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3 min readNov 19, 2019

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美術館での生体展示日記:ミノムシ_2

美術館で生体展示をするという事はどういうことでしょうか。

生きものの視点で見た世界をユーモラスに表現し、人間や社会の本質を問いかけてくる AKI INOMATA。十和田市現代美術館での彼女の個展に作品の一部としてやってきた生きものたちの観察を通して、INOMATAの見せようとする世界の、ある側面を考察します。

展示するにあたり、生きものにとって適切な環境にするために、専門家の指導・助言のもと、気温調整、給餌、清掃等を毎日行っています。生きものは展示終了後、作家が継続して飼育を行います。

日々変化していく、生きものの様子を日記で紹介していきます。

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■8月3日

ミノムシは約一ヶ月で10倍の大きさの2cmに成長しました。柿の葉しか食べていないからなのか、真夏にも関わらずケースからはいい匂いがします。

ミノムシの住んでいるケースの中は、一日でフンがいっぱいになります。食べ終わった穴だらけの葉っぱを、新しい葉っぱに取り替える作業を毎日行うようになってきました。

そして、ミノムシの数を数えたところ、約300匹のミノムシが無事に育っていた事が判明!

8月20日

ミノムシは大きいサイズのもので全長5cmくらいになり、3mm程度の葉っぱを何枚も重ね、コロッとした状態になっています。そして葉っぱの裏側に何匹も一緒にぶら下がっています。

ミノムシの中には、目をこらして探さないとミノムシだと気づかないほど、葉っぱと同化している者もいますが、時々モサモサと葉っぱを食べるために動くので、ミノムシがそこにいる事に気がつきます。

8月23日

ミノムシは、同じ葉っぱを食べて育っているのにも関わらず、個体によって成長差があり、一番小さい者と大きい者を比べると2倍程大きさが違います。ミノムシをS(2–3cm )・M(4–5cm)・L(5cm以上)サイズに分けて飼育し始めました。ミノムシが葉っぱの下に隠れ、木の枝のいたるところに暮らしている様子は、まるでクリスマスツリーの飾りのようにも見えます。

執筆者:十和田市現代美術館 学芸スタッフ 見留さやか

AKI INOMATA: Significant Otherness 生きものと私が出会うとき

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