2016EDP参加学生 博士進学組対談

おはようこんにちはこんばんは。2016年度EDP(エンジニアリングデザインプロジェクト)に参加していた東京工業大学経営工学系修士2年の奥出です。

EDPに参加していた学生の中にも博士に進学することを決意した人たちもいます。そんな彼らの考えていることを好き勝手に喋ってもらいました。お昼休憩のお供にでもお読みください。

-田尻・阿多の午後のひととき-

仲良しな二人は不意のポーズも同じ

阿多誠久:工学院機械系エンジニアリングデザインコース所属。学部時代は芝浦工業大学に所属していた。EDPのメンバーみんなをまとめてくれる頼れるにいちゃん的な存在。だと思う。

田尻陽亮:工学院機械系エンジニアリングデザインコース所属。EDPで彼女を作った「誰よりもEDPを理解している男」。よく恋愛アドバイスをしてくれるが正直あまり聞いてない。

奥出「それでは録音開始させていただきます!今日は二人には自由に話してもらいたいなと思います。っていうのも、博士に進むのって東工大でも割と少数派な選択しなわけで、その選択って何がきっかけだったのかとかそういう部分を聞きたくてですね。そんなことについて自由に話しといてもらいたい。あと、もう一つ聞きたいのは、そんな二人にとってEDPってどんな場だったのかなってのも聞きたいかな。基本的にはオレは会話には入らないから二人で自由にどうぞ!」

田尻「なるほどねー、まぁオレは中学生くらいから博士に行きたいって思ってたかなぁ」

阿多「オレはね、大学4年くらいから考えてたのが、修士終わったらアメリカ行こうかなって思ってた。でも、EDPで面白い人たちに会えたから、日本でもいいかなって考えが変わった。で、そのタイミングで早期卒業の話ももらって、日本にいるメリットもあるし、日本に残ろうって思った。早期卒業しちゃうと他の大学もいけないし、修士卒で就職もできないし、半年くらいは悩んだけどね」

田尻「あぁ、修士の早期卒業ってそんな感じなんだ。それで何が最後のきっかけで決心したの?」

阿多「んー、アメリカの大学も見に行ったんだよね、2.3校くらい。設備もちゃんとしてる、学生のレベルも、修士学生のレベルは非常に高い。日本の学生は比較的やる気ないし、レベルが高いってのは明らかなんだよね。でも、日本の学生は高校までは頑張って大学で遊ぶ、アメリカの学生は高校まではなぁなぁで生きて、大学入ってから死ぬ気でやるってのがあると思うんだけど、そういう環境で、大学入ってからもめっちゃ頑張って、日本の中でトップになるってのは一つ選択肢としてありかなって思った。その中で考えたのは、じゃあ日本で自分の望むところまで本当にレベルが上がるかって考えたの。自分次第ではあるけど、『じゃあ一年間は留学行こう』ってのも決めた。これは絶対。まぁそんな感じかなぁ。可能性ってのはいくらでもあるし、絶対に外に行けって人もたくさんいた。でも、誰かが言ってたからそこに決断するってのはオレは絶対に間違ってると思ってて、さらにみんなの間を取ろうってのは特に間違ってる。それぞれが信念をもって出した発言を、無駄にして受け取るのは本当によくないっていうか…」

