2019年度EDP「UROBON」TeamMado

Team Mado
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Feb 17, 2020 · 17 min read

私たちは,「身体的機能の衰えに備え,これからも外出を楽しむための出発体験をデザインせよ」というテーマに取り組み,UROBONというプロダクトを作成しました.

プロダクト紹介ビデオ

まず初めに行ったのは,ユーザーインタビューです.下高井戸にお住いの64歳の男性のご自宅に訪問させていただき,お話を伺いました.

この男性は,柔道を続けておられ,下半身強化や健康のために週末は5 km走るなど健康意識の非常に高い方です.しかし怪我などをきっかけに,椅子に座ったり,立ち上がる動作がつらくなってきていたり,カーペットのちょっとした厚さでも躓くなど足腰に不安を抱えていらっしゃいます.

この男性に階段に対しての考えをお聞きすると,

「足を痛めると階段の上りよりも下りの方がつらいですね.落ちたら危ないし.降りるときに前の方にもしも倒れたら本当に危ないので,手すりは絶対に必要だし,後ろを向いて降りたほうがいいのかなと思う.後ずさりで降りたほうが衝撃も小さくなるし.」

という回答をいただきました.しかし,階段の手すりは意識的に使ってらっしゃるんですか?と訊いたところ,

「使います.階段はやっぱりつかまって前向きで降りてます.」

とお答えになられていました.

つまり,

階段を降りるときは,後ろ向きに降りるほうが足腰への負担が少ないと思っている.しかし実際は,前向きで降りている現状がある.

という矛盾があるのです.

インタビューでは,その原因を訊くことができなかったため,私たちは自ら高齢者体験をすることで原因を探ることにしました.全身に合計4 kgの重りをつけ,関節の動きを制限した状態で階段を降りるという体験を通じてわかったこととして,手が滑り,手すりでは体重を支えられなそう,すとんと足が落ちてしまうということが挙げられます.

これらの発見から私たちは,手すりは前向きに降りるのに適していないのでは?と考えました.

そこで製作したのがUROBONです.

UROBONは階段を後ろ向きに降りるという体験を提供します.階段を上るように降りるため,NOBORU(上る)を逆向きにしてUROBONと名付けました.UROBONを階段の手すりにセットし,これに手をかけて階段を後ろ向きに降りることで,手すりでは手が滑るという問題を解決します.また,後ろ向きに倒れそうになったときは,その体重移動を利用して,ブレーキがかかる仕組みになっています.これは体重移動により,自然とUROBONのブレーキレバーが引かれるためです.これにより,とっさの反射神経に頼ることなく,ブレーキをかけることが可能になります.

UROBONを使うことで,足腰への衝撃が小さいという後ろ向きで階段を降りるメリットをよく活かすことができます.またユーザーの方の,外出先で出会う階段に対する苦手意識を軽減し,より外出を楽しんでもらうことができるのではないかと私たちは考えています.

こちらのプロダクトについて町の方の意見を伺いました(@大岡山駅前).60代男性の方からは,「体重を乗せてもブレーキが利いて安全だから,俺がそのような状態になったら買うと思う.」という肯定的な意見をいただきました.一方,50代女性の方からは,「公共の場だと不自然かな.視線が気になっちゃうと思う.病院とかの限定的な場所やリハビリ目的とか看護師がついている状態だったらいいね.」というご指摘を受けました.また,50代男性の方には,「普通の手すりと握る向きを変えいていていいね.強度があれば家の中用に親に勧めてみたい.10,000円でも買うと思う.」と言っていただきました.

今後の展望としては,現在特定の手すりにのみ対応している取り付け部の形状および寸法をあらゆる手すりに対応するように改良していければと思います.また,持ち運びを容易にするため,折り畳み機能などを追加することが,UROBONをより外出のお供にするのではと考えています.

「前向き」でもうまくいかないことがある.外出に前向きな高齢者にも乗り越えないといけない壁が多くあります.私たちは今回,階段の昇降に着目しました.これからも楽しい外出をしていただくために,階段を後ろ向きに降りるためのプロダクトを提供します.

