人と組織の多様性を受け止めることから:評価の視点からデータベースのこれからを考えてみる

CANPANとともに企画している、2019年の活動主体のデータベースを考える勉強会。全5回の勉強会を踏まえながら、公益活動を支えるためのデータベースのあり方を議論していきます。

8月3日に開催された第三回目のテーマは「「事業」「人」「評価」を切り口に考える」。団体としてNPOを評価する際に、人、事業、成果などさまざまな評価ポイントがあります。これらを踏まえたうえで、データベースに求められるものを考える時間となりました。

ゲストに、NPOや財団など公益組織に対してコンサルティングなどを行うPubliCoの山元圭太さんをお呼びし、公益組織に接するなかで、事業・人・成果・評価をみるために必要な視点についてお話いただきました。

公益組織を評価するために必要な6つの視点

過去二回同様、冒頭に勉強会の趣旨をCANPANの山田さん、CANPANのこれまでの振り返りを吉野さんに行っていただきました。これまでの勉強会を踏まえ、テーマが違うなかで毎回参加してくれる方もいれば、テーマにあわせてそれぞれの関心事に合わせて参加いただく方など、毎回15人から20人程度の会のなかで、実にさまざまな立場な人たちに参加いただいています。参加者の属性も毎回異なるなかで、次第に共通の課題や個別の課題などが見えてきました。

ゲストの山元さんが代表取締役を務めるPubliCoは、「社会を変える組織をつくる」を目指し、公益組織に対してコンサルティングやスクール、セミナーなどを行っています。日々、公益組織と伴走しながら事業を行うなかで、公益組織が成長するために必要な6つの視点についてお話いただきました。

一つ目は事業ステージ。シードステージ、アーリーステージなどのそれぞれの事業ステージ毎の状況を把握。それらに合わせて社会的青果、財源基盤、組織基盤の項目をあてはめながら、公益組織の事業ステージを的確に分析することが必要だと話します。

二つ目は経営戦略における10ステップについて。経営戦略を考える上で、最初の4ステップである組織使命や社会課題の問題構造の把握、そこから問題解決の仮説と役割定義を「社会を変える計画」、次に成果目標、必要資源(資金や人材など)、資源調達といった「事業計画」、最期に組織基盤、実践実行、カイゼンといった「実行計画」という10ステップがあると山元さんは話します。「これらのステップをきちんと踏まえながら経営戦略を組みましょう」と山元さん。

三つ目は課題解決型か価値創造型か、といった公益組織の方向性について。「一括りに公益組織といっても、その性質によって事業の方向性や日々のコミュニケーションなどが違ってきます」と山元さんは指摘します。課題解決型は、誰もが描ける課題に対して明確なビジョンを示すことによってその方向性が定まるのに対し、価値創造型はどのような価値を生み出すかによってその方向性は変化してきます。事業においても、課題解決型は一つの事業に集中するのに対し、価値創造型はさまざまな事業を試すことによってそこからのフィードバックや反応をもとに修正をかけていかなければいけません。

公益組織の多く、また経営陣の多くが自らを課題解決型だと思っているが、自身の組織が価値創造型だと気づくことで、経営陣とスタッフの間のコミュニケーションのズレやフラストレーションが解消されることがあるとのこと。今一度、自分たちの組織のあり方がどういったものかを振り返るといいかもしれません。

四つ目が起業家のタイプです。山元さんは、起業家は利益の最大化を目指すエコノミック、社会課題解決などビジョンの実現を目的とするソーシャル、理想の暮しの実現を目指すライフの3つのタイプに分類できると話します。それぞれのタイプに合わせて、戦略立案方法も変わってくるとのこと。もちろん、それぞれが完全に分離するのではなく、どのタイプに寄っているかというものでもあります。自身の考えに照らし合わせて、自分のタイプはどれに近いかを考えるといいかもしれません。

五つ目がロジックモデルの策定です。事業から成果目標などを整理し、社会的インパクト評価を測るためのロジックモデルを作成し、各指標にきちんと数値目標を掲げることが大切だと山元さんは話します。

