台湾&韓国スタートアップ近況update(2016/6)

Tadaaki Kimura
trend note
Published in
10 min readJun 21, 2016
taipei 101

こんにちは。今月は、台湾のスタートアップのアクセラレータであるappworksの12番目のbatchと、韓国のスタートアップのアクセラレータであるsparklabsの7番目のbatchのdemodayがそれぞれ現地で開催されます。両者については以前mediumでもこちらで書きました。ともに招待頂き今月はどちらにも参加できませんが、本日は、関連する両国の最近のスタートアップ事情と、台湾appworks並びに韓国sparklabsの直近の参加チームについて紹介していきます。

台湾では、最近の資金調達のニュースでは、東南アジアを中心に活動するKK fundの台湾初の投資が航空券比較サイトHellowingsに対して行われるニュースがあったり、PinehurstのMarkと日本人CEO shotaによる留学斡旋サービスST Bookingの資金調達のニュースなど、トラベル/留学関係のファンドレイズが続きました。

また、友人のAlex率いるレストラン予約のEZTABLEの追加資金調達のニュースや、同じく友人のBenjamin率いるクラウドPOSのiChefの追加資金調達のニュースもあり、レストラン/O2O系サービスが資金を得て台湾からアジアへ展開する流れも目立っています。

あと、現地では17というツイキャスのようなサービスが注目を集めており、某日本VCからの投資も入ったようです。

さて、台湾のアクセラレータappworksですが、昨年末の前回batch(#11)には下記のチームが参加しています。詳細はbridgeのこちらの記事を参考にしてもらえればと思いますが、気になったチームを3つほど上げておきます。

SkyREC:女性CEO cateによるリアル店舗のための Google Analytics。店舗内でお客がどの部分に何回、どれだけの時間滞留したかを視覚的に把握することができる。SLUSH ASIA2016で優勝しており、私が審査員を務めた今年3月の福岡のピッチイベントでも優勝を果たしました。日本のABEJAのようなサービスですが、トラクションもあるようで今後が楽しみです。

潔客幫:クリーニングのオンデマンドサービスを提供。韓国にも似たようなサービスWA HOMEがあります。中国語のサイトにつき詳細は分からない部分もありますが、時給にして1200円程度でハウスクリーニングをしてくれるようです。

AutoInsight:中古車を購入する際に、その車の情報やシミュレーションができるサービスを提供。台湾のチームの中には中国語のみの場合も多いのですが、このウェブサイトは英語で展開されています。iOS版のアプリはリリース準備中のようで、現在はandroid版のみの提供。

今回batch(#12)のDemodayは2015年6月7日に台北(台湾)にて開催。 demodayの流れとしては、最初に過去参加チームの中から進捗のあったチームの報告があり、その後に現batchのピッチという形です。appworksのCEO jamieのブログ(中国語)はこちら。

以下、appworks#12の参加チームを簡単に日本語で。これらのチームにすべて投資される訳ではなく、ステージも入口のチームが多いです。これからの成長に期待したいところです。

WeMo:スクーターのレンタルサービス。鍵の解除等がスマートフォンで完結。

AsiaYo:台湾版Airbnb。台湾だけでなく、東京、大阪、京都など日本でも展開。

Keyless OK 客來喜:Bluetoothを使ったスマートキーの開発・販売。

Mr. Living 居家先生:家具のEC、ソファやイスが主力商品。

耳酷點子 acousdea:手作り木製のポータブルスピーカー。

Law4TW:法律文書のポータルサイト。

Racbit Sport:スポーツイベントのプラットフォーム。イベント作成、集客が可能。

920 揪愛啉:お茶等の飲料発注アプリ。

Zuker租客:シェアハウスのポータルサイト。

LetsRide:カープールアプリ。LINEでカスタマーサービスの対応をしている。

SketchyNotebook:アイフォンアプリの設計などに最適化されている高機能ノート。クラウドファンディングはこちら

Voxel+:ワークフローが最適化されたプロダクトデザインのソフトウェア。

Ooly:IoTのマットレス。睡眠解析のアプリも開発。

MOSi Technologies:世界最大級のドメイン取得サービス。

永動科技:ランニング解析サービス。

Risingreens Technologies:お菓子やインスタント食品のEC。

ISAY AROMA 聊療:アロマのメディアコマース。

癒善坊:健康志向の弁当のデリバリー。

Fugle:株のポータルサイト。

Omninsight:ネットセキュリティーサービスを展開。

一方、韓国では、TIPSという政府主導のスタートアップ支援プログラムの関係者でトラブルがあったことなどもあり、スタートアップへの投資がやや冷え込んでいるようです。大きなところでは韓国ネイバー社子会社のLINE社がついに日米上場などの報道もあり、盛り上がりを期待したいところです。最近の韓国スタートアップによる資金調達については、流行りのインフォグラフィックも出ていました。

また、韓国政府によるアクセラレータプログラムK-Startup Grand Challengeが今年から規模拡大により世界中から参加チームを募集するようです。アジアではマレーシアのMaGICとならんで最大規模になりますね。最終的には40チームを選出し、渡航費や滞在費も支給するとのこと。さらに上位20チームには33K USDの補助金が支給され、上位4チームには追加の6K/20K/40K/100K USD助成金が韓国ウォンで支給される。また、マストではないとのことですが、募集チームの領域は14領域(game-fintech, bio-beauty,distribution,film,auto,city life,sw,IoT,cloud,information security,5G,UHD,smart device,digital contents,big data)を優先するとのこと。なんとなくサムスンが想起される領域ではあります。応募は今月中旬までとのことですので、興味ある方はお早めにどうぞ。

韓国のアクセラレータsparklabsは、前回batch(#6)の際には日本でもdemo dayが開催され、そちらには参加させて頂きました。bridge(besuccess)でカバーされた記事は以下。

今回batch(#7)には下記のチームが参加しているようです。Demodayは2015年6月22日にソウル(韓国)にて開催されます。

詳細はこれらの記事をご覧頂くとして、この中から気になった3チームを紹介します。

Wa Home:一般家庭向けに、信頼できるホームクリーニングとホームケアサービスを提供する。3–8時間で好きな時間を希望できる。ウェブサイトが韓国語で詳細は分かりませんでした。ファウンダーは元ホテルマン達でクオリティにはこだわっているようです。日本でも有名な某韓流スターも投資しているというチーム。

Cloud Wallet:メールアドレスの登録だけではじめられるという韓国発のBitcoinのウォレットサービス。日本からはアプリにアクセスできませんでした。合わせて、ブロックチェーンのAPI/SDKの提供を行うCoin Stackというサービスも提供していて興味深いです。すでにユースケースとしては、ブロックチェーン技術を使ってタイムスタンプをとることができるcloud stampというサービスや、パブリックモニタリングを行うことができるサービスなどもあり、実用化も進んでいるようです。

RecPic:スマートフォンで領収書の写真を撮ると、自動的に支出が入力され管理することができる家計簿アプリ(PFM=Personal Financial Management)。androidとiOS版がある。ダウンロードしてみたが、韓国語につき先に進めませんでした。ウェブサイトによると、機能としては、似たような属性ユーザとの比較機能や、位置情報や支出情報に基づくクーポンの提供(ここがマネタイズポイントか)がある。韓国にある銀行口座や、SMSに飛んでくるクレジットカード情報(ここが日本の前提と若干異なる)との連携が可能とのこと。ライトなPFMアプリといった印象です。

以上、今回は台湾と韓国のスタートアップについて、今月開催のdemoday関連を中心に簡単にまとめてみました。また何か動きがあれば更新します。

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