田尻「それはまさにそうで、自分のやりたいようにやるってのが一番大事でしょ」

阿多「この前他のプロジェクトにも誘われて、でもそれは断ったんだよ。やりたいことを考えたら、全部はこなしきれなくて。本当にそこも素晴らしいんだけど、、、藝大でのデザインプロジェクトにも参加したりして、もちろんEDPでもいろんな人と一緒にやったりして、ここまでいろんな人とコラボレートしてきたと思う。これってすごい意味のある経験だったと思ってて、オレはこういうことを続けていこうって思ったの。でも、それって全部はできないんだよ。例えば、マーケティングに力を入れることは今のオレに必要なのかって考えたときに、それは社会に出てから勉強すればいいなって思ったり。誘われたプロジェクトではアイデアっていうのをどんどん”飛ばして”いく、そのジャンプの高さを上げていくことを目的としてやってるって誘ってくださった方から説明を受けたんだけど、でも、そのジャンプの大事さってオレはEDPですでに気づいてるなって思ったから、だったら改めてそのプロジェクトに参加する必要はないなって思ったんだよね。それはオレが次にやることではないなって。もしやりたいって思っても、今できた関係性を使って、プロジェクトに参加でもすれば学べるし。だから断った。どこかからプロジェクトを与えられる状況って楽だとは思うんだけど、それはオレは後悔するかなって思った。自分からプロジェクトを持ってきて挑戦をしていくってのを博士にいってからはやりたいなって」

田尻「じゃあ、阿多は博士の先でどんな人間になりたいの?」

阿多「日本の学生って、特に理系の学生って、スペシャリストになろうってするけど、オレはそうはなるつもりはないんだよね。スペシャリスト的な能力も必要だとは思う、専門性も必要だとは思うんだけど、同時にジェネラリストである必要もあるなって思ったんだよね。それこそが博士に進む日本の学生がこれから目指すべき像だってオレは思ってる」

奥出「よくいうT字型とかπ字型とかいわれてるそういう人材だよね。わかる」

阿多「そうそう。オレは絶対にI字型にはなってはいけないと思ってる。なんでかっていうと、一人の人が一つの産業を支える時代はもう終わったんだよね。例えば、プロジェクトXで取り上げられるようなすごい人がいて、その人が革命的な技術を発明して、その技術で産業が発展していくみたいな、そんな時代はもう終わったと思うんだよ。どうしても今は、様々な領域を掛け合わせないと新しいものなんて生まれない時代になってるんだよね。ピュアな技術だけでは勝てないんだよ。だったら、専門性を活かしたいなら、横の拡がりも持たないと。広い知識があって初めて、専門的な縦の深い知識が意味を持つんだよね。きっと。ただ深いだけの知識は、見向きもされずに時代の犠牲になってしまうと思うんだよね。深さは重要だけど、深けりゃいいってもんじゃないから。理学の研究者とかは『もしかしたら100年後に意味のあることを見つけた』とかでやってるかもしれない。そういうことだって素晴らしいけど、オレはそうじゃないなって」

田尻「オレらは工学屋だしね」

阿多「そうそう。オレは工学屋として生きていきたいから、だったらせめてオレが死ぬまでに、自分が考えた技術は形になってほしい」

田尻「へー。その点に関してはオレはそうは思ってないな。自分の技術や夢が形になるのはどうせ死んだ後だろうなってオレは思ってるかな。あ、そういえば、日本かアメリカかは別として、阿多が博士に行くってことを決めたのはいつなの?」

阿多「大学4年かな」

田尻「それは、もし院試で東工大に落ちて、芝浦工大のままでも博士にはいくつもりだったの?」

阿多「そうだね。でも、もしそうなってたらオレはアメリカに行く決断をしてたと思う。東工大に来てみて、ここの環境って本当に恵まれてるなって思う。そして、東工大生たちがそれに気づいてない姿を見ると非常に悲しい気持ちになるんだけど、えーっと、例えばお金に換算すると学生一人当たりに年間450万円かかってるんだよ東工大って。文科省から出てるお金だけでね」

田尻「平均するとそうなのは知ってるんだけど、金が出る分野と出ない分野は時代によって変わるじゃん。それに、設備がいいのはすずかけ台キャンパス。大岡山はそうでもないとオレは思う。それに、私立の方がお金あるし、設備は向こうの方がいいんじゃないかなってオレは思ってるよ」