続いて制作の裏側について発表させていただきます。

私たちチーム窓は、メンター企業であるYKK AP様のもと、一人一人の個性が濃い五人のメンバーで結成しました。

結成当初のチームには勢いがあり、とにかく行動していたと思います。初回の授業終了後に、まだメンター企業から頂いたテーマをはっきり理解しないまま、右往左往しながらとにかくターゲットになりそうな人に手当たり次第声をかけてはインタビューを行うなど、スタートから意欲的でした。

大学最寄駅付近でのインタビュー

数々のインタビューをこなすことで、ターゲットである高齢者が外出時に抱える悩みを徹底的に洗い出しました。この段階では思い描いたアイデアが現実離れしていたり、SF感が漂うものばかりでタンジブルなものではありませんでしたが、どれもユニークでさらに想像を刺激するものだったと思います。

アイデアについて議論するチームの様子

しかし、どのアイデアも結局は表面的な議論で終わってしまい、チームの方向性をなかなか固めることができず、苦労しました。また、メンター企業から与えられたテーマにも翻弄され、次第にチームの勢いは消えていってしまいました。また、追い打ちをかけるように、メンバーも一人途中で抜けてしまいました。

方向性が定まらなず迷走するチームの活動

その後12月を迎えるまで何個かアイデアをソリューションとして固められたものがありましたが、新しい価値を見出せなかったり、タンジブル性に欠けていました。そのため、本格的に制作活動に入るための審査という位置付けであった中間発表では、無惨に散ってしまいました。

このような結果に終わってしまったのは、企業から与えられたテーマに対してターゲットを見誤ってしまったからだと考えました。それまではターゲットを、これから加齢とともに身体が衰えることによって、いつか転倒等の事故で怪我してしまい、外出を楽しめなくなって/控えてしまうような中高年層と捉えていました。

ターゲットが転倒等の事故を経験するのは未来になってしまうため、実際にそのような経験をされたことがある高齢者の方にインタビューを行い、考えられるリスクを分析してターゲットの未来をシミュレーションしました。そしてターゲットが未来で事故に遭遇しないように身体の老化に向き合えるようなプロダクトにこだわっていたのです。

チームが考えたアイデアを街中の中高年の方にぶつけても、確かな感触を得ることはできなかったのは、これが原因だと考えられました。

そのため、ターゲットを、加齢によって少しずつ身体が衰え、実際に生活に不便、問題を感じるようになった人に再設定しました。周りのチームはどんどんソリューションが決まっていく中、問題を一から見直す我々の焦りは普通ではありませんでした。

初心に戻るメンバー

そして12/24。世間ではクリスマスイブを迎える中、我々のチームは徹夜して、最終的なソリューションであるurobonにたどり着くことができたのでした。原型であるprototype1(下のポスター参照)は活動場所から集めた部材を集めて制作したものでした。

初号機 prototype1の完成

最終発表まで残り1ヶ月弱しかなかったのですが、ソリューションが決まってからはうなぎ上りのように制作活動が進みました。アイデアに至った過去のインタビュー内容を忠実に再現しながら、ターゲットが利用しやすいようなプロダクトになるようにチームで幾度も議論を重ね、また高齢者体験キッドを利用してメンバー自らも利用したくなるように実験およびプロダクトの改良を行いました。こうして最終productであるprototype8の完成に至りました。

これまでに制作したprototype一覧

発表を終えて

不安を抱えながらも発表したメンバー

結局制作活動はギリギリまで行ったため、最終発表を迎えた日は、最後のリハーサルまで発表資料の見直しや準備に追われました。発表順で我々のチームがトップバッターでもあったため、緊張する場面もありましたが、なんとか我々のソリューションをなんとか伝えきることはできたのではないかと信じています。

  • 前半パート発表者: Mizuki Yamamoto
  • 後半パート発表者: Juyon Yamazaki

各メンバーの振り返り

Soma Endo

半年という長い期間の中で多くの失敗があったものの,最終的に満足のいくプロダクトを作れたと感じている.建築を専門とする自分は普段,模型を作りデザインを更新する機会が多いが,なぜか今回は物を作ることを躊躇していた.思い返してみると,自分たちのアイデアがきちんと共有・理解できていないと,次に踏み込めないなど,チームワークの難しさがあった.しかし一旦ものをつくると一気に理解が進んだ.1人よりチームの方がいいものができる.が,難しくなることが多くある.しかし,ユーザーテストなど,ユーザーの意見をもとにプロダクト開発を進めることでチームの方向性が乱れないなど,デザイン思考の恩恵をチームワークの観点でも感じた.たのしかったです.

