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3 min readNov 19, 2019

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美術館での生体展示日記:やどかり_2

美術館で生体展示をするという事はどういうことでしょうか。

生きものの視点で見た世界をユーモラスに表現し、人間や社会の本質を問いかけてくる AKI INOMATA。十和田市現代美術館での彼女の個展に作品の一部としてやってきた生きものたちの観察を通して、INOMATAの見せようとする世界の、ある側面を考察します。

展示するにあたり、生きものにとって適切な環境にするために、専門家の指導・助言のもと、気温調整、給餌、清掃等を毎日行っています。生きものは展示終了後、作家が継続して飼育を行います。

日々変化していく、生きものの様子を日記で紹介していきます。

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9月16日 やどかりのエサ

1日1回、閉館後に人工飼料をやどかり付近に落とします。やどかりによっては、ライブロックの下に隠れていても、エサを入れた瞬間に急いで出てきます。

やどかりがエサを抱え込み、脚を器用に動かし細かくして食べている様子は、とても愛らしく、見ていてどんどんエサを与えたくなる衝動にかられます(が、1日1回です)。

9月20日 水質チェック_海水の交換

水槽の水質は見た目でわからないこともあり、水質試験紙を使用し、一週間に一度チェックしています。海水が汚れていた場合は、新しい海水に入れ替える作業をしています。水槽の海水を一度にすべて変えてしまうと、やどかりにとって慣れていた環境(水質)の変化が大きくなってしまうため、負担がかからないように数日かけて海水を交換していきます。

9月23日 やどかりの脱皮

やどかりは定期的に脱皮を繰り返すことで大きく成長していきます。脱皮に失敗して死んでしまう事もあり、命がけの行為なのだそうです。

脱皮した皮は、水槽のやどかりの数が増えているのでは!?と勘違いするほど、やどかり本体の色や大きさに似ています。

執筆者:十和田市現代美術館 学芸スタッフ 見留さやか

AKI INOMATA: Significant Otherness 生きものと私が出会うとき

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