Yosuke Kimura
TO NINE BLOG
Published in
7 min readNov 4, 2016

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ミレニアルズ世代の心をつかむ『嘘をつかない』というブランディング戦略

http://www.inquisitr.com/1926342/american-millennials-are-useless/

ブログで紹介した『Warby Parker』や『EVERLANE』のような新興ブランドを支えている世代がいるのを知っているだろうか?

彼らはミレニアルズ世代と呼ばれている。

アメリカで注目されていて一般的 には1980年から2000年の間に生まれた20歳から35歳くらいが対象である。

その数、3人に1人がミレニアルズ世代と呼ばれ、ベビーブーマーをしのぐ大世代集団と呼ばれている。

投票が11月8日に迫っているアメリカの大統領選でも戦局を左右すると言われてる世代である。

ミレニアルズ世代は、これまでで最も人口が多く、世界の消費活動に破壊的な影響力を持っている。

しかし彼らは、働く頃に2008年のリーマンショックを経験し、長らく先行き不透明な経済の問題で消費にコンサバティブになり、大量生産大量消費のような消費活動を嫌い"モノ"を所有しなくなる傾向になりつつある。

中でもアパレル業界は転換期にあり、モノが売れなくなり苦戦する企業も増えているのが現状だ。

今後ブランディング活動を行っていく上で、超巨大世代のミレニアルズの心をつかむ戦略が重要である。

まずはミレニアルズ世代についてリサーチデータを紹介。

Research Date

・一般的 には1980年から2000年の間に生まれた世 代で20歳から35歳

・人口的には8000万人から9000万人と、米国人口の4分の1から3分の1近くを占める最大の世代

・ベビーブーマーをしのぐ大世代集団、ミレニアルズと呼ばれている

・働き始めた頃の2008年に起きた金融危機の打撃を受けた世代

・未だ就職氷河期であり雇用や収入の問題で「身を落ち着ける」考えになっており保守的な世代

・物心ついた時からコンピューターがあった最初のデジタルネイティブ世代

・84%以上がスマートフォン を持っており、携帯チェックの回数は1日に40回以上

・世代的価値観が変化し若者の消費離れが問題化

・モノを所有することを嫌い、シェアリングエコノミーで共有する

リーマンショックが起きた2008年
ミレニアルズはデジタルネイティブでSNSによるコミュニケーションが自然である https://www.everplans.com/articles/5-reasons-millennials-should-start-planning-now

ミレニアル世代の心をつかむブランディング戦略は主に4つであると考察する

1)体験価値が伴っていること

2)価格への納得感を提示

3)自己主張しすぎないブランディング

4)シェアしたくなる仕掛け

1)体験価値が伴っていること

ミレニアルズ世代はデジタルネイティブであることや、SNS などに精通している経験から、消費行動においても体験を「シェア」するのが特徴的である。

ミレニアルズ世代の環境ではインターネットを通じて情報がいつでも入ってくるので、簡単に、手軽に疑似体験することが容易になった。

そのため戦略として本当に必要なものやその場にいないと価値を享受できない

“体験価値”の要素が含まれるブランディング戦略が重要である。

2)価格への納得感を提示

しかし、ミレニアルズ世代も”体験価値”に消費欲が移り変わっているものの、”モノ”を買わなくなったわけではない。

前回の記事で「EVERLANE(エバーレーン)」の強みを販売アイテムのコストを明示する”徹底された透明性”であると紹介した。

EVERLANEは、製品が完成するまでの、原価や製造工場、材料費までも明示し徹底的な透明性をブランディングとしている。

ミレニアルズ世代の消費行動の特徴として、「納得したものに対して消費行動をとる」という傾向が強いため、

このブランドのように価格に対して価値が明確、または価値がわかりやすい商品やサービスには多少高くてもお金を出す傾向にある。

EVERLANEがミレニアルズ世代からの支持が多いことも納得できるのではないだろうか。

前回のブログ

3)自己主張しすぎないブランディング

インターネットが普及する前は、テレビや雑誌といったブランドの広告などの情報を一方向から消費者が受け取る時代であったが、

デジタル化が進みミレニアルズ世代にとっては当たり前のようにスマートフォンを常に持ち歩くようになった。

そのためミレニアルズ世代は情報を受け取るだけでなく、自らSNSを通じて発信し他人に共有することが手軽になった。

そのため売り手企業が主導する価値観に従う必要はなく、個々人の多様な価値観が優先されるようになったのである。

そのため一方向的に価値を受けるような、主張の強いブランドロゴのアイテムを避けがちで、控えめなデザインで自己主張しすぎない商品が選ばれやすいのである。

彼らはどちらかというとシンプルな無印良品やUNIQLO、EVERLANEなどの洋服を購入することが多く、

ブランド志向の消費活動よりも、自分のアイデンティティに合ったスタイリングを自分でコーディネートする価値観へと変化している。

4)シェアしたくなる仕掛け

自ら消費体験などを積極的に発信したいと思っているミレニアルズ世代は、企業やブランドのコンテンツを気に入れば、すすんで情報をシェアするのも特徴である。

企業にとってSNSなどのソーシャルメディを通して不特定多数の顧客へ発信してくれるのも大きなメリットであろう。

ソーシャル志向のミレニアルズ世代の彼らにとって、環境活動や地域活性事業などを通して企業理念の発信も有効である。

こちらも以前の記事「WarbyPeakerのブランディング戦略」の紹介になるが、このブランドはWarbyPeakerのメガネを買うと、慈善団体を通じて発展途上国に寄付されるプログラムを行っている。

短期的な売上戦略だけでなく、中長期的な視点でソーシャルグッドな活動を通して社会や顧客とのインタラクティブな関係性を構築することで、多くのミレニアルズ世代の心をつかんでいるといえる。

2016年8月17日のブログ

良い製品を一方向的に販売するのではなく、一人ひとりにあったマーケティングでコミュニケーションを取ることが企業やブランドに求められる。

1)モノ消費よりも体験価値を求める"リアル"消費志向。

2)価値と価格へ納得する"合理性"消費志向

3)ブランド志向からスタイリング志向の"生き方"への変化

4)友人とシェアする"偽りのない情報"を選択する消費

上記の要素の共通点からも”嘘偽りのないブランド”が支持されてると言えるのではないだろうか。

時代にあった等身大の消費志向。

そんな史上初の「デジタルネイティブ」であり、「超多様な価値観を持つ」ミレニアルズ世代の心をつかむには、

最適な価格で透明性がある偽りのないブランドこそが、多くのミレニアルズ世代のこころをつかむブランディングなるといえるだろう。

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