六つ目がエニアグラムです。エニアグラムは、個人の特性を9つのタイプに分類し、自己の性格や、スタッフ同士の互いの性格を把握した上で、最適な組織編成や組織に足りない部分を見出すことができます。また、山元さんはエニアグラムの9つの分類の二次元だけでなく、三次元的なレベルがあると話します。それぞれの性格のレベルをもとに、心の段階があり、より高いレベルにあることによって、相互の性格がより作用してくるとのこと。もちろん、こうしたテストがすべてではないですが、一つの参照として参考になるのではないでしょうか。

さまざまな団体の方向性や起業家のタイプ、そこで働く人たちの性格や傾向を把握し、そこから適切な事業の進め方や評価やカイゼンを促していく。山元さんは「思った以上に多様な個人、多様な組織が存在し、どれもが正しく、また何かが欠けているんです」と話します。完璧な個人や組織はありません。だからこそ、それぞれの弱みを踏まえながら、互いに支え補完しあうことで、組織が成長し、事業そのものもカイゼンされていくのです。

事業の根底には「私、もしくは組織が心の底から望むものは何か、自分自身はどうありたいかに向き合いことが大切」だと山元さんは話します。個人、もしくは組織がどうありたいかが深い部分で共有されていなければ、どんな組織も意味がありません。そのためにも、他者理解と同時に自己理解が必要と山元さんは指摘します。多様性を受け止め、深めていくことこそ、事業成長と、事業が評価されていく重要な要素なのです。

人と事業を評価するためのデータベースとは

山元さんから、組織を見る視点をお話いただいた後は、各グループに分かれ、事業や団体をどのように評価するか、データベースとして必要な要素はなにかをディスカッションしました。

Aグループでは、メンバーのキャリアやスキルといったパーソナルなものや、事業の自己評価、アセスメントシートによる定量化といったことが挙げられました。

Bグループでは、団体評価と代表への評価を区分けすることが必要だ、といった意見がでました。また、理事長などの表に出やすい人ではなく、ナンバー2の評価の重要性が議論されたようです。

Cグループでは、それぞれの団体の活動エリア(都道府県、市町村)を知ることで、逆に、各エリアによって強い分野と弱い分野が見えてくるのではないか、そこの足りない部分を支援する道筋がみえてくる、といったデータベースの活用法などの意見が飛び交いました。

これらを含め、後半では「人」と「事業」に分け、それぞれの評価に必要なデータベースのあり方について議論しました。

「人」では、スタッフのスキルや職歴だけでなく、所属しているコミュニティや学会といった専門性のわかる情報をもとに、個人の能力やネットワークが可視化されるはず、といった意見や、事務局などの代表だけでない裏方スタッフの重要性がプロジェクトの成否が決まるということから、普段なかなか表にでない事務局スタッフの顔や事務局スタッフの口コミや評価があるといい、などの意見が出ました。

「事業」では、組織が変化していったか、毎年の評価や団体のサマリー情報がまとまった一枚評価情報をデータベースでストックしていくことで、各団体の経年の変化が見えてくるという話や、データベース自体の機能として、検索条件やマイページ機能といった要素、無料で見えるオープンな情報だけでなく、口コミなどのなかなか表に出づらい情報であれば有料なり課金の仕組みが導入できるのでは、といったデータベースのサービス自体の改善案も。また、海外が日本のNPOに寄付や協業の流れが生みやすくするために、多言語対応や翻訳機能など、基盤としての価値を向上させようという意見もでてきました。

山元さんによる組織分析のお話をうけ、我々が組織のどこを見るべきか、組織それぞれにも働いているスタッフや組織そのものの性格や個性があり、それらを丁寧に解きほぐしながら評価や経営戦略を組んでいくことの大切さを実感しました。「人」と「組織」、そこから先にある事業のあり方を適切に分析・評価するために必要なデータベースのあり方がまた一つ見えてきました。

(これまでの勉強会の様子はこちら)

One clap, two clap, three clap, forty?

By clapping more or less, you can signal to us which stories really stand out.