2023年度EDP「畑上ノライン」満足いくかつユーモアあるチーム名になったんだが

プロダクトポスター

プロダクトの発表を担当した田中です。そこそこ緊張しましたが普段通りの関西弁で半分敬語、半分口語みたいな発表していました。偉い人がたくさん見に来るけど「俺がルール」という強い気持ちで乗り切りました。なぜか膝の震えは止まらなかったです。

まあでもこれが許されるのがEDPのいいところでもあるかなと。では以下発表内容です。

Team10です、よろしくお願いしまーす。

私たちは「新規営農者を助ける農業機械体験をデザインせよ」というテーマでプロダクトを考案しました。

今回提案するのは

「畑上ノライン」という製品です。

取材を進める中で課題として着目したのは、

「畑内での重い野菜の運搬作業」です。

まずは、こちらの動画をご覧ください。

https://youtu.be/yLELrk-G4yc

実際の動画は>>こちら

この「畑上ノライン」は

畑の中で重い荷物を運ぶ必要のある

都内の新規営農者向けの

レール式運搬補助器具です。

この製品を使えば、いままで手で運ぶ必要があった重いコンテナを、スライドさせて運ぶことができます。

レールは畑の上を通して、畑の面積への干渉をなくしています。

この製品を作るきっかけとなった取材、キャベツ農家での収穫を紹介します。

まず、キャベツは地面近くの茎から包丁で切り取ります。

収穫したキャベツはコンテナに入れ、畑の中から通路まで移動させます。

ここでちょっと想像してみてほしいんですけど、

これコンテナ25kgあります。キャベツいっぱい入ってるやつ25kg。

で、そのうえ、足場は不安定です。アスファルトとかじゃなくてもうゴミだらけのところを歩きます(会場ややウケ)。

で、なのに、コンテナのせいで足元は見えません。

で、収穫していないキャベツも蹴ったら売り物にならないのでそれも考えないといけないです。

で、1回でこれを5コンテナ、作業場に運びます。これ60kgあります。

これを何往復もします。

これどうですか皆さん。そう、

「大変」ですよね?めっちゃ「大変」。

じゃあ、畑内に一輪車や軽トラをもちこめばいいんじゃない?そう思うじゃないですか。

そうもいかないんですこれが。

問題は二つあります。

1つめ、畑の地盤が柔らかい。

2つめ、畑の中の動線確保が難しい。

この2つの理由から、人間の手で運ぶ必要がでてくるわけです。

ここで都内の新規営農者の特徴です。

「都内の小規模な新規営農者は、作付面積をできるだけ多く確保したい

利益を上げるため機械への出資を肉体労働でカバーして

畑内での辛い運搬作業を強いられている」

そこで我々は

「畑の面積を圧迫することなく、楽に運搬できる方法があればいいのでは?」

そう考えました。で、

空間、いわば「上空で運ぶ動線」を作ればいいんじゃないか?となりました。

この条件から私たちは3つのデザインのルールを設定しました。

「重いものを持ち上げないこと」

「栽培のための土地を圧迫しないこと」

「誰にでもメンテナンスができる、シンプルな機構」

ここから生まれたのが

「畑上ノライン」、畑をまたぐレール式運搬補助器具、「畑上ノライン」です。

まずは使い方を紹介します。

畑の大きさな高さに合わせて、パイプをカットして繋ぎ

畑にレールを設置します。

収穫したら真上にあるコンテナに入れていきます。

コンテナを手で押して重い野菜を畑の脇に運びます。

そしてそこに停めておいた軽トラや一輪車にコンテナを載せます。

このように「畑上ノライン」を用いることで、

導入前にはしゃがんで重い荷物を運ぶ必要があったのが、

導入後には軽い力で野菜を移動させることができるようになりました。

しかも、畑の上を通っているので、面積もとりません。

農家の方からはこんな意見をもらいました。

「改良されたら使ってみたい。育てる野菜によっては適性が高いものもある」との意見でした。

また「設置する畑が大きい場合は非効率だ」という意見も上がりました。

今後は、このレールを用いた農薬散布など

空中のレール機構をより活用する方法がないか模索していきます。

また野菜に合わせたレールの強度調整を考えたいです。

これからの農業、肉体労働は最小限には、畑上野ラインのプロダクト発表は以上です。

続いてデザインプロセスです。

ここからは半年間のEDPで,我々のチームがどのようにデザインを進めていったのかをお教えします.

私たちは5人チームで活動してきました.バックグラウンドのバリエーションの多いチームでした.

私たちは,

新規営農者を助けるための新しい農業機械体験をデザインせよ

というテーマに取り組みました.

テーマに対して

ただの営農者ではなく新規であることの特徴って何だろう? 農業機械を私たちはよく知らない... 機械による体験を作るって何だろう?

といった疑問から始まりました.

まず私たちは新規に始める上で障壁になるものは何かを考え,農機具の使い方についてアプローチしました.

最初に考えたアイデアがこのスライドの物でした.