阿多「それは行ってみないとわかんないことだと思うよ。行ってみりゃわかるよ。まぁそれはいいとして、田尻はエンジニアリングデザイン(ESD)コースの博士としてどう生きていくつもりなの?」

田尻「まだ、ESDコースにするか機械コースにするか決めてない。わかんない。本当に正直まだ決めてない。オレは、わざわざ博士をESDにする必要あるのかなって疑問に思ってる」

阿多「それは、スペシャリストになりたいから、ってこと?」

田尻「そうだね。元々博士に行きたいっていうのは、宇宙関係の仕事に就きたいからってのがあって、しかも仕事っていっても、宇宙関係なら何でもいいのかっていうと自分のやりたいことはそうではなくて、宇宙開発において自分の夢があって。で、別にそれは博士を取らなくてもそこに携わることは可能なのかもしれないけど、でも十中八九博士を取ることが夢への近道だなってオレは思ってる。工学の分野でしっかり博士を取って、宇宙開発の分野に進むのが」

阿多「でも、その、なんていうか、自分のやりたいことをやるためにはさ、何かで差別化する必要とかは出てくるのかなって思ってて。スペシャリストって、なろうって準備して時間を取れば誰でもなれるってオレは思うんだよね。でも、スペシャリストになったから世の中で勝っていけるかっていうとわかんないじゃん。実際、博士に進むってすごい怖くない?」

田尻「実際めっちゃ怖い」

阿多「そうすると、自分は他とはどう違うのか、自分だからこそできることは何なのかってことを口にできるかっていうのはこれからの博士学生にとってもすごい重要だと思っていて、何をどうやって差別化していくかなんだよ。例えば、圧倒的な才能があるってのも一つかもしれない。そういう奴っているじゃん世の中には。いわゆる天才っての。オレはそういう奴らとは渡り歩いていけないなって思ってる。渡り合おうとしたらオレはただ潰れていくと思う。その中でどう差別化するかを、博士に進む前に考えなきゃなって思ってる」

田尻「阿多はその可能性をESDに感じてるの?」

阿多「可能性というか、今までつながれなかった人たちとつながれていくというか、そういうつながりの重要性をここで感じてるかな。しかも、オレは根っこは体育会系なのね。だから、誰とでもコミュニケーションを取れる準備があるというか、そういうところは自分の武器だと思ってる。そうすると、実際にそれが差別化とかにつながるかってのはまだわからないけど、いろんな人とつながった先に面白い未来が待ってるんじゃないかって思って、オレはESDにいくし、これからも自分でプロジェクトを見つけていくと思うし、かつ、その中で自分の専門性を深めていこうと思ってる。その両立をずっとやっていこうと思ってる。その二足の草鞋を履いたような環境が、きっとオレの強みを作ってくれると思う」

奥出「なるほどね。今の話にすごい関わる部分ではあるけど、二人にとってESDコースってどんなところ?」

田尻「オレはESDコースは、ESDというかEDPが全てでしょって思ってる。ESDの特徴なんてEDPにしかないと思ってるよ」

阿多「オレは、アメリカ行くか、修士で就職しようと思ってたけど、日本で博士行こうってきっかけを与えてくれた場所でもあるし、もう一つは、理系として生きる必要もないんだなって思わせてくれた場所でもあるのかな。理系だからとかではなく、自分は何を面白いと思うのか、何がしたいのかってことを改めてちゃんと見直すきっかけをくれた場所かな」

奥出「オレも理系文系って分け方って非常に無駄だなって思う」

阿多「オレはもし修士で修了してそのまま就職するとしたら、それこそエンジンオイルにまみれながら生きていくと思ってたの。芝浦にいたときもそれが好きだったし、そういうイメージがあった。でも、今は自分の将来像の見方は違うよね。そうじゃなくて、今は名前も形もないような仕事をするんじゃないかって、そんな未来を考えるきっかけをくれたのはEDPだったし、その中で専門性を鍛えておくってのもいいことなんだよ。でも、ゴリゴリのエンジニアとして博士を出て、それなのに『オレは総合職やります。経営に携わります』みたいなことを急に言い出しながら社会に出てみて、そこから自分の知らないことをどんどんしていったらどうなるんだろうとか、そんなことを考えてワクワクするようになったり、自分のまだ見てない世界にワクワクを感じさせてくれるようになったのは、間違いなくEDPがきっかけだったんだよね」

