ハードウェア特化アクセラレータHAXの最新22チーム紹介(ライフスタイル・ヘルスケア・ロボット・インフラ・ファブリケーション)

Tadaaki Kimura
trend note
Published in
8 min readJan 17, 2017
昨年夏に深センに招待してもらった際の市街郊外の写真

こんにちは。San Francisco(米国)と深セン(中国)に拠点を置くハードウェアに特化したシード・アクセラレータ・プログラムHAXの最新batchであるbatch 9thのdemo dayが先週サンフランシスコで開催されました。自分も招待頂き参加できなかったのですが、その様子はtechcrunchなどで公開されています。

HAXについては以前自分のmediumでも少し紹介しました。HAXの親会社(?)のSOSVはアクセラレーターVCとして、HAXの他に中国のソフトウェアに特化したCHINACCELERATOR、バイオテックに特化したINDIE BIO、食料領域に特化したFOOD-Xのプロジェクトを行っている。最近になって150M USDのファンドをクローズしアクセラレータプログラム後のフォローオン投資も可能になり、モビリティ特化のUrbanXなども展開中です。

直近batchのチームを見る前に、昨年6月のHAXによるHARDWARE TRENDS 2016の復習と簡単なまとめは以下。

・目次として、エコシステム・資金調達、領域としてはライフスタイル・ヘルスケア・ロボット・インフラ・ファブリケーションの5領域が注力領域として挙げられています。

・エコシステムとしては、試作・コミュニティ・投資(アクセラレーター・投資家・クラウドファンディング)などプレイヤーも増え成熟し良くなってきているが、メーカーとスタートアップの間には依然として乖離がある。・Makers FairよりもCESの方はスタートアップにとって人気がある

・資金調達に関しては、アメリカのスタートアップの他に中国やフランスのチームも目立ってきている。・クラウドファンディングに成功しながらも出荷できないチームが9%ある。

・ライフスタイル領域のトレンドとしては、1.身体の拡張に関するプロダクトが多く現れ、2.スマートフォンのセンサーなどを活用したプロダクトも増え、3.プロダクト自体もパーソナライゼーションや差別化が可能になり、4.販売チャネルも店舗での展示販売など拡大している。各プロダクトともに高級路線と低価格路線に二分。赤ちゃん・家族・ペットを対象にしたプロダクトや、キッチン・家庭菜園・音楽・旅行などシーン別プロダクトも。日本からはアイトラッキングVRプロダクトのFOVEが紹介。

・ヘルスケア領域のトレンドは、1.周辺環境だけでなく身体や精神のモニタリングができるようになり、2.モニタリングを超えて診断や指導や癒しも可能になり、その結果、3.実際の看護者がより良く早くケアできるように改善され、4.そこにより”正確な”保険も組み合わさって適用されていくことになります。体に埋め込んで使うプロダクトや女性向けプロダクト、脳波や睡眠に関するプロダクトなども出てきて、予防や診断のために効果的に活用できるようになってきました。日本からはパーソナルモビリティのWhillとどぼっとスーツのサイバーダインが紹介。

・ロボット領域のトレンドは、1.人間型のヒューマノイドは未完だが2.特定の目的のための産業用ロボットや家庭用のロボット・おもちゃ・ドローンは活況であり、3.ロボットは職を奪うが一方で新しい市場を生み出している。自動運転についてもレベルが上がり、pepperのようなソーシャルロボットの台頭や、教育用のプロダクト、スポーツトレーニングロボットも。

・インフラ領域のトレンドは、1.実際のアセットを上手にシェアするための技術が台頭し、2.人や乗り物を巻き込んで補足・予測し公共インフラを繋げることによって都市自体をソリューションとして提供できるようになり、そこでは3.全体のリソースを効率的に最適化することができる。IoT関連の通信プロトコルも成熟し、建物管理や農業への応用も進んでいる。

・ファブリケーション領域のトレンドは、1.3Dプリンターの小型化が進展し、2.安いコストで少量の試作が可能に。バイオテック領域への応用も。

・中国については、深センを中心に製造技術も高まり、Xiaomiなどもスタートアップ企業に幅広く投資。中国発で世界に出ていくチームも。

さて、話を戻しましてHAXのbacth 9thの参加チームは以下です。以前に比べ、BtoB向けのプロダクトも増えている印象で、大企業との連携なども可能性のある現実的なチームが増えています。ライフスタイル・ヘルスケア・ロボット・インフラ・ファブリケーションの5領域で分類もしてみます。

Artronics(ライフスタイル):携帯型の充電プロダクト

Elephant Robotics(ロボット):産業用のロボットアームとコンピュータビジョンの提供。音声での操作や自動での物体認識・操作が可能。

Glass One(インフラ):ミシュランのサポートによる車用のヘッドアップディスプレイの提供

Hisens(ヘルスケア):EDをモニターするための下着型ウェアラブル

M5Stack(ファブリケーション):5センチ四方のプログラミング可能なIoTキットの提供。40種類以上のモジュールが用意されており、コーディング不要で組み合わせでプロダクトの制作ができる。

Plecobot(ロボット):建物のガラスを清掃するロボット。

Secope(ライフスタイル):ミシュランのサポートによる酒気帯びなどをテストするクラウドベースの呼気測定のプロダクト。

Sonicam(インフラ):3次元での音の録音もできる360度VRカメラ

Amber Agriculture(インフラ):穀物生産のためのセンサーと分析システム

Amper Industrial(インフラ):IoTによる生産設備のエネルギー最適化 IoTサービス

Beetl(ロボット):クラウドベースで雑草除去などできる車型ロボット

Bitome(ヘルスケア):体の水分量が測定できる小型MRIプロダクト

Circadia(ヘルスケア):NASAで培われた技術を応用し、癒しを誘うライトと睡眠のモニタリングセンサーのプロダクト

Criam(ヘルスケア):血液型や病気などを簡易に診断する携帯型のメディカルツール

Feel(ヘルスケア):体温や脈拍などの情報からスマートフォンと接続して精神状態をトラッキングするブレスレット型ウェアラブル。今なら一台149USDとのこと。

Flash Robotics(ロボット):子供に言語を教える教育ロボット。AIを使って子供に合わせて言葉を教えていくそうで、kickstarterのローンチは今年2月末とのこと。

Frobot(ライフスタイル):フローズンヨーグルトの自動販売機。

Japet(ヘルスケア):外骨格のウェアラブルデバイスにより腰痛を和らげるメディカルデバイスの提供。フランス出身のチームで、今年のCESでも注目されていたようです。

Maetel(ヘルスケア):いびきを防止するためのナノ素材を使ったマット型センサーデバイス

Mindset(ライフスタイル):脳の動きを分析して集中させるヘッドフォン。もうすぐローンチとのことです。

Ray(ヘルスケア):赤ちゃん見守りロボット。1月末にローンチ予定。インド出身のチームで、ジョンソン&ジョンソンからのサポートを受けることが決定。オープンイノベーションの動きは全世界的に広がっていますね。

Vitali Wear(ヘルスケア):呼吸や心拍数などが測定できるタンクトップ型ウェアラブル。シャツとデバイスが分離できる。

Volt Storage(インフラ):安全で安価な家庭用蓄電池。

いかがでしたでしょうか。今月中にHAXの次のbatchに参加するチームと、メインのbatchより小規模チーム向けのHAX BOOST(YCでいうfelloshipプログラムのようなもので、メインbatchよりは短い期間のプログラム)の募集もあり、今後のHAX及びSOSVの動向にも注目したいと思います。

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