海外メディアが使う4つのデータ関連ツール

Marika Katanuma
TOKYObeta Journal
Published in
7 min readJan 13, 2016

海外のメディアが使うデータビジュアリゼーションやデータジャーナリズムに役立つツールを、事例を踏まえて4つ紹介します。プログラミングの知識は一切必要ありません。

1. 情報を時系列にまとめる(Timeline JS)

Timeline JSは、ノースイースタン大学のKnight Lab(メディアイノベーションのラボ)が開発したGoogle ChormやSafaliなどを含む5つのブラウザに対応したタイムライン。作成方法は、スプレッドシートに情報を入力し、それをウェブ上にアップロードするだけ。画像やYoutubeの動画も、リンクを入力するだけでタイムラインに含むことが可能。サービスは全て無料で、スマホに対応している。

公式サイトにあるテンプレートに、情報を打ち込むだけで簡単にタイムラインを作ることできる。

スプレッドシートのサンプル(イメージ:Timeline JS 公式ホームページ

Timeline JS 使用例(ボストングローブ)

ボストングローブ、ボストンマラソンテロ事件のタイムライン(イメージ:ボストングローブ公式ホームページ

ボストンの地方紙ボストングローブは、ボストンマラソンテロ事件の裁判軌跡をTimeline JSでまとめている。時系列に情報を整理することによって、読み手が裁判の軌跡を振りかえったり、時系列に全体の流れを捉えることができる。

2. ビフォーアフターをわかりやすく(Juxtapose JS)

写真は、ソチオリンピック会場のBefore(2005)/ After(2013) / イメージ(Juxtapose JS公式サイト)

同じくノースイースタン大学のKnight Labが開発したJuxtapose JSは、異なる時期に取られた写真を比較するためのツール。真ん中のバーを左右に動かして、両方の写真の全体を比較しながら見ることができる。サービスは全て無料で、スマホ対応している。

写真のリンクなどの情報の入力画面 / イメージ(Juxtapose JS公式サイト)

作成方法はシンプルで、写真のリンク、日付やキャプションを入力するのみ。

Juxtapose JS 使用例 (Fusion)

イメージ: Before and after: How shadow prisons transformed rural America

Fusionは、「Before and after: How shadow prisons transformed rural America」という違法移民を多く収容する刑務所についての記事でJuxtapose JSを使用した。

イメージ: Before and after: How shadow prisons transformed rural America

ミシシッピ州に刑務所が建てられる前とその後に撮られた航空写真が比較されている。

3. 時間に追われるメディアが使う(Silk)

Silkで可能なデータビジュアリゼーション (イメーシ: Silk公式サイト)

Silkはスプレッドシートのみでシンプルなマップ、チャートやグラフを素早く作ることができるプラットホーム。サービスは全て無料で、スマホ対応している。

締め切りに追われる記者でも、データビジュアリゼーションができるように、操作の簡単さに特化しているのが特徴。Silkは、これまでにCNN, The Atlantic, the Guardianや、Business Insiderなどのメディアで使われている。

イメージ: Silk for Journalismの公式サイト

Silkは「Silk for Journalism」というプログラムを立ち上げ、メディアでのデータビジュアリゼーションの普及に力を入れている。このプログラムでは、ジャーナリストやメディア団体にSilkの活用方法を教えるトレーンングセッションを無料で提供している。

Silk 使用例(CNN)

イメージ: Measles outbreak: How bad is it?

CNNは、2014年にアメリカで15年ぶりに大流行したはしかに関する記事でSilkのマップを使用。カリフォルニア州内のワクチン接種状況を可視化した。

4. データ抽出に役立つ(import.io)

import.ioは、オンライン上のウェブスクレイピング(PDFやウェブサイトに直接入力されているデータを抽出し、データ分析やビジュアリゼーションに対応したCSVやExcelに変換すること)を簡単にした無料のソフトウェア。自分が指定した箇所のみのデータを抽出し、ファイルを作成することも可能。

オープンデータではあるが、PDFやウェブ上に転載されているだけのデータのデータビジュアリゼーションやデータ分析を可能にした。CSV, Excel, Google Sheetsや、JSONに対応している。

Enter URLとあるバーにリンクを投入する

使い方は、使用したいデータが転載されているサイトやPDFのリンクを入力するだけ。

import.coデータ抽出画面

すると、このようにデータが抽出され、それをcvsなどでダウンロードすることが可能。

import.co 使用例 (サンフランシスコ・クロニクル)

イメージ: The Airbnb effect

アメリカの日刊紙サンフランシスコ・クロニクルは、「The Airbnb effect」という記事でimport.coを使用。Airbnbの宿泊施設の場所や価格のデータを、Airbnbの公式サイトなどからスクレイプし、そのデータをもとにマップを作成した。

多くの海外メディアは、さまざまなフリーツールを使ってデータビジュアリゼーションを報道に取り入れている。だが、やみくもにデータを可視化すればいいわけではない。「伝えたいデータや情報を、一番伝わりやすい方法で届ける」という前提のもとで、ツールを使い分けながら活用していくことが大切だと思う。

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