2019年度EDP「Sa’Ball」ゆとり製作所

澤田:家族のゆとりを生むための父親の家事体験をデザインせよ。というタイトルでゆとり製作所が発表します!

澤田:これが私たちの作成したプロダクトです。まずはムービーをご覧ください!

澤田:私たちは家事や仕事に追われ、最もゆとりがないと考えられる共働きの子育て夫婦をターゲットとし、忙しい日常に夫婦でゆっくりできる時間を作り出すことを目的にプロダクトを作りました。

澤田:これはある子育て夫婦の一日です。このお家では毎晩、残ってしまった家事を済ませたあと、夫婦でゆっくりくつろぎます。私たちはこの夜のくつろぎの時間をより長く、そしてよりリラックスできる時間にするためのアイデアを考えました。

澤田:これは最後まで残りがちな家事を示したものです。私たちはこの中で「気になる」ことによりついついやってしまう家事に注目し、さらにインタビューを通して、散らかっているから「気になる」と考える夫婦が多いことに気づきました。

澤田:これが私たちの作ったプロダクト ”Sa’Ball” です!このプロダクトは3つの機能により、「散らかっていて気になる」を解決し、夫婦でゆっくりする時間を盛り立ててくれます。

①散らかっているものをサッとまとめて、スッとこのプロダクトをかぶせることでスッキリした空間を作り出し「今は片付けしなくていいや~」という気持ちにさせてくれます!

②手を叩くとプロダクト上部のライトが点灯し、夫婦がリラックスできる空間を作り出します!

③ライトの色は日ごとに変わり、より鮮やかになっていきます!この機能により「片付けをしない」ことに意味を持たせ、日単位で行っていた片づけを週単位で行うことができます!

早川:試してもらったユーザーの意見として丸い形がいい、透け感があるため圧迫感がない、かぶせるという手軽さがいいなどの肯定的な意見半面、置くスペースに困りそう、物が多すぎて隠し切れないかも、隠しても子供がひっくり返しそうなどのマイナス意見がありました。

早川:今後の将来性としまして様々なサイズ展開をすることで置く場所に合わせる、邪魔にならない保管方法の考案などを検討していきたいと思います。またこのプロダクトを利用していただくことで本当にやるべきことやらなくてもいいことを知るきっかけとなり、家事をやらないことを今後も推し進めれいきたいと考えております。

相:次に私たちのデザインプロセスについて説明させて戴きます。

相:家族のゆとりを生むための夫の家事体験をデザインせよ。というお題を聞いた時私たちには2つの疑問がありました。そもそもゆとりってなんだろう、時間的なことであろうか、精神的なことなのであろうか、また夫の家事体験とはどんな状況であろうか、どんなものであろうか私達に当事者意識がない中その実態を探るために日立製作所さん協力のもととある夫婦にそれぞれにインタビューさせていただいた。

相:インタビューを通して最初の足がかりを得ました。夫の手伝いは気まぐれである、夫婦間で我慢できるラインが異なり気になる方に合わせる。夫はゴミ捨てをしてるというがそれは3割ほどでゴミを一つに集めたり袋を変えたりするのは私などの意見がありました。

これらから生まれた最初のアイデアが妻がやっている家事の多さ大変さを夫に知ってもらうことで手伝ってもらおうという支え合いの灯火でした

しかしこれでは奥さんの仕事を旦那に移行しているだけで家族のゆとりをには繋がらないと思いました。

相:というわけでさらにインタビューを重ねてみました。

まず、「朝と夜それぞれ1時間自由な時間が出来たら何をしますか?」と質問してみたところ、朝の1時間はその後の家事や仕事の準備に使うのに対し、夜の1時間は1日のクールダウンに使うということがわかりました。

また夜の自由な時間は子供を寝かしつけてようやく生まれる、その後に残家事があるとそれをこなしてから寝ることになる、というゆとりがない状態が明らかになりました。

残った家事への気になりもゆとりを阻害しているというインタビューもあったため、私たちは残家事をいかに切り上げるかがゆとりを生むはずと考え、アイデアを出していきました。

このとき出たアイデアが…

相:目つぶシートです。

これは子供が寝た後に残った家事に覆いをしてしまったらやらなくてもよくなるのではないか、というアイデアで、一見解決してないように見えるソリューションが先生方から高評価をいただき、そして今後このアイデアがチームを長い間苦しめることになります。

相:何はともあれ方向性が定まった私たちは残家事を深掘りしていくことになりました。

インタビューから、残家事として食器洗い後に増える、消えることのない洗い物が多く挙がり、シンクにおける気になりとして匂いや汚れ、乱雑に散らばった食器はもちろんのこと、朝のシンクの状態を想像すること、夫が食器を洗ったり洗わなかったりするランダム性すら気になってしまうということがわかってきました。

