Japan-U.S. Innovation Awards 2016の日系選出企業6社

Tadaaki Kimura
trend note
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7 min readJul 11, 2016

こんにちは。日本とアメリカからその年の最もイノヴェイティブな企業を選出する Japan-U.S. Innovation Awardsが今年もシリコンヴァレーで開催されます。この賞は、北カルフォルニア日米協会とスタンフォード大学のアジア・米国技術経営研究センターが、ビジネスやテクノロジー分野で功績を残した企業を表彰するもので、毎年アメリカと日本から「Emerging Leader」がそれぞれ1社づつ選出されます。今年で6回目とのことで、2016年7月22日(PT)にスタンフォード大学にて授賞式も開催されます。

過去3回を振り返ってみると、2013年がユーグレナ社、2014年はLINE社、2015年はJINS社がそれぞれEmerging Leader賞を受賞。2013年の表彰式には私も招待頂き、その際のリポートをWIRED.jpに寄稿させて頂きました(下記参照)。個人的にも、この時が初めてのシリコンヴァレー訪問となり、その後何度も訪米するきっかけにもなった印象的なイベントです。

今年はEmerging Leader賞としてメルカリ社が日本から選出されました。関係者の皆様、おめでとうございます!メルカリはご存じの通り、アメリカでも1000万ダウンロードを超え、快進撃を展開しています。

また、個人的に注目しているのが、昨年よりはじまった同時開催の「Innovation Showcase 」。 チームの質、革新性、成功の確度、及びシリコンバレーとの関連性という評価基準に基づき毎年5社ユニークな企業が選出されます。昨年は、 クラウドストレージ基盤ソフトウェア製品のクラウディアン、 回路基板の新素材ポリイミドの ピーアイ技術研究所、 DNAとRNAのシークエンサーの クアンタムバイオシステムズ、 睡眠脳波測定機のスリープウェル、次世代パーソナルモビリティーの WHILLがそれぞれ選出されました。昨年度の関連ニュースはこちら。

さて、今年の「Innovation Showcase 」に登場する日本からの5社は以下。 どれも先進的な技術をベースにしたスタートアップであり、海外での活躍にも期待したいです。

  1. 株式会社アクセルスペース: 超小型衛星技術を生かし、宇宙ソリューション提供。昨年、グローバルブレインなどから18億円の資金調達を行っているようです。ウェザーニュース社などが既に顧客になっているようで、記事によると、「 2017年の3基を皮切りに2018年から年10基ずつ打ち上げ最終的に50基体制を構築、低軌道を周回する衛星群で気象データや地形データを集積し官公庁や民間企業に販売する。」とのこと。衛星関連のスタートアップとしては、アメリカでは2014年にgoogleによって5億ドルで買収されたSkybox Imaging(今の社名はTerra Bella)が有名です。超小型衛星については、以下に分かりやすくまとめられていましたのでご参考まで。日本発宇宙ベンチャーとして、宇宙ゴミのデブリを除去するスタートアップ のアストロスケール社と合わせて、今後に期待です。

2.株式会社フローディア:低コスト、低消費電力のメモリー開発、IoT 端末の大量普及を可能に。2015年に産業革新機構から調達をしています。産業革新機構によるベンチャー企業への投資については、最近は以前より小型案件や一般案件は民間ファンドを経由しての投資が中心になっており、直接投資は相当に戦略的な案件に限定されています。同社ウェブサイトによると、「 フローディアの低コスト、低消費電力のメモリーは、ビーコンや各種センサーなどのIoT端末の大量普及を可能にし、IoTビジネスの収益性を高めることで、今後のIoT市場の拡大に貢献することが期待されます。」とのことで、IoT時代の重要コンポーネントとしての位置づけのようです。 色々調べていたら「IoT時代に向けた 電子デバイス産業の動向と戦略」という資料がまとまっていたので共有しておきます。従前より日本企業に勝機のある領域なだけに、フローディア社にも期待したいです。

3.Preferred Networks, Inc. :人工知能ソリューションの先進プロバイダー 。blogosの特集記事はこちらです。記事によると、Preferred Networksは人工知能を活用したソリューションを活用する3つの領域として、自動車(トヨタ自動車と連携)、製造業(ファナックと連携)、バイオ(京都大学と連携)にフォーカスしてゆくとのこと。同社の、車が学習しながら自動でぶつからないようになっていく下記のオフィシャル動画は一見の価値があります。人工知能のスタートアップとしては、googleが4億ドルで買収したdeepmindが先日のalpha goでも有名になりました。WIRED.JPのdeepmind特集記事はこちら。Preferred Networks社にも人工知能スタートアップの日本代表として今後に期待です。

4.Spiber Inc. :新世代バイオ素材“人工合成クモ糸”の製品化。2015年には国内の未上場企業では最大規模の95億円の資金調達を行いました。 タンパク質合成の素材分野ではアメリカでは、カリフォルニア州にあるBolts Threadsなどの競合企業もあります。来月にはクモの糸を使った服も量産されるようですが、この領域(素材)は、衣料品だけではなく、様々な工業製品にも応用可能です。近年では炭素素材による技術革新とその応用が目覚ましいですが、軽くて丈夫な炭素素材に対して、丈夫で衝撃を吸収するクモの糸は様々な可能性を持っています。資料がネット上にありましたので下記ご参考までに。日本の大学発ベンチャー企業として、世界を席巻することに期待です。

5. Xenoma Inc. :ウエアラブル・デバイスを内蔵したシャツ「e―skin」の商品化。2015年創業の東大発ベンチャーとのことで、これからが楽しみです。科学技術振興機構からの 出資型新事業創出支援プログラム(SUCCESS)にも選出されています。ウェアラブルデバイスについては様々な形で着用したり活用したり多様化している領域です。今年のトレンド50をまとめたページがありましたので下記共有しておきます。

以上、今年のJapan-U.S. Innovation Awardsの日系選出企業6社の紹介でした。お近くの方は是非参加してみてくださいませ。

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