Mizuki Yamamoto

振り返ってみて一番に思うことは,手を動かしてとりあえずモノを作ってみるって偉大だなということです.12月末になってもうまくいってなくて,自分たちでももう何がしたいのかわからなくなり,霧の中をひたすらに彷徨っている感じだったのに,たった一度,しかもあり合わせの材料でUROBONの初号機を作った瞬間,歯車が噛み合う音が聞こえた気がしました.先生方があれほど作ってみなさいとおっしゃっていた理由が今ならわかります.そして後輩にもたぶん言う,とりあえずモノ作ってみなって.この感じをうまく伝える言葉が自分の中にあったらなあと思います.ないのがちょっぴり悔しい.参加できて,このチームで,本当に良かったと思います.途中何度も心が折れかけたし,お互いの考えを理解するのに苦労した時もあったけれど,それらも全部含めて特別な半年間になりました.

Juyon Yamazaki

長いようであっという間に終わったような気がします。10月ころにスタートし、数々のインタビューや議論を重ねて試行錯誤しながら現在のソリューションに至ったのですが、活動で苦労したことや楽しかったこと、辛かった頃ややる気に満ち溢れてた頃、バカなことをしてた場面やめっちゃ集中してた場面など、EDP-BCで経験した全ての出来事がつい昨日起きてしまったのではないか、と思えるくらい毎日の活動が充実しておりました。今振り返ればまだまだプロダクトの改良をはじめ、個人として(自戒として、もっと余裕を持って行動するようにしたい)、チームとして改善するべきところはたくさんあり、まだまだ活動したいくらいですが、それでもこのチームがここまでたどり着くことができたという事実は、今後大変な出来事に遭遇した際にきっと役立つだろうと信じています。

Kanji Ono

(準備中)

Masamune Kawasaki

最後まで携わることができなく,チームのメンバーには,迷惑をかけてしまいました.申し訳ないです.アイデアを100個出してみたり,折り紙を折ってみたりと,議論や思考をたくさん行った記憶が鮮明に残っています.最終的に,EDP-Bの初期の議論へ原点回帰するようなアイデアである,手すりに関連したプロダクトが生まれたのは,デザイン思考らしいのかなというように感じました.とりあえずモノを作って,議論を進める,といったプロセスはこれからの生活においても活かしていきたいと思います.最期に,チームのメンバーやメンターの方,先生方には大変お世話になりました.本当にありがとうございます

メンバーへのコメント

To Soma Endo

From Mizuki Yamamoto

見せ方って重要なんだなと,もの凄く学ばせてもらった半年でした.私には思いもつかないようなアイデアをぽんぽん出してきてくれるので毎回楽しかったです.最後時間がない中,プレゼン資料や素敵なそして目を惹くブースを仕上げてくれて本当にありがとう.

From Juyon Yamazaki

半年を通してチームの中で常に重要なポジションに回ってくれました。建築系の学生として思考が固くなってしまう自分をやわらかくしてくれたり、チームが行き詰まる中、ユニークな発想を提案することでチームをよき方向へ導いてくれたりと、彼のチームへ作用する触媒の効果は絶大でした。

From Kanji Ono

(準備中)

From Masamune Kawasaki

アイデアに詰まると,議論を少しずつ戻してうまく進めてくれました.インタビューについても,おばあちゃんとうまく接して上手に話を聞き出している様子は学ぶものがあったような気がします.スライド・プロダクトに関しても,人一倍こだわりが強めで,全体的に熱量でチームを引っ張っていくタイプなのかなという印象でした.