そこで、食器が残っていても気にならない方法を探すため、いろいろな実験をしてみました。写真は食器から煙が出ていたら気にならなくなる?という実験です(笑)

相:迷走と書いてしまっていますが、シンクの残家事に対して、洗わずとも少し食器をすすげれば気にならない?音楽がかかれば?二重底?など様々なアイデアを出していきました。

相:これらのアイデアをユーザーにぶつけていくのですが、やはり洗っていない食器が残っている事実にあまりいい反応は得られません。一方先生方は「がんがんいこうぜ」という感じで、私たちは板挟みになります。

相:物は試しとユーザーに試してもらった結果、「洗ってしまった方が楽だった」と言われてしまい、めのまえがまっくらになりました。

相:そこでいったん立ち戻ってみました。

残家事は食器洗い以外にもいっぱいありますが、例えば食器洗いや洗濯物は、放置すればするほど食器は汚れがこびりついたり、洗濯物はしわがとれなくなったりして、そもそも放置のハードルが高いことがわかります。

一方で、散らかったものの片づけはインタビューしてみると放置できそうだと思っていても実際は出来ていないことがわかります。

さらに、テーマである「ゆとり」の時間を深掘りし、ゆとりの時間として夫婦での晩酌の時間を取り上げ、家事を放置しつつ夜のゆとりの時間を盛り立てるようなプロダクトを考えていきました。

そこで「Sa’Ball」が生まれました。

相:インタビューを通して、家族でやらなくてはいけないと思う家事への気になりが全くと言っていいほど異なるということがわかりました。気になる方に合わせるとみんながしんどいので、気にならない方に合わせてゆとりを生みたいというのが私たちの原点です。

机の上の邪魔な物を手で払って床に落としてしまうようなお父さんが率先してちゃんと家事を放置して、最終的には毎日する必要のない家事を放置するための足がかりにしたい。

「あなたの生活にやらないという選択肢を」

ゆとり製作所のご提案でした。ご清聴ありがとうございました!

スライド

ポスター

メンバーのふりかえり

Shota Ai:「ついやってしまう家事を気にならないようにしてゆとりを生む」という方向性が決まってからかなり長い間良いアイデアが出ずに苦しみましたが、新しい価値を生み出すという信念のもと、メンバーが一丸となってあきらめずにこの方向性に挑み続け、最終的に満足のいくプロダクトに昇華させることができました。この過程では、毎回の発表で的確なフィードバックをくださった先生方や、どんなにアイデアが粗削りでも粘り強く助言をくださり、時には親身になって話し合いをサポートしてくださったメンターの方々に大変お世話になりました。

最後に、とにかく難しいテーマと難しいユニークインサイトに取り組むことになりましたが、あきらめず頑張れたのはユニークなメンバーのおかげです。この場を借りて感謝申し上げます。

Ryo Hayakawa:家事と言う物が家庭においてどういうものなのかと言うことを深く学びました。踏み込めば踏み込むほどそれは多種多様であり、具体的に動作が楽になるようなことが求められていることを実感しました。そんな中やらないと言う方向性を確立するためそれぞれ得意分野が違う中でここのできることを最大限にやってくれ本当にチームに恵まれたと思っております。また先生メンターの方々も最後まで寄り添って考えてくれ最後までアドバイス下さりました。たくさんの人との関係性の中でプロダクトを作ることの重要さを実感しました。本当にありがとうございました。

Eiki Sawada:比較的、幸先よくスタートしたものの「ゆとり」について考えれば考えるほどわからなくなってしまい、一時期「ゆとり」「家事体験」というワードを聞くだけでノイローゼになりそうなほど苦しみました。しかし前向きでとても優秀なゆとり製作所のメンバー、そして親身になって適切なアドバイスをくださったメンターの方や先生方のおかげで最後までやり切ることができ、今後の糧となるようないい経験ができました。どうもありがとうございました。

Kobayashi Asuka:今期から参加させて頂けることとなり、何もわからない状況での不安もありましたが、学校を出て新しいことを身につけられる期待でワクワクでした。「家族のゆとりを生む父親の家事体験」という漠然とした難しいテーマだと思ったと同時に、男女の考え方の違いによって、自分なりの考えを活かすことができるのではないかと選びました。

今まで同級生同性でのチームとして1つの目標に向かい活動した経験はありましたが、男性3人かつ2つ上の先輩の中で活動をする経験は初めてでした。話し合いをする中で自分の未熟さや知識不足を痛感し、自分自身いつも不安に思っていました。その上、学校との両立も上手くいかずインタビューにもなかなか参加することができませんでした。そんな中、話し合いで意見を聞いてくださったり、いない分のことを繰り返し教えて下さったり、チームの方がサポートして下さいました。このメンバーの方々でなかったら、最後までやり切ることはできませんでした。本当に心から感謝の気持ちでいっぱいです。また、このような貴重な機会を与えて下さった中山先生、何もわからない私に親身になって相談を受けて下さった東工大の先生方に感謝申し上げます。

