次のキーワードは「Bitcoin」から「Slack」へ -Y Combinatorのトレンド分析-

こんにちは。今回は、2016年5月4日(PT)にてアメリカのシード・アクセラレータであるY Combinator(以下YC)の公式blogにて発表された、最近のチーム応募内容をトレンド分析した記事を簡単に紹介していきます。

この分析は、YCが過去8年間の間に受け取った応募(application)の内容を、YCの卒業チーム Priceonomics (YC W12)に委託して分析したものになります。基本的にYCへの応募は英語のテキストベースになりますので、その質問の回答やテキストを分析したものです。色々な観点から分析がなされていますので、詳細は本記事を参照してもらえればと思います。


個人的に一番注目すべき分析は、一番最後にある、頻出キーワードの変化率。2015年から2016年までに出現の増加率が高かったもの上位10位を順番に、Slack, Vehicles, Firms, Journey, IoT, OnDemand, Integrations, Visits, VR, Droneとなっています。

特に増加率第1位となったSlackは、このツールがコミュニケーションプラットフォームのデファクトスタンダードになりつつあることを示唆しており、Slackをベースにしたbotやコンシェルジュサービスが増えているとのこと。前回のYC W16チームの中にも、「Slackと連携して、 1時間29ドルから簡単にプロジェクトに専門家を巻き込めるフリーランサーのオンデマンドサービスのKonsus」や、「Slack上でコマンド入力をすることにより、自動でデリバリーやUBERの手配や、NestなどIoT関連の操作にも応用できるPrompt」などがあります。

SlackがBtoBプラットフォームなので、上記は基本的にはBtoBになります。その他、同じくSFA(営業支援)のBtoBプラットフォームのデファクトスタンダードとなりつつあるSalesforceをベースにした顧客管理やメール送信や営業支援なども前回のYC W16には多くみられ、結果としてBtoBサービスを示すFirms(企業)というキーワードも上がってきているのだと思われます。日本でもSlackはベンチャー企業などではだいぶ浸透してきていますが、大企業での導入はこれからという部分があり、まだデファクトスタンダードには遠い印象です。

あとはVehicle, Journey, Visitsの増加をどう捉えるかですが、もちろん自動運転など日本でもホットな技術トレンドの影響もあるとは思いますが、直近のYC参加チームを見ていると、ベイエリア内でのバスなどのサービスも引き続き堅調です。このエリアの交通環境が劣悪であり改善の余地があること、及びYCチームの中にはまずベイエリアで(のみ)サービス開始するチームが多いことを考えると、その影響が大きいのではないでしょうか。

この上位10キーワードの中で他には、VRもここ2年くらいで盛り上がっているキーワードといえます。上位10位には入らず12位となってるAI(人工知能)も、その活用のレベルは正直まだ様々なレベルが混在していますが、機能としては色々なサービスに取り入れられており盛り上がっております。


続いて、2015年から2016年までに出現率が大きく下がったキーワードとしては、上位3位を順番に、Bitcoin, Bluetooth, Currencyとなっています。Bitcoinは去年から出現率が割合で最も下落しています。現地の感覚としても、2,3年くらい前には、YCだけではなくて500startupsなどでもBitcoin関係のチームがたくさんいましたし、現地でも例えばBitcoinを使った給与支払いサービスなど色々なBitcoin関連サービスで盛り上がっておりました。体感的には2014年末にTim DraperがBitcoinをFBIから大量に買い取ったあたりからピークアウトしていった印象です。

合わせてCurrencyというキーワードも下落しており、仮想通貨そのものより、Blockchainなどの関連技術への応用にトレンドがシフトしているとのこと。日本でもこのBlockchainなどの技術トレンドはありますよね。日本ではBitcoin自体が他国に比べスタートが遅かったこともあり、先日の国内bitcoin取引所のbitflyerの大型調達などにもあるように、ようやくスタートした印象です。また今年はbitcoinやblockchain含め、日本がFintechがビックワードになっており、株式市場でも関連銘柄が高騰しています。

Fintechという文脈でアジアを見ますと、韓国ではスタートアップの現場ではもう2年くらい前からFintechが一番ホットな領域のひとつと言われていましたし、金融立国である香港でも相性がよい領域であることは自明です。シンガポールを含む東南アジアをFintechという文脈で考えると、現状で多いのがECの決裁(最近ではマレーシアのimoneyのような銀行利率などの比較サービスや、P2P lendingも一部あり)という意味合いで使われているように感じます。


その他、気になった点を箇条書きにて。

・ビジネスモデルとしては従来主流の広告モデルからSaaS型の直接顧客から売上を受け取る形にシフト。昨年を機にSaaS型の方が広告モデルより主流に。

・blog関係は2008年からひたすらトーンダウン。

・iPadやtabletへの言及は数年前を頂点にピークアウト。

・応募チームが競合と考えるスタートアップは、Uber, Airbnb, Instagramが数年前から上昇中。

・ハードウェアやバイオテック、メディカルも緩やかではあるが増加傾向にある。


以上、YCの応募チームのapplicationからの分析について、簡単に紹介しました。今後の動向にも引き続き注目したく思います。