当初は,なかなか新規営農者の方とパイプをつなげることができず,インタビューが進みませんでした.

そのような状況下で,新規営農を支援する行政職員の方にインタビューをさせていただくことができました.

お金と土地の話が多くあった中で,農機具の不適正な使い方でけがをすることが問題になっているという話を聞きました.

そこで,やはり農機具の使い方をサポートするデザインを考えることにしました.

そこで考えたのが,動力付きの機械の危険な場所を警告するプロダクトでした.

ところが,農機具の安全は多くの人が気を遣うところであり,かなり考えられている分野でもありました.

デザインにより新たな体験を作り出そうという私たちにとってはあまり進むべき方向性ではありませんでした.

そこで私たちは,ここを掘っても企業努力と競合するだけだから,別の道に行こう!と考えました.

いままでもインタビューをしていたが,行き詰まりを感じていました.

私たちは誰とはなくこのような思いを持つようになりました.

それは,「ここまではインタビューで話を聞いて理解した気になっているだけだった,

実際の声を聴いて体験して理解する必要がありそうだ.」という思いです.

この時期に新規で農業を始める人向けのアカデミーにインタビューさせていただきました.またこのアカデミーを卒業して新規での行を始めた方にもインタビューをさせていただきました.

ここからインタビューは「それやってみていいですか?」のスタンスで行うようになりました.

インタビューに協力してくださった方に,改めて感謝申し上げます.

実際に現地で体を動かしてやってみることで分かったことがいくつもありました.

例えば「畑内の作物の移動の難しさ」や「野菜の梱包にかかる手間」,「新規にキレイな形の農地を手に入れることが難しいことによる形の複雑さ」がありました

ここで実際に体験させていただいたこの経験 が今回のソリューションに繋がりました.

得られたインタビューからいろいろな視点からアイデアが生まれました.

しかしどうも出したアイデアがしっくりこないという停滞に陥ってしましました.

着目点はよくても,同じメンバーで話続けて,発想が凝り固まってしまっている状況でした.

そこで自分たちの案を教員陣やEDPの先輩方、協力企業である丸山製作所の皆さんに積極的に相談をしました。その中で、畑の上空にレールを引いてものを運ぶという、最終プロダクトに通じる,可能性のありそうなアイデアを創出することができました。

この時点で残された時間は少なく,プログラムは佳境に入っていました.

とにかくアイデアを形にすることを重視し、プロトタイプを作成しました。その後ユーザーテストを行い、インサイト(自分たちのアイデアの基礎)を見直すというサイクルを回しました。

そして最終的な成果物として,スライドのような「畑上ノライン」が完成しました

私たちの活動では,

インタビューを通して「やってみて」実感した経験と,自分たちだけでなく他の人の意見も取り込むことで今回のプロダクトは完成にたどり着きました

私たちTeam-10は沢山のかかわりと協力によって活動することができました.

お世話になった方々に感謝申し上げます.ありがとうございました.

Self reflection&Messege ~各メンバーの振り返りと他メンバーへのメッセージ~ ここからは、team-10各メンバーの振り返りと他メンバーからのメッセージを記載します。

山本 レオ [東工大]

Yamamoto Leo

【EDPを振り返って】

私は、考えることが苦手な人間で、かつてあったかもしれない思考力はコロナ禍に奪われてしまったように感じた。加えて、その代わりに感情表現やアイデアを生み出す才能があるわけでもなかった。私が得意とするのは、二次創作、つまり、0から1ではなく、その1を100や-100、さらには1次元上の存在へと変換して楽しむことが、私にとっての特技であるかのようだ。そういった自分を見つめ直す良い機会だった。そんな私を受け入れてくれたチームメンバーに深く感謝しつつ、デザイン工房を後にした。

【他メンバーからのメッセージ】

明るくて、チームを常に話しやすい環境にしてくれていました。 動画も本当にすごいし、作業も早くて何度も助けられた… ありがとう![Kako]

レオのおかげで明るいチームで楽しく活動出来ました。また作成にほとんど時間のなかったはずの映像は、とてもクオリティの高いものでした。半年間ありがとう![Soma]

いつも周りをよく観察してくれていて、メンバーの空気感を拾って意見を出しやすい環境を作ってくれました。ありがとう!動画すごすぎ[Arisa]

レオがいるときは空気がレオ色になるような、独自のセンスがありました。発表に使った動画も皆褒めてたよ。[Hirotaka]

濟藤 颯真 [東工大]

Saito Soma

【EDPを振り返って】

ターゲットからインタビューをし、得た情報から更に踏み込むところに、難しさと共に面白さを感じた半年でした。思う通りにインタビュー出来なかったり、チームの空き時間が全然違ったりで困難も多くありました。そんな中でもチームの皆や多くの人の協力でなんとか完成まで漕ぎ着けられました。ありがとうございました!