To Mizuki Yamamoto

From Soma Endo

自由気ままなメンバーが多いチームだったけど,うまくまとめてくれたと思う.例えば議論の際,話の内容を整理し,チームの意見を統一してくれたりと助かりました.またそのほかにも発注にプロトタイプの組み立てなど,みんながおろそかにしていた部分を積極的にやってくれ助かりました.ありがとー.

From Juyon Yamazaki

唯一の女性メンバーであり、それぞれの個性が独特で暴走しがちであったメンバーをまとめて、チームを安定した軌道に載せる、潤滑油的存在でした。インタビューや議論をはじめ、プロダクトのコンセプトや設計、材料選定、制作、プレゼンなど全ての場面で彼女の存在は心強く、おかげで、チームが120%の力を発揮することができました。

From Ono Kanji

(準備中)

From Masamune Kawasaki

23時頃にもかかわらず,デザイン工房へ足を運んでいた姿が印象的です.冷静ながら,やる気に満ちている様子が隠れていない部分が,チーム全体の士気を高めていたのかなと今になると感じます.いい意味で,いつも一歩引いた目線から議論をしているような感じで,結果として,話し合いがいいように進むことが多かったのかなといった印象です

To Juyon Yamazaki

From Soma Endo

プロトタイプをたくさん作ってくれてありがとう.図面,印刷と長い時間をかけてくれました.最終プロダクトが決まった時期が遅かったけど,あそこまで作れたのはじゅよんの貢献が大きいです.もちろんその他にも発表などいろいろありがと.

From Mizuki Yamamoto

CADモデルの作成と材料加工,本当に本当にありがとう.8番目のプロトタイプを実際に階段で使ってみて,しっかりとブレーキがかかった時は感動しました.UROBONがデモで体験してもらえるまでになったのには,じゅよんくんの力がとても大きかったと思います

From Ono Kanji

(準備中)

From Masamune Kawasaki

プロダクト制作についてとても心強い存在でした.困ったらセグウェイを作り出す印象でしたが,逆にチームとしてセグウェイが作れる技術があることが,チームの自信になっていたのかもしれません.寝坊や遅刻は少し目立ちましたが,タイムスケジュール管理などはしっかりしていたので,なんだかんだでまとめ役的な存在であったのかなと今では思います.

To Kanji Ono

From Soma Endo

最後のアウトプットのところで動画,ポスター素材など助かりました.ただもう少しかんじを巻き込めればさらにいいものができた気がする.ありがとー.

From Mizuki Yamamoto

動画撮影,編集のこだわりが凄いなあと見ていました.チームの中で,一番冷静で,現実的な意見を言う小野くんはとても貴重な存在でした.取手からはるばる来てくれてありがとう.

From Juyon Yamazaki

すでに社会の最前線で活躍してることもあり、とても学生とは思えないその実力に終始驚くほかありませんでした。プロダクトのスケッチ、動画撮影、デザイン、ポスターのクォリティーが数倍になったのは紛れもなく彼のおかげであり、忙しいながらもチームの活動に参加してくれてありがとう。

From Masamune Kawasaki

茨城県という少し離れたところに住んでいるにも関わらず,参加してくれている時点でとても熱量を感じました.絵を言語として議論を行う大切さを教えてくれました.常に,写真を撮ったり,絵を書いていたり,感覚的に議論するという藝大生ならではの世界観がとても新鮮でした.

To Masamune Kawasaki

From Soma Endo

(準備中)

From Mizuki Yamamoto

プロトタイプ案をたくさん出してくれてありがとう.どれも個性的でキャッチーな名前で,ネーミングセンス凄いなと思ってました.今回のプロダクトのUROBONという名前はとても気に入っているけど,河崎くんならどんな名前を付けたのかちょっと気になります.最後まで一緒にできなかったのは残念だけど,同じチームで楽しかったです.

From Juyon Yamazaki

(準備中)

From Kanji Ono

(準備中)

メンターの皆様へ

高齢者体験や訪問住宅など、チームが活動しやすくするための機会を与え、またチームが方向性を見失った際も適切なタイミングでフォローやアドバイスをしてくださり、メンターの方々なしではチームがここまでたどり着くことは到底できなかったと思います。本当にありがとうございました。

発表スライド

ポスター1

ポスター2

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