チームをノームする

こんにちは、UXデザイナーの神谷です。

いきなり「ノーム」という見慣れない・聞き慣れない言葉が登場していますが、「ノーム」とは、ちょっと前に流行ったノームコアのことでも、妖精のことでもありません。

「ノーム」は、英語表記では”norm”、normalの語源で、「基準、規範」というような意味合いで使われ、チームビルディング理論でよく使われる単語です。

私はTigerspikeに入社したての頃、ひとつの壁にぶち当たっていました。

Tigerspikeでは、文化も、仕事の進め方も、メンバーのパーソナリティも、いままで働いた会社と違うことだらけ、謎だらけ、ということで当惑していました。付け加えて、当然ながら逆の視点で見れば、他のメンバーも自分のことをどういうパーソナリティの人であるかわからず、同様に、対応に困っていたという状況もあったかと思います。

そこで、この「相互理解の溝」みたいなものを埋めるための方法として、「ノーム」を応用し最小のチームビルディングをしてみたので、今日はそれについて書いてみたいと思います。

最小のチームビルディング?

「チームビルディングは、プロジェクトを遂行する上でとても大事である。」と良く言われますが、チームとは何でしょうか?

Wikipediaによると、

チーム: team)は、共通の目的、達成すべき目標、そのためのやり方を共有し、連帯責任を果たせる補完的なスキルを備えた少人数の集合体を理想とすることがある。実際には、チームといっても目的、目標、やり方は指導者から与えられただけで、変更権がなく共有できていないことがある。

と書かれています。

多くの場合、「達成すべき目標を共有し、補完的なスキルを備えた少人数の集合体」ぐらいの認識がしっくりくるのかなと思います。当然、プロジェクト・メンバーというのはチームですが、それ以外にも、企業理念に基づいて一緒に仕事をする会社のメンバーというのもチームと言えそうです。また、これをやや拡大解釈して、会社の構成メンバー間それぞれの関係性というのも、同じ会社で目標を共有して仕事をしている以上、チームと言えるのではないかと思います。

ここで重要なのは、目標を共有しつつも、ひとりひとり違う個人が集まっている、という点です。当然のことながら、ひとりひとり個性があり、思考のプロセスや、仕事の仕方、心地よいこと、されたら嫌なこと、こだわり、etc…は異なります。目標は同じでも向いているベクトルが違うということは往々にしてあります。こういった、方向がバラバラのベクトルの向きを揃えていく作業が”Norming”です。

“Norming” = チームをノームする

アメリカの心理学者のBruce Tuckmanが1965年に発表した論文の中で、様々な組織を分析した結果、チーム形成の段階には、Forming, Storming, Norming, Performingの4段階あると述べています。現在この考え方はタックマンモデルと呼ばれ、様々なチームビルディング理論の基礎となっています。

詳細な説明はここでは省きますが、簡単に説明すると、プロジェクトなどで、スキルや属性に基づいて、ただメンバーが寄り集まりチームが立ち上がった段階 (第1段階=”Forming”)は、チームとして正しく機能しておらず、コンフリクトが起こりがちです(第2段階=”Storming”)。そこからさらに、チーム内での規範ができ、コンフリクトなく、より良くチームが運営されている状態が第3段階のNormingです。

タイトルにある「チームをノームする」とは他ならぬNormingのことですが、これをチームビルディングとして行う場合、チームとしての「規範」を作り上げることがそれに相当します。Normingで行うことは、チーム内でのメンバーの役割や責任だけでなく、それぞれのワークスタイルや、暗黙に期待していることを明文化し、そのチームの決めごと(規範)として定める、ということです。

具体的な例としては、たとえば、私のワークタイムは10:00–18:00まで、毎朝朝礼をやる、一日の中で必ずプロジェクトのタスクを最低2時間は進める、昼食は必ず摂る、コミュニケーションの方法としてそれぞれの出来ていない事があったらはっきり言い合う、、、などなど。プラクティカルなことからマインドセット的なことも全部一緒にして書き出していきます。それを眺めながらチームとしての規範を定め”Team Norms”とし、それに基づいて行動することで、チームがより良く機能する状態になります。

全員での1対1の”Norming”

私が入社したときにはまだTigerspikeは17人しかいなかったので、3週間ほどかけて、社員全員と、30分ずつ、1対1でNormingを実施しました。通常は3人以上で行うものなので、1対1で行えるようにアレンジしたワークを作成してみました。このワークをTigerspike Normingと名付けました。

今回作ったTigerspike Normingのプロセスの一部を簡単に紹介すると、

1, Tigerspike Normingでは、「Tigerspikeで働く上で大切にしたいこと」をそれぞれポスト・イットに書き出してもらう。

2, 相手の書いたポスト・イットから、自分が最も共感するものを2枚選びます。

3, Tigerspike Wayという弊社の行動規範の中で、最も共感するものを一枚選んでもらいます。(Tigerspike wayについてはこちらの記事を参照。)

4, 最後に、tigerspike wayと二人で選んだ「大切にしたいこと」ポスト・イットを元にして規範のセンテンスを作ります。

ポイントとしては、プロセスを通して、相手がどういうことを考えているかを知ることができるということと、4番目のプロセスで一緒に規範を作りワークシートを完成させることで、それが、この最小のチームで作り上げた最初の成果物となって印象付けられ、後から見返したときにも関係性の構築のために役立つコンパスとして機能します。

全員と実施したTigerspike Normingのイメージ(全体的に若干ぼかしています)

通常は3名以上のチームで行う”Norming”ですが、今回は1対1の最小のチームで実施して、なかなかおもしろい結果になったので、紹介させていただきました。最後になりましたが、Tigerspikeの良さは、この取組のように、成果が良くわからないワークのトライアルでも、社員全員、面白がって協力してくれる、ということかなと思っています。

最後に

現在Tigerspikeでは、一緒に楽しく働ける仲間を募集しています。詳細は、弊社HPGreenもしくはWantedlyをご覧ください。ご応募お待ちしています!

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