NPOジャーナリズム団体「IRE」、そして「CAR 2016」のハイライト

Marika Katanuma
TOKYObeta Journal
Published in
5 min readMay 17, 2016
CAR 2016 カンフェランス/ Photo credit: Dingfang Zhou

2016年3月に、アメリカ・コロラド州で開催されたIRE(Investigative Reporters & Editors)主催のCAR 2016 カンファレンスに、IRE学生会員として参加した。5日間のカンファレンスでは、ジャーナリズムとテクノロジーの融合をテーマとしたハンズオンセッションやパネルディスカッションを通し、参加者同士が知恵、経験やスキルを学び合う場が提供された。

IREとは?

Photo credit: IRE Twitter Account

IRE(Investigative Reporters & Editors)とは、調査報道の質の向上を推進するアメリカの非営利ジャーナリズム団体。最近では、データジャーナリズムやデータビジュアリゼーションを取り入れた調査報道のエコシステム構築に力を入れている。

IRE会員ってどんなひと?

IREメンバーを一言で表現すると、Journalism Experimentalist(ジャーナリズムの実験者)。ジャーナリズム(特に調査報道)の現場で日々新しいことに挑戦し続ける個人の集まりである。

IREは、おもに以下のメンバー構成からなっている。

現場のプロ: 世界中から集まったレガシーメディアの関係者、フリーランスのジャーナリスト、ジャーナリズムスタートアップやNPOメディアなどの記者、編集者、エンジニアやデザイナーなど。

教育のプロ:ジャーナリズムスクールの教授やIRE専属スタッフ。

学生::ジャーナリズムを勉強する大学生や、ジャーナリズムスクールに通う大学院生など。

ジャーナリズムのいま、そしてこれからを知りたい、変えたい、という考えの最先端を提案するIREは、幅広い世代のJournalism SavvyであるIREメンバー によって支えられている。

「CAR カンファレンス」とは?

IREのプログラムの一つであるCARカンファレンスは、IREメンバーが参加する勉強会であり、CAR(Conputer-Assisted Reporting:コンピューター補助報道)のスキルや理論のシェアを目的としている。

CAR カンファレンス2016のハイライト

スキル面では、現役のメディア関係者やIREスタッフによるハンズオンセッションを通し、データ分析やデータビジュアリゼーションのツールや言語(エクセル、Tableau、R言語やPythonなど)を学ぶセッションが目立った。

「Excel for business and economics」のセッション Photo credit: Yanshu Lee

セッション例

「Intro to R」

「Excel for business and economics」

「Data wrangling with Python」

「Finding and telling data stories with Tableau Public」

「Training your newsroom to look for data and interactive ideas」

理論面では、「ジャーナリズムにおける人とテクノロジーのアルゴリズムとその可能性」や「量的データの人間化」といったテーマで、最先端のテクノロジーと調査報道の融合に焦点をおいたパネルディスカッションが展開された。その一方で、アカデミー賞を受賞した映画『Spotlight』を切り口に、調査報道の本質に返り、古き良きジャーナリズムを鼓舞するトークも興味深かった。

セッション例

「Humanizing numbers」

「Conversations: Automation v. humanization」

「What’s the story with algorithms?」

「Spotlight on the story」

「Key data for all of your stories」

ジャーナリズム論、データ分析、デザイン、プログラミングなど、21世紀のジャーナリストが必要とする知識やスキルを満遍なく網羅したカンフェランスとなった。

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