上野ナイトパーク構想、および上野にまつわるプロジェクトの合同報告会を実施

私が事務局次長を務めている東京文化資源会議による合同発表会が7月11日に開催された。

東京文化資源会議は、上野や本郷、谷根千、秋葉原、神保町など、東京都心北部の特色ある文化が多く点在する地域を軸に、歴史や文化的な地域資源豊かなこれらの地域のソフトやハードをあわせた様々な文化資源を活かした、これからのまちづくりを考え、進めていくための会議体だ。

これまでに10以上ものプロジェクトが立ち上がり、それぞれの地域の文化資源を探求しながら、都市計画や地域コミュニティを作るための様々な企画や活動が生まれている。

そのなかで、上野を中心としたプロジェクトとして、上野スクエア構想、TTT(トーキョー・トラム・タウン)構想、そして上野ナイトパーク構想の三つを中心とした、上野関連プロジェクトの行動報告会を開催することとなった。

開放系文化資源をつなぐ

上野スクエア構想とは、上野のダウンタウンを中心に、上野の杜と街とをつなぐプロジェクトだ。プロジェクトを進めていくなかで、上野エリアの本質でもある「文化×街」を体験するものとして「開放系文化資源」という概念を構築。施設など一つの場所で完結せず、街との接点を多くつくりながら、広く誰もが参加できる滞在の仕方をもとに多様な選択肢を提供する文化資源と定義し、都市空間が持つ様々な文化資源に着目しながら、上野エリアのまちづくりに寄与する取り組みを行っている。

開放系文化資源として「不忍池」「湯島天満宮」「広小路・御徒町駅前」「アーツ千代田3331」という4つのスポットをもとに、この4スポットに囲まれたエリアを「上野スクエア」と見定め、千代田区・文京区・台東区の3区を横断したエリアづくりをしながら、上野の杜や本郷、秋葉原といった周辺の文化エリアとをつなぐ取り組みを行っている。今年度は、上野にある池之端商店街らとともに、商店街の活性化のためのタウンミーティングや、商店街にある空きテナントを利活用した「アーツ&スナック運動」を開催。スナックという大衆文化とアートをかけ合わせた新たな取り組みも始めている。

スローなモビリティから都市を考える

TTT構想とは、東京文化資源区内を走る「スローな交通手段とシステム」について考えるプロジェクト。ファストではなく、スローなモビリティの導入をもとに、新しい都市生活像や都市文化のデザインについて考えるチームだ。

モビリティを考えることは「移動」を考えること。モビリティはついつい乗り物そのものに目が行きがちだが、そうではなく、人が移動すること、単にA地点からB地点へ移動するだけでなく、その移動のプロセスなども考える必要がある。移動と移動の「間」、行ったり止まったり人が佇んだり。都市の風景のなかに人がそこにいる景色が生み出すことで、街のあり方も大きく変化していく。

スローモビリティとして、当初はトラムの導入を念頭に置かれていたが、ただトラムがあることだけでなく、トラムが生み出すコミュニケーションデザインや、スローモビリティを通じたライフスタイルのあり方など、幅広い議論がプロジェクト内では行われている。

夜の文化活動を促進するために

上野ナイトパーク構想とは、上野公園とその周辺の地域にある文化資源を、昼間だけでなく夜間も含めて活用することによる新たな公園活用を提案するプロジェクトだ。上野公園は美術館や博物館など、多様な施設や文化資源が豊富にある場所だが、その多くは昼間の活用に留まっている。しかし、ポスト2020年に向けた持続可能な社会のあり方を考えた時、多くの外国人が日本に訪れるなか、日本が世界の主要都市として活動していくためにも、夜の文化的な活動を楽しむことは大きなポテンシャルを秘めている。

それこそ、海外にいけばオペラやミュージカルなどの音楽イベント、コンサートやライブといった活動など、夜の文化的な活動は枚挙にいとまがない。同時に、これらがいつでもどこでも楽しめる環境があることで、新たな文化創造にも寄与していく。いわゆる「ナイトタイムエコノミー」と呼ばれるこの考えを日本で推進していくために、上野公園という歴史的にも文化・娯楽を楽しむ象徴的な場所が、ナイトパークとして場になることに大きな意味を持っている。

上野ナイトパーク構想では、検討委員会を重ね、構想についてまとめた資料を軸に、具体的な活動に落とし込むための実行委員会を進めている。

これら三つのプロジェクトの概要と進捗を発表しながら、地理的にも、プロジェクトの内容的にも連携が図れるこれらの取り組みの今後の可能性などを議論したのが、この合同報告会だ。

上野スクエア構想は、座長である中島直人氏、TTT構想座長の中島伸氏、上野ナイトパーク構想は、私が発表。モデレーターに東京文化資源会議幹事長の吉見俊哉(東京大学教授)が務めた。

報告会では、各プロジェクトの概要や現状を共有した後、パネルディスカッションを通じて各プロジェクトの関連や連携を図るために何ができるのか、など議論を行った。質疑応答では、地域との連携をどうするか、国や行政との関わり方など、参加された地元の方や企業の方々から、活発な質問が行われた。

三つのプロジェクトそれぞれも、2020年以降を見据えた新たな東京のあり方を考えるプロジェクトとしてとても興味深い。また、これらの取り組みを産官学民で連携を図りながら、具体的な小さな活動の積み重ねを図っている。

引き続き、各取り組みについても情報共有などを行っていくので、ぜひフォローしてもらいたい。

TOKYObeta Journal

江口晋太朗 | SHINTARO Eguchi

Written by

Editor,Journalist,Producer. Founder&CEO TOKYObeta Ltd.

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「都市や生活の再編集」をテーマに、TOKYObetaにかかわるメンバーが、豊かな社会基盤を構築するためのリサーチやプロジェクトについて発信するジャーナルサイトです。お問い合わせ・ご連絡は info@tokyobeta.com まで。

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