日常にデザインプロセスを取り入れる

こんにちは、TigerspikeでUXデザイナーをしている田屋です。

夏らしい暑い日が続いたかと思えば、バケツをひっくり返したような豪雨が時折襲う東京。そんな夏本番に入る少し前、「UX JAM」というイベントでライトニングトークにスピーカーとして参加させていただく機会がありました。

5分間という短いトークセッションの中で、何を話そうかな、、といろいろと悩みながらも、「〜最近引っ越したUXデザイナーが考える〜引っ越しプロジェクト」というテーマで、私が引っ越しを通じて生じた課題に対し、実際にデザインプロセスを用いて整理したお話をさせていただきました。

実際のセッションでは、

  • 環境も整っていない中、突然計画もなしに犬を衝動買いしてしまったこと
  • 窓がない家に5年近く住んでいて、健康的に光がある生活がしたいということ

そもそもの引っ越しの(実にくだらない)きっかけからはじまり、引越し前、引越し中、引越し後。直面したさまざまな課題に触れ、その中の一つ。

引っ越して環境が変わることにより、生活をする上で新たに必要なものが多々発生し、全て購入・対応しているととてもお金も労力も際限がないため、課題をまとめ、解決方法を整理するためにデザインプロセスを取り入れました。

実際に、住環境に関わる「住民」によるワークショップを行い、ユーザーストーリー(◯として、◯◯したい。なぜなら、◯◯できるから)を用いて課題を抽出・整理し、その課題を解決するアイディアを更にアイディア出し。

具体的に整理されたアイディアを、

  • 住民である利用者のニーズの高/低
  • 実際に解決するためにかかる金額と人的コストの高/低
  • 今ある家具を大幅に捨てなければならない、など影響範囲の広/狭

大きく3つの指標で優先順位付けを行い、最終的にバックログのような形で整理し、優先順位の高いものから対応し、ひとまずの第一フェーズとしてはこの引越プロジェクトは終焉を迎えました。

実際に今回「引越しプロジェクト」を通じて日常にデザインプロセスを取り入れ、とても良かったなと感じたことは、先入観なしに、客観的に整理や対応すべき課題の優先順位付けができたこと。

「常識的にこれは家に必要だから買わなきゃいけない。」や、「私がこれ欲しいから!」という考え方ではなく、より生活者の生活とニーズに合った、「あるべき不自由のない住空間」を実現するために必要なものという考え方で整理することができました。

デザインプロセスを用いることによる4つの良い点

  1. 客観的な視点で分析・整理できること
  2. なにが課題なのかそもそもわからない状況にも有効であること
  3. ビジネスの種類や役職、参加者など環境を選ばないこと
  4. 一体感を構築し、あるべき方向性が明確になること
  5. 客観的な視点で分析・整理できること

個々が持つ固定概念、一般常識、鶴の一声や、かかあ天下などの声が強い/弱い、多数派/少数派に関わらず、客観的な視点でその課題を見つめ、整理し、新たな視点で解決をすることができる。

だからこそ、今まで考えつかなかった新しいアイディアへとつなげることができる。

2. なにが課題なのかそもそもわからない状況にも有効であること

課題が複雑化し、表面上には現れていないが漠然と課題感を持っている状況でも、その解決すべき課題がどこにあるかから考えることができ、解決すべき課題を抽出できる。

3. ビジネスの種類や役職、参加者など環境を選ばないこと

さまざまな種類のビジネスや、部署や役職、参加者のリテラシーの高さ/低さなど、環境を選ばずに直感的にデザインプロセスを通じてアイディアを考え、可視化し、整理できる。

4. 一体感を構築し、あるべき方向性が明確になること

デザインプロセスでは、繰り返し、考えやアイディアの可視化を行います。

言葉や考えを可視化することにより、皆が目で見てそれがどのようなものなのか理解することができ、そして議論することができます。

これまで、同じ認識だと思っていたことも、可視化することにより認識のずれを減らすことができ、共通認識を創りだすことにより、あるべき方向性がより明確になり、チームとしての一体感を構築し、あるべきプロダクトの開発に向けてのぶれることのない土台をつくることができる。

デザイン思考とは、決して新しいものではない

2004年頃から注目を集め、日本でもここ数年でよく聞く言葉となった「デザイン思考」。

IDEOが提唱し、AppleやGoogleなどさまざまな企業が取り入れていることから、とても先進的で新しいものという印象を受けるかもしれません。

確かに、一つのフレームワークとしてそのプロセスが定義され、提唱されたのはここ最近のことかもしれません。

そのため、そのプロセスや手法のみが注目されがちな「デザイン思考」ですが、本来「デザイン思考」とは、考え方であり、決して新しいものではありません。

「デザイン」という言葉は、「見た目」を創る、飾る、という「装飾」の印象が強いため、誤解されがちですが、本来「デザイン」という言葉は、課題解決そのもの。

私たちが生まれていないずっとずっと前の時代から、生活する人々の課題を解決するため、狩猟の道具として弓矢や槍、生活の道具として土器など、さまざまなものやコトが「デザイン」により創られてきました。

そんな時代から、近年。モノは溢れ、課題解決のモノやコトづくりよりも、いかに既にあふれたモノを知識や技術を使って創るかが重視されてきました。そして、技術だけが先行し、本来なにを解決してくれるのか、なんの目的だったのかを、ものやコトづくりにおいて、見失いがちになっています。

そんな見失いがちな「今」だからこそ、さまざまな課題に向き合い、新たな視点で普段なかなか気づかない何かを気づかせる手段であり、新しい価値を創るためのプロセスをフレームワーク化した「デザイン思考」が注目されているのだと思います。

新しいもの、難しいもの、と考えてしまいがちな「デザイン思考」。

こうでなければならないという決まりはありません。

難しく考えず、日常生活のちょっとした悩みに取り入れてみると、意外な発見があるかもしれません。

さいごに

私たちTigerspikeでは、「We improve people’s lives through technology」というミッションの元、最先端のテクノロジーとデザイン思考をベースとしたユーザー体験設計を掛け合わせ、クライアントとその先にいるユーザーの生活を、より楽しく、より簡単なものへとデザインし、変革することを追求し続けています。

そんな一緒にデザインを追求し続けられる仲間を募集しています。
詳細は、弊社WEBサイト、もしくはGreenをご覧ください。

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タイガースパイクは、人間に寄り添うデジタル・プロダクトを開発するグローバル企業です。 洗練されたUXアプローチと最先端のモバイルテクノロジー、独自の合意形成ノウハウを組み合わせて本物のデジタル・プロダクトを提供できる、世界でも数少ないプロフェッショナル集団です。 現在、世界12拠点で事業展開しています。