アジアのアクセラレーターAppworks(台湾)とSparklabs(韓国)

Tadaaki Kimura
trend note
Published in
11 min readJul 4, 2015

こんにちは。先月は、アジアのシードアクセラレーターであるAppworks(台湾)とSparkLabs(韓国)のdemo dayにそれぞれ招待頂き、弾丸で参加してきました。

まず、Appworksについては台湾で最大かつほぼ唯一のアクセラレータプログラムです。Appworksは出資が前提ではなく、プログラムと投資は別々で動いているようです(一部のチームには出資も行う)。

今回は6月17日に開催されたbatch10のdemodayでした。前回・前々回も参加させて頂きましたが毎回盛況で、今回も1000人を超える参加者の前で21チームの発表がありました。小粒のチームが多いのも事実ですが、回を重ねるごとにレベルアップしている印象を受けます。毎回ですがpitchが中国語というのが難点で(笑)、現地の友人に翻訳して聞いていました。ただ個別に英語で話しかけると、だいたいのチームが円滑に対応できます。demodayの直前に台湾の起業家や投資家と20人くらいでランチしつつ色々聞いてきましたが、台湾国内のECやIoTなどを志向するチームが多いようです。

当日のdemo dayについての現地のメディアなどの記事はこちら。

後日the bridgeでもカバーされています。

気になったチームを簡単にご紹介まで。

■writhpath(https://www.writepath.co/jp)

専門的・学術的な文章の翻訳クラウドソーシングプラットフォーム。機械学習などのテクノロジーを活用して自動+人力で効率的かつ精度の高い翻訳サービスを主に企業向けに提供しています。このbatchの他のチームに比べステージが少し進んでいる感じがしました。台湾のVCであるpinehurstから出資を受けており、日本からもB dash venturesが投資しています。ここのCEOのcharlesとは、今年3月に自分が訪台した際に日本市場進出について英語でディスカッションさせて頂きました。その時の記事はこちら(中国語です)。

■pura(http://www.noacare.com/)

ペットの猫用の飲料水管理のIoTプロダクト。猫を飼っている家の多くが複数の猫を飼っているそうで、どの猫が、いつ、どのくらい水を飲んだかタグをそれぞれの猫の首輪につけておくことによりスマートフォンで把握・管理することができます。浄化した水を飲ませることができ、androidとiOSでappも提供しています。indiegogoのキャンペーンはこちら。一台約100ドルとのことです。

■flux(http://flux3dp.com/)

安価な組み立て式3Dプリンターを提供するIoTのチーム。HAXによるhardware trend 2015のスライドの中でも紹介されていました。下のkickstarterのプロジェクトでは164万ドルも集めたことでも既に有名になっています。一台約700ドルで購入することができ、スマホから操作できるほか、3Dスキャンもできたりなど、機能も豊富です。

台湾のAppworksのdemo dayの翌週にあたる6月23日に、韓国のソウルにて、SparkLabsのbatch5のdemo dayが開催されました。SparkLabsは韓国のいくつかあるアクセラレーターの中でも最大規模(アジアでも恐らく最大規模のひとつ)のプレイヤーで、卒業チームの中にはその後YCに入ったmemeboxのように国際的に活躍するチームも多く輩出しています。公式パンフレットには条件として1年に二回、10チームほどを選出し、6%のシェアと引き換えに25K USDを出資するとありますが、関係者の話を聞くと、この条件はチームによっても様々のようです。

前回も参加させて頂きましたが、今回はMERSの影響でキャンセルになることもなく更に大きな会場(itaewonにある2階建てのホールのようなところ)で開催され、こちらも1000人以上の参加者を前に14チームのプレゼンテーションがありました。参加チームのレベルも高いように感じました。また、上の紹介ムービを見て頂いても分かる通り、韓国はアジアの中でもプレゼンテーションが上手な印象を受けます。ステージ上での各チームのプレゼンも洗練されていて、英語での同時通訳もあり助かりました。終わった後には近くでVIP dinnerと称して200人規模の焼肉パーティーが開催されました。そちらにも参加させて頂きました。日本からの参加者はごく少数でしたが、屋上テラスで雰囲気も良く、またスタートアップ関係者や参加チーム/卒業チームが皆来ており、業界内の結びつきが強いように感じました。そこでもsoftbankによるcoupangへの出資のニュースの話題はタイムリーということもありよく出ていました。

tech crunchやtech in asiaの記事はこちら。

the bridgeでも事前に日本語でカバーされていました。

面白いチームもいくつかありましたが、その中からピックアップしてご紹介します。

■campus shop(http://www.campusshop.co.kr/)

大学生が共同購買できるECプラットフォーム。アメリカでもYCや500startupsなどでも同様の学生向け購買ビジネスモデルを見かけることがあります。日本ではネットプライスや古くは生協なども行っているギャザリングは常に一定の需要があり、うまくユーザー展開できれば事業もスムーズに立ち上がるイメージが持てます。

■tree planet(http://www.treepla.net/)

タレントやアーティストと連携したプロジェクトにより、実際の森を育てる寄付型に近い(?)クラウドファンディングを提供するプラットフォーム。このチームとは、昨年、ソーシャルインベストメントを行っているアクセラレーターD3 jubileeのdemo dayに招待頂き韓国を訪れた際にもお会いしており、再会することができました。

■genoplan(http://www.genoplan.com/)

遺伝子を解析して体重管理のソリューションを提供するヘルスケア領域のチーム。日本のfincとも少し近しいモデルでしょうか。ダイエットは韓国でも流行っているため、韓国ユーザのニーズともマッチしそうです。今のところアプリはandroidのみのようで、クラウドファンディングのキャンペーンなども行っています。

韓国は以前はandroidユーザーが9割を占めており、スタートアップはまずはandroidのアプリをリリースすることも多かったのですが、最近はiOSの浸透率も上がっているようで、iOSのアプリのリリースは韓国内及び海外展開を考えるうえで重要なマイルストーンになってきています。

■double me(http://www.doubleme.me/)

san jose出身のチームで、複数のカメラを使ってリアルタイムにアクションを3Dモデルに変換することができるサービスです。スタジオのみならず、路上などでも複数のカメラで撮影して、ある程度の精度による3Dモデリングも可能とのこと。後日CEOが来日した際にも個別にお会いしましたが、アメリカと日本を主要マーケットととらえているようです。アダルト的な需要も多くありそうですが、そうではなくて3Dモデルのマーケットプレイスのビジネスモデルを志向しているとのこと。

■way wearable(http://www.helloway.co/)

肌年齢を測定するハードウェアデバイスを提供しているチーム。アプリと連携して、短時間で簡単なお肌の診断ができます。デバイスのindiegogoのキャンペーンはこちら。韓国は化粧品産業も盛んなので、そちらへのEC連携など可能性は大きいように感じました。ちなみにブースにて私の肌年齢を測定してもらったところ26歳でした(笑)。

--

--