そこにある

徳島で暮らして3年。お隣、高知から発信される「まだ東京で消耗してるの?」というコピーには目にタコができた。

地方は、スローライフや丁寧な暮らしとセットで語られる。それはきっと消耗せず、英気を養う暮らしだ。でも、地方にいながら、東京に近い働き方をすることもある。日々の業務で消耗することは仕方ない。お給料をもらって働けることに感謝しないといけないとも思う。

それなら休日は?美術展は来ない。観たい映画はやらない。行きたいライブもない。何もない。「何もない、がある」というフレーズは、地方をおしゃれに語るときよく耳にしたが、「何もない、は、本当に何もないのだ」と絶望した。

でも、本当は、そこにあったのです。

どこに自分が求めているものがあるのか、アクセスが見えにくかっただけ。「14g」を発見してからというもの、明らかに暮らしの文化度が上がり、徳島の良さをとてもフラットに見つけられるようになった。キュレーターをひとつ見つけたら、あとは簡単。芋づる式。「おとなり3」や「ナガヤプロジェクト」には新鮮で個性的で面白い人たちがいっぱい息をしていた。

お気に入りのカフェやバーが見つかって、出迎えてくれる人の顔が浮かぶようになってからが暮らし、故郷の始まり。

出会いに恵まれた私はすごくツイてると思うし、繋がれていない人は掘り起こしたい。地方で燻ってる転勤女子がいたら、どうせ燻るくらいなら燻製パーティーやろうと声をかけたい。徳島で見つけた素敵な場所や人は共有したいし、転勤女子目線で47都道府県の口コミを作りたい。このプロジェクトではそんなことをやってみたい。

本も読まなければいけないし、借りている映画も見なければいけないし、彼女もつくないければいけないし、知らない町に行って蕎麦でも食べなければいけないし、道ばたの花を見て季節の変わり目も感じなければいけない。けれど、いまは、全部、なにもしたくない。本屋さんへ行くことしか、やりたいことがない。やれることがない。

島田潤一郎さんの『あしたから出版社』より。まずはmediumを習熟することを第一に、とりあえず引用機能を使ってみました。

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