田尻「へー、あぁそう。違う選択しねー」

阿多「まぁ、何が面白いかなんて今はまだわかんないんだなって思えたの」

田尻「あー、そういうことか。それはオレも思ったわ。自分がまだ足を踏み入れてないところにも面白い世界があるんだなってのは感じた」

阿多「オレね、学部時代は燃焼の研究をやってたんだよ。それで、東工大を受けるときも燃焼の研究室だけ受けて、でも全部落ちて今はその他枠で受けた材料の研究室にいるんだよね。要するに研究内容が急にガラッと変わったんだよね。でも、そしたらそれがすごい面白かったんだよね。これってたまたまだったけど、そういうこともあるんだよね。オレって大学入試で二回も東工大に落ちるし、院試でも行きたい研究室に全部落ちるし、でもそれでも今めちゃくちゃ楽しくやってるのってなんか不思議だなって思うし。もう一つ不思議だなって思うことが研究の中にあって。今は流体力学を使って材料を堆積させていくことをやってるんだけど、その流れ場の構造がたまたま4年生のときにやってたことと全く一緒だったの。びっくりしない?学部で流体力学やってたからこそ、今の材料の考察に活かされてるところもあるわけで、そういうつながりもあるんだなって知れたの。これって、機械系っていうスケールじゃなくて、もっと広い幅で見たときに、そこでも何かコラボレートできることがあるんじゃないかなって思ったの。自分の研究を一番のベースとして生きていく中で、どことつながれるかだよね。こんな不思議なつながりに出会ったときって、自分の将来って実は全部決まってんじゃないかって錯覚するときがあるんだよね」

田尻「なるほどねー。不思議なこともあるもんだ」

奥出「ちなみにさ、田尻はESDコースはEDPだっていったけど、じゃあEDPって何をする場だと思ってるの?何を学べる場なの?」

田尻「え?人とのコミュニケーションの取り方を学ぶ場でしょ。東工大生がね。ただ単に」

奥出「えー、マジか(笑)それってEDPじゃなきゃダメなの?」

田尻「ほかのコースだと、そういう講義が用意されてないんじゃないの?」

奥出「それは知らんけど」

田尻「講義の目的とか、狙いとかが他にあるのもわかるけど、東工大生に一番欠けてて、一番学ばなきゃいけないのはそこだと思ってるし、そういうコミュニケーションを強制的に学べるのはEDPだなってオレは思ってるよ」

阿多「オレは、EDPはコミュニケーション能力を育む場ではないと思う」

奥出「オレもそれは違う気がするかなぁ」

田尻「まぁ、それは人それぞれじゃない?」

阿多「じゃあさ、奥出にとってEDPはどんな場だったの?」

奥出「オレにとっては、EDPは自分ができないことを知る場だったかな。いろんなバックグラウンドの人がいる中で、オレは東工大生として参加してるんだけど、専門は経営工学で、いわゆる”東工大生”っぽくはない人材として参加してたと思うの。経営って、ほとんどの人が修士に入った段階では何も専門性がない状態で入学してると思うんだよ。オレもそうだったの。それで、周りは『自分は〇〇できます』っていえる人が集まってるから、最初は専門性がないことがコンプレックスだったの。でも、途中で、それってコンプレックスに感じる必要ないなって気づいたの。専門性のない東工大生ってユニークだし、むしろ強みだなって。自分の専門にこだわっちゃう瞬間は比較的少ないけど、東工大生の専門性を少し理解してあげられる立場ってオレしかいないんじゃないかって。そうやって、他の人も見ながら、自分は何ができて何ができないか、特に『何ができないか』って部分を見直せる機会って少ないし、いろんなバックグラウンドの人が集まったこの場ならではだったんじゃないかなって感じてるよ。美大系の子たちっていっちゃえば自分たちとは真反対なわけじゃん?やってることが。そんな子たちと話せて、一緒にプロジェクトできる場なんてなかなかないし、そんな自分とは遠い人たちと一緒にプロジェクトをしたおかげで、自分ができないことはすごい痛感させられたし、その経験は大きな財産」

