大学の講義でもSlackを使おう
「東京工業大学エンジニアリングデザインプロジェクト(EDP)」では、2015年度からチームのコミュニケーションツールとしてSlackを導入しています。情報系の学生にはおなじみのツールですが、EDPのように情報系以外の講義で使用している事例は珍しいのではないかと思います。
使い方のルールは特に決めていません。ただし、各チームに「#チーム名」という公開チャンネルを必ず用意してもらい、誰でも(教員も含めて)閲覧できるようにしています。このようにチームの議論をすべてオープンにすることが重要だと考えています。また、他のチームのチャンネルを参考にしながら、よいところがあったら自分たちのチームにも取り入れ、お互いに学び合うことも大切です。実際、Slackでのコミュニケーションが活発なチームほど、よいプロダクトができている印象があります。
現在では、チームのコミュニケーションだけでなく、講義スライドの共有、課題の通知や提出、発表会や懇親会の案内等、講義の大部分はSlackで補完されています(もちろんそれ以外のツールも活用しています)。
ここでは、EDPで実際に使っているチャンネルをいくつか紹介したいと思います。
#zzz-im-late
最初に紹介すべきチャンネルかどうかは迷うところですが、講義用のSlackなので、遅刻や欠席を通知するチャンネルが欠かせません。チャンネル一覧でいちばん下になるように「z」で開始しています。大変よい名前だと思います。でもまあ、遅刻したりしないことが重要ですね。
#realtime-yyyymmdd
講義の「実況チャンネル」です。元々は成果発表会のフィードバック用に作ったものでしたが、普段の授業でも作られるようになりました。
#reading-list
参考図書を淡々と紹介するチャンネルです。チーム活動に関するもの、ものづくりに関するもの、デザインに関するもの、イノベーションに関するものが多い印象です。私はマンガを取り上げることが多いですね。
#skills-you-need
身につけたいスキルをここに書いておけば「ポップアップクラス(pop-up classes)」が用意される(かも?)というチャンネルです。ポップアップクラスの制度もd.school由来です(出席しても単位は出ません)。
これまでに「Arduino」「プレゼン」「Fusion 360」「Ruby on Rails」「ビジュアルシンキング」のポップアップクラスが用意されました。なかには授業に取り込んだものもあります。まだ実現できていないものとしては「表面実装」や「Illustrator」などがあります(誰が担当するんだ)。
#general-trello
Slackとは別に課題管理ツールとしてTrelloを使用しているので、その更新通知がこのチャンネルにやってきます。チーム別にTrelloのボードを用意してもらっていますが、講義自体の問題点を指摘してもらうボードも用意している、というわけですね。
チャンネルを工夫するだけでなく、一般的に使われているプラクティスも数多く導入しています。たとえば、Slack Reaction Decomoji v2 は最初に導入するようにしています。
学生はなぜか emoji ではなく「スタンプ」と呼んでいますが(まあ仕方ないですね)、これによって日本語コミュニケーションがはかどっているようです。また、学生のみなさんが勝手に emoji を追加してくれるようになって、オリジナルの emoji も少しずつ増えてきています。
ただ、基本的には便利に使っているSlackですが、注意点もあります。
講義でSlackを使うときの注意点
Slackの無料版の制限
EDPでは無料版を使っているので「容量」と「メッセージ数」に上限があります。うちはだいたい3か月(クォーター)で上限に達する感じですね。
「容量」問題については、できるだけGoogle Driveなどの外部ストレージを使うようにして、Slackにはファイルをアップしないようにしています。
「メッセージ数」問題については、定期的に不要なメッセージを消すスクリプトを動かしたり、クォーターが切り替わるタイミングでSlackチームごと変更したりしています。現在は最終発表に向けて大忙しなので、下手に切り替えることもできず、過去ログが見えない状態になっています……。
できることなら有料版(アカデミック版)にして通年で使用したいのですが、予算の話は悩ましいところです。