プレゼンテーションは“自分の言葉”で

「東京工業大学エンジニアリングデザインプロジェクト」にアドバイザーとして参加しています、Conceptual Artistのヤナギ ハルヤスです。私の興味は、ArtやDesignを通し、人々がそれぞれの中に本来持っているPOTENTIALに気付き、自らの人生を豊かにすることにあります。さらには社会全体がSustainableかつSincereな豊かさの循環の中にあるのを目撃したく活動しています。

今回の記事では「方法論以外でプレゼンテーションを魅力的にするには?」をテーマに実践の場での経験から見えてきたことを綴ってみたいと思います。

Taken by Haruyasu YANAGI in New York, Brooklyn

先日、学生のみなさんのプレゼンを聞いていて、私の中に何かモヤモヤとしたはっきりとしないものが充満しているのを感じました。心に響いてこない、頭では理解しているつもりでも、言葉が上滑りしている、腹の底に伝わらない。そんな感じです。しばらく内省していると、それは“熱”や“思い”であることに行き着きました。何かを伝えたい、共有したい。「自分はこんなことを考えているんだよ!」「こんな面白いことがあるんだよ!」そんな思いです。たとえば、子供の頃に初めて見た動物や昆虫のことを夢中になって友達と話したり、一日の出来事をご飯を食べるのも忘れてご両親に伝えたりしたときみたいに。

2016年12月の初めだったでしょうか。私たちのグループが情報共有に使っているSlackで、メンバーそれぞれに「ミドルネーム」をつけていたことに先生が反応して下さり、授業の初めのアイスブレイクの題材として取り上げて下さったのは。あの時、その意味まで詳しく伝えることはあえてしませんでしたが、少しその部分に触れてみたいと思います。

Slackでメンバーにつけた「ミドルネーム」

EDPの前半が終わろうとしていた頃、私はグループのまとまりについて考えることがあり、11月の終わりのミーティングでリーダーシップについて取り上げました。リーダーシップについての考え方を共有する中で、メンバーの一人ひとりが能力を最大限に活かすには、一人のリーダーが先頭に立って引っ張るピラミッド式ではなく、一人ひとりがリーダーシップを発揮する方法が必要だということに気づきました。そして、一人ひとりがこれから経験してみたいこと、それぞれの得意分野、他者から見て優れていることなどから、各部門やトピックごとにリーダーを決めていきました。それと同時に、全体をまとめる「要のリーダー」も設定しました。例えるなら、たくさんの小さな輪を包む大きな輪のイメージです。それを対外的かつ自分に対して宣言するのが「ミドルネーム」だったのです。

また、この時に気を付けたのは、責任は押し付けるのではなく「自分から選び取る」ということです。そして、もう一つ肝心なのが、いつでも他メンバーに助けを求めても良いし、white flagを振っていい、やれない時は皆んなでやる、ということでした。そうすることによって、自発的な参加精神、アイデアが入ってくるゆとりが生まれ、変わり続ける状況の中でいつでもその時点での最善を選ぶ経験をすることができるからです。

もうお気づきと思います。私がプレゼンで感動するのは、講義を通して自分が興味を持ったことや、プロセスの中で発見したこと、それらが“自分の言葉”で語られた時なのです。自分だからこそ熱く語れる、人はそんな目には見えない“思い”を受け取り感動します。それは、感動とプロダクトの質/論理が共鳴する瞬間です。同じようなプロダクトやサービスが並んでいる時、他と差別化し、より人の心を惹きつけることができるかは、そのようなところにあるのではと思います。

The choice is in your hands!

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