトを切り替えて大規模展示を行えるし、削って機動力重視のモバイル展示にすることもできる。その特徴が発揮できた。
  • 単体や群で動かした時の解釈の幅が広い点と複合現実で情報を足せる余地が大きい点が球体型ロボットのよい点。人型ロボットや恐竜型ロボットの形状がいつも羨ましいけど、球体型ロボットにもいい点は沢山ある。
  • 混みすぎるとモバイル展示は埋もれて機能しないが、今回くらいの秩序ある混雑状態だと、モバイルで展示は力を発揮しやすい。

Problem

  • やりたい展示はできなかった。やりたい展示を押し通す強さも必要。
  • iPad Proを子供が動かすので、AR展示で使うiPad Proの位置が定まらなかった。
  • 展示プレートが字が滲んで読みづらかった。
  • Apple Watchがイベント後、バッテリ切れだった。ソフトウェアの調整が必要。
  • 球体型ロボットのNeoPixelがついたりつかなかったりした。
  • 機体のバランスが悪かった。フレームが外れないように固定具を作る。部品の位置がズレた時に検知できるように正常時と比較できるソフトを書く。
  • NeoPixelが調子悪かったが、Grove端子の接触緩みが原因だった。球体型ロボットのすべての機能を 一括でテストできるようにする。
  • UnityアプリでOpenCVで検出した地点に向かってAIロボットボールが移動しないケースが多かった。原因調べる。NavMeshで平面が検出されてたが、なぜか動かなかった。
  • 操作したいという子が多かったので、操作体験型とデモンストレーション型の両立を考える。自分の横に立って、触らせてくれオーラを出してくる子がいっぱいいた。オーラに負けてスマホを渡したら、自分の手元にしばらく返ってこなくなった。
  • UnityアプリとiOSアプリのBLEが安定しなかった。
  • 球体型ロボットのコンパスの値が反映されないことが多かった。
  • スタッフの方が安全面を優先する方で、xR展示のセッティングの重要さを理解してもらうのが難しいと感じた。理解があったら、xR展示できたかもしれない。

Try

  • iPad Proを固定しない展示方法を模索する。おそらくアジアの国での展示では固定展示は難しい。空間が狭いし、屋外だし、環境光の影響が大きい。床材も安定しない。
  • 子供向け展示と学術的な展示、どちらにも悩みがある。すべての顧客が満足する展示は存在しない。隣の芝生は青く見えるが、展示で何を実現したいのか見失わないようにする。
  • いい大人なので、半田付けを直前にやらないようにする。
  • Unityアプリのクラウドビルド環境を整える。実機ビルドに時間使いすぎてるし、毎回ビルド時にエラーが出る。
  • Unityアプリ単体でタップした箇所にロボットボールを移動できるようにする。ゲームコントローラを表示できるようにして操作できるようにする。
  • 長めのType Cケーブルを購入する。
  • モバイルでUnity展示をやる。通常展示からシームレスにxR展示に切り替える。シートに依存しない展示。
  • Unityアプリの設置物の復元機能を用意する。再起動のたびにセッティングはめんどう。
  • 反転しても球体型ロボットの部品が脱着しないようにする。
  • Macbook Airはいらない。ノートPCを展示会で広げると移動範囲が狭まるので、持ち味が発揮できない。
  • xR展示
  • モード切り替えまでの手際が悪いので、状態を見える化する。
  • OpenCVモードのテストのため、テスト用のボールを用意する。いろんな環境で試す。
  • ちょっとだけomicro balloidの話をしたけど、なぜAI構築のため拡張現実が必要なのかの話やAIの学術的な成り立ちの話が長すぎるし、球体固有の環世界の掘り下げが全然できてないので、次はユクスキュルの生物から見た世界を読む。
  • 球体型ロボットは感覚器官(センサ)が実装しにくい構造なので、それを逆手にとって感覚器官を拡張現実で追加すると話をしたけど、実際やってるのは情報のオーバーレイじゃなくて、デジタルツインで球体の環世界を拡張してからそれを現実に複合してるので、MRの方が説明正しい。MRと説明する。
  • 球体は環世界設計の指針となるものが少ないと思ってたけど、自然界には球が溢れてるので実は球体固有の環世界は人型ロボットよりずっと分かりやすいのかもしれない。1番原始的な形だから、コミュニケーション手段がシンプルになりそうだけど、そこにARで環世界を拡張する理由が産まれる。
  • 群行動の時に、群の形状に合わせて生き物を模した環世界をデジタルツイン上に作ってあげて、感覚器官をロボットに複合する。
  • 起動画面を復活させる
  • どこで問題が起きてるか、情報を集約して、分かるようにする。
  • OpenCV検出箇所のサイズを立方体にして奥行きをわかりやすくする。球体だと奥行きがわからない。

最後に

会場やお客さんにあわせて展示内容を急遽変更したので、やりたい展示ができたわけではないけど、お父さんお母さんに急かされるまで30分以上ブースにはりついて遊んでくれてる子が沢山いたので、展示後は充足感がありました。

子供達に楽しんでもらうため作品を作って展示してるので、これでいいし、こういう展示をもっとやりたいと思いました。

「子供の姿が見えなくなったので、もしやと思ってここにきたらやっぱりいました」と言われたのがこの日のハイライト

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Takuya Ichise
TAKUYA ICHISE

🗻Engineer, Maker 🎥http://youtube.com/@tichise