ユーザーに答えを求めてはいけない

エンジニアリングデザインプロジェクト(EDP)のファシリテータの一人の竹田陽子です。今年も楽しい1年間を過ごさせていただきました。

さて、EDPの参加者の皆さんにはいつもユーザーインタビューをもっとしろしろと迫っているのに矛盾しているようですが、新しい発想を得るためにユーザーにインタビューをするときは、ユーザーに答えを求めてはいけません。

高校生ぐらいまでは、大抵の問題には正解があって、答え合わせができます。皆さんはもう十分わかっているかと思いますが、「これで合っている?」という感じで先生の顔を伺われても、新しいものを作り出すときには当然正解なんてないから無意味です。

授業では答えを求められても先生はユーザーではないからね、という言い方もされますが、それは正確ではありません。ユーザーでも答えは知らないのです。

市場調査の世界では、まったく新しいものを出すときは、ユーザーの声を聞いてはいけない、という考え方すらあります。既存のやり方のバリエーションで解決する問題ならばユーザーは答えを知っていますが、新しいもの、ユーザーが意識していない潜在的なニーズに関しては、ユーザーでも正しく評価できないのです。

ユーザーにインタビューするのは、創り手が「インスピレーションを得るため」。これに尽きます。

創り手の発想は自由といっても、独りよがりのソリューションはユーザーに受け入れません。何が独りよがりで、何が独りよがりでないのか、区別は実に難しいのですが、少なくとも最終的なユーザーに関係がある人、場所、モノに数多く、そして時に深く触れることで独りよがりでない何かになる可能性が開けます。

ユーザーが何と言ったかも大事ですが、ユーザーと話すときに皆さんは言葉以外のニュアンスや、その場の雰囲気など多くのものに同時に触れているはずです。それらを全体として感じて発想して欲しいのです。

また、同じ人、場所、モノに触れてもグループの他のメンバーの感じ方はきっと違うことでしょう。一人一人違う感じ方を互いに理解しようと、言葉や絵やプロトタイプなどさまざまな方法を尽くして表現しあうことが独りよがりにならず発想を深める特効薬になります。一人ではなく、チームで発想する一番の意義がここにあります。

街角で見かけたモノからストーリーを発想する