誰にインタビューするかではなく、誰が誰とインタビューをするか

松村です。昨年の6月から今年の2月まで情報系エンジニアとしてエンジニアリングデザインプロジェクトに参加していました。今回のプロジェクトを通して感じた主題のことについて記事を書きます。

デザイン思考においてユーザーインタビューは必要不可欠です。なぜなら、それが我々の目指すユーザーの材料となり、深掘りする人となるからです。ただ、ユーザーインタビューでは、プロジェクト外、チーム外の人を多く巻き込むため、時間が限られていたり、会う回数が限られていたりするため、なかなか一回の密度を濃くすることが難しいのです。

そこで、私がプロジェクトを推進する中で感じたのは、ユーザーインタビューにおいて一番重要なのは「誰にインタビューするか」ではなく、「誰が誰とインタビューするか」であるということです。

誰がインタビューするのか」の事例をあげます。社会との接点が少なくなっている高齢者を対象ユーザーとしたプロダクトを作っていた時、86歳の女性のMさんにユーザーインタビューを行いました。

プロトタイプを利用してくださっているときのMさん

彼女は、昔はホームパーティを開いていたような女性で、家族ぐるみで芸術好きな方でした。ただ、よく顔を出してくれる親族はそこまで若くなかったり、芸術がわからない男性だったりと、新鮮さや興味に合わない人が多かったのです。そんな彼女の自宅へ男女の学生二人で行くと「女の子が来るなんて思ってなかった」と、とても嬉しそうでした。男子学生も芸術が好きで、その話で盛り上がっていました。その結果、心を開いてくださり、より深く聴けたため、ユーザーインサイトの深掘りまで繋げられました。それに加え、プロトタイプの実験にも協力していただきました。

次に「誰とインタビューに行くのか」の事例をあげます。シャイでなかなかグループワークで意見を出せない人を対象ユーザーとしたプロダクトを作っていた時、シャイな男性Yさんにユーザーインタビューを行いました。

シャイな男性Yさん

はじめは「自分が注目を浴びて恥ずかしい」などとシャイな発言をしていましたが、奥さんと一緒にインタビューを始めると、これまでとは明らかに違った顔・テンションで話し始めました。この変化が面白く、インサイトにつながるインタビューへつながりました。

デザイン思考の授業でユーザーインタビューのときに考えがちなのは「誰にインタビューするか」ですが、それだけでなく「誰がインタビューしに行くのか」「誰とインタビューしに行くのか」も考えてインタビューしていくことが大事だと実感できた体験でした。

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