デザイナー対談

海外のデザイン教育とこれまでのキャリア、デザイナーマネジメントについて

Shunsuke Kawai
Tigerspike Tokyo Blog
9 min readJul 31, 2019

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こんにちは!TigerspikeでUX Designerをしている川合です。

現在、東京には10名のバックグラウンドが異なる様々なデザイナーが在籍しています。デザイナー対談は、各々のデザインに対する姿勢や取り組み、考え方や価値観について1on1で話してみたいと考え始めました。1人ずつお話を聞きながら、根掘り葉掘り聞いてきます。

今回は弊社のLead UX Designer の “Ayaya” こと堀口綾さんと私の対談をお届けします。

川合:それではまず、Ayayaの簡単な自己紹介をお願いします。

堀口:タイガースパイクでは、UXリードというポジションでクライアント業務からデザイナーのマネジメントまで幅広く携わっています。国内外の事業会社を含む数社での経験を経て、2016年10月からTigerspike Tokyoにジョインしました。海外の大学でプロダクトデザインを専攻するうちにUXの領域で仕事をするようになり、現在は海外発であるXD(Experience Design)の考え方が日本社会にどう当てはまるか模索中です。

海外でのデザイン教育とは?

川合:さっそくですが、Ayayaは高校・大学と海外で過ごされていますよね。日本人のデザイナーの中ではかなりユニークな存在だと思うのですが、どんなことを学ばれていましたか?

堀口:私が通っていた大学は、美術大学ではなくコンピュータサイエンスの領域で知名度の高い総合大学でした。その中でプロダクトデザインを専攻し、UXデザインの領域について学びました。学内の競争も激しく、心理学とコンピューターサイエンスの2つを専攻している学生がいたりと、様々な領域の分野を横断し切磋琢磨する文化でした。

そして、先生たちの求めるレベルは非常に高かったですね。アメリカの大学は成績が落ちたら退学させられてしまうため、プレッシャーもあります。そんな環境の中でデザインに関して一から叩き込まれました。1年生の時はタイポグラフィや立体成型などデザインの基礎を学び、2年時からは、プロダクトデザインかグラフィックデザインかを選択します。2年目以降は、演習主体でしたね。デザインリサーチの授業も2年目からでした。実践を通して、様々な手法を学びました。

デジタル領域に関しては、インフォメーションアーキテクチャの第一任者でProcessingの生みの親でも知られる Ben Fry 氏による講義など、様々な企業の方や学生とコラボレーションしましたよ。

デザイナーマネジメントのやりがいとは?

川合:そんなバックグラウンドがあったんですね。現在はTigerspikeでどんなお仕事をしているのか教えてください。

堀口:タイガースパイクでは、UX Leadというポジションで、30%がデザイン業務、40%が各メンバーへのデザインレビュー、残りの30%が私のチームのマネジメントになります。最近はマネジメントにもやりがいを感じています。レビューしているメンバーの成長を見られるのは嬉しい瞬間ですね。これまでは、クライアントと自分の関係性しか見ていなかったけれども、マネジメントに携わるとそこを見つつチームメンバーとクライアントのやり取りや関係性も観察し、周りをみるようになりました。メンバーの得意や不得意を考慮しつつ、適切なフィードバックの方法を考えています。

全ての仕事を手取り足取り管理するのではなく、メンバーがチャレンジしながら成長できるようにフィードバックするのは難しいけれども、奥が深いなと感じています。

メンバーとコミュニケーションする際に心がけていることは?

川合:コミュニケーションする際に、心がけていることありますか?

Ayayaはクライアントから海外のメンバーまで様々な人と上手くコミュニケーションしながらプロジェクトを進めているなと感じています。

堀口:以前までは用もなく話かけるのは正直得意じゃありませんでした。しかし、マネジメントするようになって目的の決まったレビュー以外でもメンバーが何か悩んでいないか会話するように心がけています。あとは週一回の1on1(個人面談)の時には、プロジェクトの進捗ではなく、キャリアや年間ゴールなどについて話すようにしています。この点は、グローバルオフィスでも意識していることですね。プロジェクトではなく、そのメンバーに対してしっかりと向き合うことが大切ですね。

川合:上司が1人1人のメンバーのキャリアに向き合ってくれることは、タイガースパイクの良いところだと私も思います。キャリアについては長期的な視点で議論することが多く、今後どんなスキルを身に付けたいか、それが今の仕事の延長で達成できるのか、そのキャリアを目指すことが会社の為ではなく、自分の為になっているのかを上司と一緒に毎週時間を確保して考えられることは、充実した時間だなと感じています。

キャリアについて考え方は?

