Y Combinatorの最新動向(demoday新フォーマット、世界プロモーション、研究プロジェクト)

Tadaaki Kimura
trend note
Published in
7 min readAug 13, 2016

こんにちは。米国シードアクセラレーターであるY CombinatorのYC S16のbatchのdemo dayが今月22日、23日(PT)と近づいてきました。今回もどんな面白いチームが出てくるのか、今から楽しみです。本日は、YCの新しい動きについて、いくつか紹介していきます。

まずはdemo dayについて。YC S16のdemo dayは、今までのYCのdemodayと比べ新しい点があります。

まず、demo dayがinvestor day含めて、2日間から3日間に延長になった点です。今までと同様demo day自体は2日間ですが、3日目に、investor dayと呼ばれるオフィシャルな個別面談の日程が設定されました。事前に双方の希望により、20分間のスロットで個別面談が10–15スロットで実施されます。意思決定に関与できるVCの Investing/General Partnersが居ないとキャンセルになるそうで、あくまでfounder firiendlyなスタンスは変わっていません。このようなinvestor dayを設定した理由としては、1)今まで近くの駐車場やカフェなどで個別にpitchが行われていたのに対して効率的であること、2)今まで特定の投資家に対して事前に行っていた investor office hoursをこちらに置き換えること、が挙げられています。詳細は以下YCのblogをご参考までに。

毎回個別にアポイントを入れるのは投資家・起業家双方にとって不便ですし、ベイエリアは広く車でカフェ間やSan Francisco⇔south bayを移動しなければならなかったりするので、なぜ今までなかったのかと思うような、大変効率的な取り組みだと思います。

また、batchに参加しているチームの紹介方法についても従来と違う点があります。今までだと約1か月前から事前にYCのblogにてチーム紹介が行われていたのが、今回は10日前になってもまだ紹介されていないことです。こちら理由は不明ですが、何か情報がありましたら随時ご紹介していきます。

その他最近のYCの動向としては、世界中でのプロモーションを予定しているようです。

今秋に世界中の11か国でYCの活動について伝えるイベント(YC Office Hours)を開催。直近のYC S16においても、30%以上のチームがアメリカ外からの参加とのことで、今後も世界中のスタートアップコミュニティを巻き込んだ活動をしていきたい意向のようです。ちなみに、その11か国とは、ナイジェリア、デンマーク、ポルトガル、スウェーデン、ドイツ、ロシア、インド(デリーとバンガロール)、アルゼンチン、チリ、メキシコ、イスラエル。ヨーロッパと南米が比重高めになっており、日本を含むアジア諸国は今回は含まれていませんでした。これらの国々のチームがYCでも活躍しているとこのことだとは思いますが、アジアそして日本にもツアーに来てもらいところです。

最後に、YCにおける研究プロジェクトYC Reseach(以下YCR)の進展についてもふれておきます。 YCのミッションは、できる限りのイノベーションを可能にすることであり、その手段としてスタートアップへの投資だけではなく、特定の企業が独占的に行うべきでない技術開発などについては非営利YCRの研究機関という手段によって行おうという趣旨です。

現在は全部で4つのプロジェクトが進行しています。すべて非常に斬新な取り組みなので、今後も注視していきたいです。あとは、バイオ系やロボット系、更には宇宙関係などのプロジェクトも出てくると面白くなりそうです。

1)以前、下記でもご紹介した人工知能のプロジェクトOpen AI。YCRの最初のプロジェクトです。

2)特定の都市の住民に 一定の金銭的な支援を保証するベーシックインカムの実験プロジェクト。現在、オークランドで実験の計画中とのことです。日本語内容では下記参照。

3)HARC(Human Advancement Research Community)と呼ばれる、 プログラミング言語、インタフェース、教育、そしてバーチャルリアリティ(VR)など広範囲に及ぶ研究。これを率いるのは、業界でも大変著名なアラン・ケイ氏。SAPの研究機関から彼がYCの研究機関に転籍するということで、業界ではニュースになっていたようです。

4)都市の未来について考えるNew Citiesプロジェクト。前述の2)のベーシックインカムの取り組みとも関連しますが、もう少し幅広い枠組みで研究を進めていくようです。日本語内容では以下参照。

以上、本日はYC S16のdemo dayを前に、YCの最新の動向である、demoday新フォーマット(Investor Dayの導入)、世界プロモーション(YC Office Hoursの11か国ツアー)、研究プロジェクト(YCRの4つの進行プロジェクト)について紹介しました。今後も関連する情報がありましたら、更新していきます。

--

--