阿多「EDPって枠でいえば、さっきもちょっと言ったけど、発想のジャンプのコツを学べる場だと思うな」

奥出「発想のジャンプはEDPのどこから学んだ?」

阿多「自分の中で何度も思考する中で、ここでこう考えれば面白いことがいえるかもしれない、って感覚が少しつかめたというか。そういう風に何度も考えたからかな?」

奥出「なるほどね。そしたら、最後にEDPの後輩たちに向けて一言頂戴しましょう」

阿多「こういうときに決めようとすると大体失敗するんだけど(笑) まぁでも、可能性の幅ってのは自分で広げるもんだし、あと、意外と今の時点で『自分はきっとこうなるんだろうな』って風にはならないから、だからこそ、将来の自分の可能性を広げるためにも、ESDコース、EDPで活動していってくれるといいなって思います。はい。恥ずかしい」

(一同拍手)

奥出「じゃあ次は田尻」

田尻「まぁEDPに関しては、やりたいことやって純粋に楽しくいやればいいんじゃないかなって思うよ。ちゃんと思ったことを口にして。でもそれが通らないこともあるから。そこら辺を体験してもらえれば。ただ、EDPをやったことで、考え方が変わるってのは実際あって、オレ自身も博士に行こうとは思ってたけど、このプロジェクトに参加しなかったら起業しようとは思わなかったし、そういう新しい選択しみたいなものは得られるから。遠くにEDP-B/Cで何を得られるかだよね。積極的に参加してほしいけど、嫌々参加したってそれでも何かを得られるところではあると思うから、もう東工大生は必修なんだからあきらめて楽しみなさいって思う。あと、せっかく女の子来るんだから、女の子と話しなさいとは思う」

阿多「成功者は語る」

奥出「そういや、オレらの代で女の子に手を出しに行って彼女できなったのオレだけだね」

(一同拍手)

奥出「お後がよろしいようなので以上で終わりにします。二人とも今日はありがとう!」

番外編:コミュニケーションスキルとは

喧嘩するほど仲が良い、ってね。こんな二人だから正直な気持ちで話してくれています

阿多「すっごい変な話だけどさ、東工大生って居酒屋で隣に座ってるおっちゃんと話できなくない?」

田尻「まぁできないだろうね。だってそのおっちゃんと話が通じないもん。まぁオレはめっちゃよく話しかけれるけど」

阿多「そう、なんか、古い居酒屋とかに入って、そこでの出会いで酒が飲みたいっていうの、そういうの東工大生にはないよね」

田尻「あぁ、ないない。それはないね」

阿多「でも、コミュニケーションスキルってのは究極的にはそこだぜ?ってオレは思ってる。まぁ女の子を口説くとかもあるかもしれないね。でも、どんな人とも美味しく酒が飲めるかってのは重要だと思う。奥出はできる?」

奥出「えーっと、誰とでも美味しく酒が飲める話と、隣のおっちゃんに話しかけるって話って全く別じゃない?一人で飲みに行くってことをしないから、まず一緒に飲んでる人がいるからわざわざ隣のおっちゃんには話しかけたりもしないし、かといって隣のおっちゃんが酔っ払って話しかけてきたらそれは一緒に飲んだりするじゃん?全然そんなことも経験したし。でも、自分から話しかける必要性はないかなって」