川合:先程、キャリアについて話題になりましたが、どんなことを考えて転職を経験してきましたか?

堀口:私はこの会社に何年、居続けるのか?という視点を常に持ってキャリアを考えていますね。日本の光学機器メーカーにUIデザイナーとして入社し、数年後にグローバルの案件に関わりたくて韓国の家電メーカーに転職しました。入社当時はUIデザイナーでした。その後、戦略も考える部門に異動したことでUXの業務にも関わり、様々な経験をさせてもらいました。プロダクトやサービスを展開する上では、その地域の文化や価値観を知ることが重要です。在籍中は地域専門家制度を利用してフランスに滞在する経験もしました。この他にも外資コンサル会社でUX Leadの経験もしました。

川合:家電メーカーからコンサルファームまで幅広く経験されているんですね。各企業でデザイナーの役割や責任が違う中で、どんなことに苦労されましか?

堀口:役割や責任の違いはありますね。特にコンサル時には、コンサル側で答えを作って提案することが求められました。そこでは、UXデザインへの理解を浸透させるまでが大変した。例えば、5人にインタビューして何が分かるの?ってすごい聞かれるわけです。もちろん定量調査で数千人にアンケートを取ることもできるけど、それとは全く違う成果や結論が出てくることが理解されづらかったです。関わったサービスの主が新規事業の提案だったこともあり、事業に対していくら売り上げられるのかも含めた提案をする必要がありました。しかし、仮説の積み重ねになってしまい、なかなか自分が腹落ちする答えを出せなかったところが難しかったです。

川合:ズバリ、タイガースパイクに転職したのはなぜですか?

堀口:お客さんと一緒にプロジェクトを進められることですね。必ずしも私たちが答えを持っている訳ではない、ということを前提としてスタートできることが重要だと思います。お客さんと一緒になって議論し、ユーザー視点でプロジェクトを進められることができます。

また、面接した時の話ですが、初対面でUXデザインに対する価値感や文化が合っていると感じました。会話のレベルが高く驚いたことは印象的です。例えば、ペルソナとは何か?といった話をいつまでも議論するのではなく、ペルソナを使った上で何をするか?どんな作り方をすると効果的か?といったプロジェクトを前進させるための議論をこの会社なら建設的にできそうだなと感じたんですよね。

最後にどんな人と働きたいですか?

川合:ありがとうございます。最後に、Tigerspikeのメンバーの特徴って何でしょうか?

堀口:良い意味でみんな不器用なところですね 笑

1人に頼っているのではなく、それぞれの良さを出しつつ補い合っているところですね。誰かをスタープレーヤーとしてブランディングするのでなく、苦手なところも含めてオープンにしながら働いています。周りを見て、似ている人がいないのも面白いですよね。

川合:最後にこれからのデザイナーに特に求められることは何でしょうか?

堀口:先日の社外の方も招いたイベントでも話題になったように、組織やブランドにPurpose(目的意識)があるかないかは、人の仕事にも当てはまる大切なことだと思っています。企業レベルで成し遂げられるPurposeは個人のレベルとはスケールが違うので、真剣に考えている企業こそ、この先ビジネスに関わらず大きなインパクトを社会にもたらすことができると感じます。そういう会社こそ、持続的な成長ができるはずです。デザイナーも同様に企業のPurpose にコミットすることが今後はより求めれると思うので、応えられるようにしなければと感じています。

川合:まだまだ話足りないのですが、別の機会にまたお願いします。ありがとうございました。

Tigerspikeには、様々なバックグラウンドを持つユニークなメンバーが沢山在籍しています。引き続きデザイナー対談を通してご紹介できればと思います。
私たちのビジョンに共感し、一緒に働いて頂ける方を募集しています。この記事に少しでも興味を持って下さった方は是非、気軽に一度オフィスに遊びに来てください!

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