【他メンバーからのメッセージ】

さすそま、さーそま、そんな流れでソーマは登場、 我がチーム唯一の技術屋、論理の王者。 そう、あたかもシビュラシステム。 東工大出身、知識は深く、洞察は鋭い。 わしらは、話が合うことが多く良い仲間(と書いてトモと呼ぶやつ)です。[Leo]

唯一の機械系で、意見もいろいろまとめてくれてすごく頼りになりました! 制作の最前線に常に立ってくれている感じに安心できていました。[Kako]

いつも確かなリーダーシップでメンバーを引っ張ってくれました。ありがとう![Arisa]

リーダーシップに甘えて割と好き勝手できていました。器の大きさに感謝。[Hirotaka]

勝間 有咲 [武蔵美]

Katsuma Arisa

【EDPを振り返って】

いつもの制作活動とは異なり、徹底的に主観をなくしてから制作するプロセスが新鮮でした。

【他メンバーからのメッセージ】

彼女は現代の忍者のような人だった。一見すると物静かで、しかし突如としてシュパッと情報の海を斬り裂く。そのスタイルは、派手さを排し、シンプルな美学を好む。そして、その趣味はSFに傾倒しており、未来技術への深い愛着を感じさせる。まるで、将来、ロボットを操る達人になるかのよう。 そして、この文章を読む彼女は、「痛すぎるわ〜」と関西弁でつぶやくであろう。その声は、未来への皮肉な予感を含みつつも、どこか温かい。その姿は、古き良き時代の忍者が現代に蘇ったかのよう。そう、静かなる風のように、しかし時には雷鳴と共に、この時代を駆け巡る。[Leo]

美大生仲間だけど専攻は違って、すごくいい刺激をもらいました。 ポスターもありがとう! 大きく印刷した時、めっちゃかっこよくてうれしかったです。 ありがとう![Kako]

ありさはデザインに強い人の多い我々のなかでもデザインのまとめ役でした。ポスターは時間も素材も不足していたはずなのに、素晴らしいものを作ってくれました。半年間ありがとう![Soma]

同じ大阪出身で話の馬がめちゃくちゃ合っていました。マジでいらん話も一番したかも。軽く優秀な感じが超よかったです。[Hirotaka]

西村 佳子 [多摩美]

Nishimura Kako

【EDPを振り返って】

制作ははじめてなことも多く、最初は戸惑ってばかりでしたが、心強いメンバーと教員陣、TA、協賛企業の皆さんに支えられ、最終発表会に臨むことができました。

【他メンバーからのメッセージ】

彼女は、たけのこニョッキのような存在だった。タイミングをいつも計りかねる、予測不可能なニョッキ。その不確かさの中にも、自らを堂々と1ニョッキできる勇気を持ち合わせている。 しかし、彼女の魅力はそれだけに留まらない。謎に満ちた世界で、閃光のように輝く知性を持っている。まるで、竹の中から現れたかぐや姫のように。あなたは、その謎めいた一面で周囲を魅了し、時には導く。[Leo]

かこはアイデアを出し制作をする上で多くの重要な意見を出し、制作をどんどん良いものにしてくれていました。イラストは状況が伝わりやすいピッタリのものをいつも出してくれました。最後まで頼りになりました。半年間ありがとう![Soma]

同じ属性(?)の人がグループにいて心強かったです。絵が上手!お互いの卒制見に行けたらいいなーと思ってます🎶ありがとう![Arisa]

いつも寝不足の中お疲れ様です。春休みはいっぱい寝てください。[Hirotaka]

田中 裕隆 [東工大]

Tanaka Hirotaka

【EDPを振り返って】

序盤は前向き、中盤テーマへの怒り、終盤は勢いといった半年でした。メンバーがかなり右脳寄りだったので表現には何の苦もない、偏りが逆に強みになったと思います。

【他メンバーからのメッセージ】

ある冬の日、焼き肉屋での勤務辞めた男がいた。僕らは彼の社割を駆使しての打ち上げをしようとしていた。そのメニューはもちろん、焼き肉。その場には、肉の芳ばしい香りがもう漂っているかのようだった。しかし、彼は焼き肉屋を辞めてしまったのだ。焼き肉を食べることへの期待は、一瞬にして消え去った。 「食べたかったよ、焼き肉…」 デザイン工房では、この言葉が小さな嘆きとなってこだました。食べ物にまつわる恨みは、意外と深い。 そんな彼に僕は言う「君のセンスは素晴らしい。インターンと就活、頑張ってね」[Leo]

いつもいろんな引き出しを持ってて、絵も描けて、勝手にアイデアメーカーと脳内で呼んでました。すごすぎる。 スケジュールとかも気にかけてくれていて、チームメンバーで良かったと本当に思いました。 ありがとう![Kako]

ひろたかがチームで動く上でどんどん意見を出してくれるおかげで活動がどんどん進みました。ポンチ絵で仕様をまとめたり、進捗を管理したりと面目躍如の活躍でした。半年間ありがとう![Soma]

積極的に話しかけたり、意見を聞き出してくれてアウェイな環境でも緊張せずいられました。ありがとう![Arisa]

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