田尻「そこなんだよ。『話しかけられたら話すけど』って、東工大生多分みんな思ってるよ。でも『話しかけられないから話さない』っていってるだけだよ。そんで、そういう奴らって話しかけられないよね。大概ね」

奥出「なんか全然伝わらんのだが、他にコミュニケーションスキルの例はないの?」

田尻「そしたら、例えばコンビニの店員さんとどんな話する?どういう流れでレジを終わらせる?」

奥出「商品多かったり、レンジ待ちとかしてるときとかは軽く会話するけど、普通会話しなくない?」

田尻「あぁ、そういうことじゃなくて、例えば、オレだったら『お願いします』とか『ありがとうございます』とか絶対言うようにしてるよね」

奥出「それってあまりにも普通すぎないか。昔コンビニバイトしてたが半分以上はやってるよ。東工大生云々でそんな変わんのかな」

田尻「極論、東工大生はそういうところでも会話を拒否するタイプだってオレは思ってるよ」

奥出「んー。さっきの居酒屋の例に戻るなら、わざわざそこで隣のおっちゃんに話しかけるかどうかは東工大だからじゃなくて、そもそも日本だからってのも少し関わってもくると思うし、それを東工大生のコミュニケーションスキル云々のレベルの話にもってこられてもって思うかな。コンビニのやつに関してはハードル低いし。居酒屋のやつって、そこの空間を共有してるかどうかの話じゃん。例えば、スポーツバーとかなら知らない人と肩組んで飲むよ。でも普通の居酒屋は、境界がないようで、グループで来てるときはその周りに薄い膜があると思ってて」

田尻「いやいやいや、オレはコミュニケーション取れない奴らは全員アキバ通いだと思ってるから、例えばそいつらはアニメの話ができる人となら肩組んで話せると思うの。でも、そういうやつらは自分と違う世界の人と話せないんだよ」

奥出「で、話せる話せないと、話しかける話しかけないは全然違くないか?場を共有してるかどうかって重要でしょ」

阿多「一つ質問していい?普段からそんなに考えてコミュニケーションってしてる?今はは、その場を振り返って自分の精神状態を分析してるんだと思うけど、そんな分析はバイアスがかかってて全然価値がないなってオレは思ってしまうんだけど、それは置いておいて、楽しめるか楽しめないかだけでいいと思うんだよオレは。隣のおっちゃんにダル絡みされても奥出は楽しく飲めますか?ってことよ」

奥出「えっと、おっちゃんに絡まれて一緒に飲んだことはあるよと。でも、別にオレは居酒屋では自分からは話しかけないかな」

田尻「オレは自分から絡んじゃうからわからんわ」

阿多「絡めばいいじゃん」

奥出「まず、オレは一人で飲みに行くってことがないって前提があって、誰かと飲みに行ってるのにわざわざ他のおっちゃんに話しかけるメリットがあまりにもないって感じちゃう」

田尻「オレは誰と飲みに行ってても絡んじゃうわ。家族と飲んでて父親と姉が隣に座ってても絡んじゃうし」

奥出「それは“コミュニケーションスキル”なのか?(笑)」

阿多「オレは一人で飲みに行くことが一番多いからなぁ。だって、一人で行く方が周りの人に話しかけるチャンスがあるわけで、その方が自分の知らないことを知れるチャンスがあるから楽しくね?だから、行きつけの居酒屋には必ず友達いるもん。おっちゃんの。大体60超えてるんだけど」

田尻「行きつけの居酒屋ってなかなかできないんだよねぇ」

阿多「なんで?」

田尻「いや、オレがよく行く居酒屋はあるんだけど、周りの客が変わる」

阿多「別に知り合いはいなくてもいいんだけど、奥から特別なお酒を出してもらえるようなそんなお店はないの?」

田尻「ないなぁ」

阿多「じゃあこの話は終わり!(笑)」

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