見えないものはないのと同じ すぐ描く、すぐ作る!

Visualize, or vanish

見えないものはないのと同じ2022

すぐ描く、すぐ作る!

こんにちは、EDP2021受講生の多摩美術大学4年の田中と、武蔵野美術大学4年の藤巻です。
「見えないものはないのと同じ」講座はEDP2021に去年のTAによって実施されたものを引き継ぎ、ワーク内容などをさらにパワーアップしてEDP2022に帰ってきました!
今回は7月9日のEDAの時間を頂き、EDP2022を受講している全学生向けの講義を行いました。その授業の内容を、実際に用いたスライドや皆さんの成果物を交えながらご紹介します!

(昨年度の「見えないものはないのと同じ」講座はこちら!)

本日の講義担当 : 1. 田中雅 / 多摩美術大学, 情報デザイン学科, 情報デザインコース, EDP2021受講生,Team NamiNamiKami 2. 藤巻汐梨 / 武蔵野美術大学, 空間演出デザイン学科, 環境計画コース, EDP2021受講生, Team きゅーと♡パニック
今回の講義を担当した美大TAです

目次

  1. イントロダクション
  2. 言葉だけの議論
  3. 可視化して伝えよう
  4. すぐ描く、すぐ作る
  5. ものを介したコミュニケーション

1. イントロダクション

私たちはEDP2021を振り返ると、「見えないものはないものと同じ」を受講後は手を動かすことの有効性をとても感じたのですが、実際に絵を描いたり、作ったりしながらの議論ができていなかったという反省が出てきました。

そのため、今回の講義の狙いは、「もっとアイデアを出す前から手を動かしてもらおう!」です。
EDPのデザインプロセスの中で、アイデアを考える時だけでなく、ユーザーを理解する時から絵を描いたり、プロトタイプを作ってもらいたいのです!

それでは、次のスライドをご覧ください。

EDP初期に藤巻が実際に書いていたホワイトボード

これは藤巻が実際にEDPに参加し、POVをチームで話し合っているときに書いたホワイトボードです。
これを描いていた自分にゾッとします。

EDPでは、インタビューでユーザーの違和感(ざわざわ)が見つかったら、その状況をチームで共通認識にするために文章化します。

ですが、言葉はとても曖昧で、人によって捉え方が違い、文字だけの話し合いでは認識を合わせるまでに膨大な時間がかかります。そのため、言葉と一緒に絵を描き、“なんとなく”のニュアンスの認識を合わせることが、早く話し合いを進めていくコツです。

言語化できないものを表す絵や彫刻の表現が、「何が課題なのかわからないけど、あの時嫌だった」というユーザーの感情から課題を見つけ解決するEDPのデザインプロセスに役立ちます。

EDPではユーザーの感情にアプローチする上に、デザインプロセスを何度も回していくので、一度決めたPOVも変化していきます。その都度、共通認識を言葉で一生懸命合わせていくよりも、絵などを使い、話し合いをどんどん先に進めることが、新しいプロダクトを作る近道となります。

それでは、これからいくつかのワークに挑戦してもらいたいと思います!

※昨年度と重複する内容はいくつか省略していますので、昨年度の「見えないものはないのと同じ」講座も参照しつつ、ご覧ください。

2. 言葉だけの議論

ワーク①
「荷物が多くて大変な人」を思い浮かべ、想像した状況を1分で文章にしてください

まずは昨年度の「見えないものは…」講座でも行っていた、文章だけで自分の想像した状況を伝えるワークです。

Discordのチャンネルに送信してもらいました

「荷物が多くて大変な人」という短いワードだけでも、異なる解釈の文章がたくさん出てきていますね!
言葉だけで他者と共通認識を持つことの難しさがこの簡単なワークでも実感できたのではないでしょうか。

ワーク②
自分が想像した「荷物が多くて大変な人」を3ステップで描いてみましょう!

絵を描くコツ、3ステップは昨年度の講義でも紹介していますので、割愛します。

それでは、これを実際に体験してみるため、去年のチームが作った在宅勤務で問題を抱えるOさんのPOVで、絵を描きながら話し合いをしてみます!

3. 可視化して伝えよう

ワーク③
インタビューをもとにOさんのPOVの状況を話しながら絵に描いてみましょう!

4. すぐ描く、すぐ作る

ワーク④
OさんのPOVを解決する椅子を作ってください

5. ものを介したコミュニケーション

最後は、班で一つの椅子を作ってもらいます。デザイン工房にある椅子を活用しても構わないので、作った椅子に座って発表できることが理想ですね!

ここでプロトタイプを作る前に注意事項です!

この3つのNO・3つのYESは必ず守りましょう!

作る上で「なにか革新的なアイデアを出さないのか?!」と気負う必要はありません。今回は課題解決のためではなく、コミュニケーションのための講座だからです!

このワークではプロトタイプを実寸大で作ることで、一人では作れない状況を作り、班で協力することの促進を図りました。

ワーク5中の様子

これまでに絵を使って話し合った共通認識を生かし、お互いが考えたアイデアのプロトタイプからまた新しいアイデアを考えて作る。頭も手も動かしまくりの作業でしたが、最後は全受講生が椅子から立ち、デザイン工房を賑やかにしていました。

仕事のON/OFFを切り替えることができる椅子
通知音を動物の絵と鳴き声で表現することで、休憩中のスラックの通知オンに不安を感じてしまうことを癒しの時間に変える椅子

さまざまな椅子がデザイン工房に並び、とても楽しい発表となりました!

受講生の皆さんの感想をいくつかご紹介します。

自分のスケッチの絵が全然上手くなかったけど、伝わればオッケーと分かってよかった。(Yさん)

話はじめと同時に絵を描くと、意見の違いを絵を通じて説明しあえて指差しだけで全員と共通認識をとれるのが便利だと思った(Iさん)

背景が異なる人だと同じ言葉でも捉え方が変わることがよく分かった。今後は言葉と絵を用いて伝えていきたい。(Sさん)

チームで活動していくと、どうしても議論のみが活発になる場面が多くなってしまいがちです。しかし、EDPでは言葉と同じように絵を描くことも、作ることも大切なコミュニケーションの道具になります。
今回の講義で実感してもらった、言葉以外でのコミュニケーションも活用し、EDPではユーザーを幸せにするプロダクトがたくさん生まれることを願っています!

田中・藤巻

昨年度の「見えないものはないのと同じ」講座はこちらからご覧いただけます!
EDPの公式SNSアカウントが開設しました!
随時講義の様子などを更新していますので、ぜひご覧ください!

公式Twitter
https://twitter.com/edp_tokyotech?s=20&t=6npYfxUKACJHZGDvrJeirA
公式Instagram
https://www.instagram.com/edp_tokyotech/

--

--

Miyabi TANAKA
東京工業大学エンジニアリングデザインプロジェクト

Tama Art University Department of Information design, Interaction design course B4 / TokyoTech Engineering Design Project 2021&2022(TA)