オンライン授業の可能性
すでに起こった未来を楽しむために
来週から、オンライン授業やって頂けませんか?
講師をしている高校で、その日は突然やってきた。
この非常事態において、生徒たちの学びを止めないために、私たちに何ができるのだろう...この問いからコミュニティの新しい試みが始まった。
しかし、突然の変化に、みんな目が回っているようだ。中には勇気をくじかれた人もいる。なんとかしたいと自分も内なる衝動に駆り立てられる。
すでに起こった未来
現代の哲人と呼ばれるピーター・ドラッカーの言葉で、変化は起こったが人々が気づいていないことを例えたものだ。今、まわりを見渡してみると、こんな地方の小さな街でも、インターネットが普及しきっていることにあらためて気づかされる。
「今日からオンライン授業を始めます。」
環境の急激な変化は、大人だけでなく、子どもたちにも容赦なく襲いかかる。
でも、大丈夫。デジタルネイティブの彼等は、いとも軽やかに環境の変化に適応している。まるで、生まれて初めて凧揚げをやったら、いきなり上手くいってる感じ。最初はちょっと不安だが、そのうち凧と自分をつなぐ糸を通じて、大空を飛び回る「感覚」を大いに楽しめるようになる。
「オンライン授業って、どう?」
「楽しい!オンライン授業、最高!」
人類は素晴らしいツールを発明したものだ。外出ができない子どもたちをつなぎ合わせ、一緒に学びを楽しむことのできる場を創り出している。しかも、あっという間に...
こういう、急激な変化は、たいてい大人の方が適応に困難を伴う。
「もし...が起こったら、どうしよう?」
旧来の知識・経験が、意識的、無意識的に行動を阻害することがある。
子どもが、初めて自転車に乗ろうとする時を想像して欲しい。
「そもそも、自転車というものは、ジャイロ効果というものの応用で...」なんて、説明から始めることはないだろう。
子どもは、まわりで楽しそうに自転車を乗り回している人を見て、自分も乗りたい!っていう衝動に駆られる。
ときたま公園で、大人が子どもにあーだこーだといいながら自転車の乗り方を教えているシーンを見かける。たいてい子どもの目は涙目に。そのうち「もう、やめた!」となる。まるで燃えてるやつに水を掛けてるようなシーン。見ていて気持ちの良いものではない。
私の場合、友だちの自転車を借りて乗ったのが人生初めての体験。誰からも何も言われず、ただ黙々とトライ&エラーを繰り返し、あっという間に乗れるようになった。自分ではわざわざ自転車に乗る練習をしたという記憶はない。けん玉や、竹馬と同じようなワクワク楽しい感覚だった...そう、自分はラッキーだった。
小さな失敗を繰り返し、自分自身の学びを振り返り、自分に合った学び方を発見していく。そんなプロセスは楽しい。まさに子どもの頃遊んだ「砂場」の感覚が蘇る。
本来、学ぶことはワクワク楽しいはず。もっと楽しく、ずっと続けていければ、人生はもっと楽しくワクワクしていくはず。
一緒に学ぶコミュニティが欲しい。
5年ほど前、その望みはいきなり叶った。toiee Lab という、人本来の学習の仕組みを一緒に研究する仲間ができた。ワークショップの設計やラーニング・デザイン、ラーニング・ファシリテーションを分かりやすく、学びやすくする研究を通じて、自分たちで教育を直接届けることを始めた。主にオンライン・チーム学習やオンラインコースを手掛けている。
仲間は大阪をはじめ、東京やその他全国の地域へ、そして海外へも広がって行った。
このチームが、5年ほど前から全国に散らばる仲間と連携するためにzoomを導入したのは必然だった。
より進化するためにバージョンアップを繰り返すzoom。日々その利便性を享受している自分たちにとって当たり前のことが、教育の分野、特にこの日本では全く異なった状況であることに苦慮していた。
「私、そもそもITが苦手なので...」
多くの人が残念そうに語る。自分には出来ないと言う。まるで人生一度切りの失敗が一生続くものだと信じているように。
大丈夫、それはただ単に学び方が間違っていただけ。自分に合っていなかっただけ。誰もが必ず学べる。それは、赤ちゃんが自然と言葉を学習していくように...
仕組みを学ぶ、学び方を学ぶ
今、目の前の生徒たちは「すでに起こった未来」の真っ直中にいる。
オンライン授業の実現に必要なツールは、生徒たちが幅広く学ぶためのツールの一つにすぎない。
しかし、人を育てる立場の自分は使ったことがないので教えられない...という不安がよぎる。
でも、大丈夫。そんなときは、先ず「仕組み」を理解すればいい。そうすれば、こんな時はこうなりそう...こんな場合はこうなるかも...自分なりの仮説が沸々と湧き上がってくる。
そして、やり方ではなく「学び方」を学べばいい。
toiee Lab ではそんな人のために「zoom マスターコース」をつくった。アナログとデジタルをバランス良く、軽やかに使いこなすために役立ててほしい。