貴重な経験ができたことを幸せに思います。後輩にもぜひ経験すべきとお勧めします!短い間でしたが、本当にありがとうございました。

各メンバーへのメッセージ

To Asuka Kobayashi:

いつも大学に足を運んでもらう形になってしまってごめんなさい。卒業設計も重なってかなり大変そうでしたが、懸命に頑張っていた姿が印象的でした。アイデアをすぐ絵にしてしまえるところや、最後のポスターの文章にものすごいポテンシャルを感じました!これからもいろんなフィールドで活躍してください!(Ai)

何よりデザイン性の発想が凄かった。特に私たちのプロダクトでは重要な部分であったのでとても助かりました。忙しい中時間を作って来てくれてありがとう!設計も院試も頑張ってね!(ryo)

ポスターのデザインの仕掛けを聞いた瞬間、「この子は天才だ。」と確信しました。とても忙しい時期で大変な思いをしながらもチーム活動にも一生懸命取り組んでくれました。どうもありがとうございました!(Eiki)

To Eiki Sawada:

人と意見が違ったときに流されずにしっかり説明してくれるところは本当に助かりました。特に難しいテーマだったからこそわかりやすいソリューションにチームが走りそうだった時に立ち戻らせてくれました。また最終的なプロダクトを作る際に一番いきいきしていたのが印象的でした!ものづくりの原点はあのような好奇心だと思います。一緒に頑張れてよかったです!(Ai)

技術的な部分をほとんどやってくれました。プロダクトのアイデアが絵空事にならないよう意見をくれだいぶプロダクトが進みました。技術力を生かしてこれからも研究など頑張ってください。釣り行こうw(Ryo)

英輝さんは、チームが始まって間もない頃から気さくに接して下さいました。意見を出した時も真剣に話を聞いて下さったおかげで徐々に馴染むことができました。プログラミングの知識が皆無なので、何をされていたのか詳しくはさっぱりでしたが、照明の色が作られていくのを見て、東工大のエンジニアの力の凄さはとてもとてもよくわかりました。短い間でしたが、ありがとうございました!(Asuka)

To Ryo Hayakawa:

とにかくアイデアマンで、EDPで本当の意味で新しい価値を生み出そうと思えたのは早川くんのおかげです。またプロダクトの配置を想定したCGを作ってくれたことでインタビューの際にも説明しやすく、自分たちもイメージしやすくなって建築系の力を見せつけられました。土壇場の場面で誰よりも頑張っていたのもチームの士気を上げていました。本当にありがとうございます!(Ai)

アイデア製造機といっても過言でないほどアイデア力に富んでいて、特に最初に早川君が提案した「隠す」という発想はそれからのグループワークの基盤になるコンセプトとなり、彼なしではこのグループは成立しませんでした。そして建築の学生ならでは技術力にも助けられた。例えばイマジナリーの空間を作り、プロダクトを使ったときの家の中をシミュレーションするといったことはユーザーからフィードバックを取るときや自分たちの中でのイメージを固めるときに非常に役に立ちました。どうもありがとう!(Eiki)

早川さんは、本当に本当に優しくてこんな私にいつも気遣って下さって頭が上がりません。チームでは自分では考えつかない面白いアイデアを次々と出されていて尊敬していました。チーム外の交流ができたのも早川さんを通じてだったので、同じチームでなかったら絶対最後まで参加できなかったです。本当にお世話になりました。ありがとうございました!(Asuka)

To Shota Ai:

チームが勢いに任せて突き進んで前が見えなくなっているときにいち早くその問題点に気づき知らせてくれました。このプロダクトが形になったのも前に進めたのも翔太がそういったロジックの考え方を正してくれたからだと思ってますまたインタビューの機会も積極的に設けてくれました。本当にありがとう!(Ryo)

非常に堅実でロジックの組み立てが上手なためディスカッション中に何度もグループを救ってくれました!例えば、初期のコンセプト「隠す」が認められたものの何を評価されたかわからなくなり、グループが迷走していた時にその違和感にいち早く気づき、一度立ち止まってロジックを組み立てなおすことを提案し、見事な分析力でチームの方向性を正してくれました!どうもありがとう!(Eiki)

相さんはプロダクト、チームのことを常に考えて行動して下さっていたのが印象的でした。話し合いをする中でも、自分の考えていることの1つ2つ上をいっていて、良い刺激を与えて下さり尊敬していた先輩でした。プレゼン力の高さがチームを引っ張って下さったのだと思いました。短い時間でしたが、ありがとうございました。(Asuka)

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