「あなたの部下はどのタイプ?タイプ別、「デキる社員」を育てる次の一手」

当事者意識と目的意識は社員にどんな行動をもたらすか

「おまえはどうしたいんだ?」

「目的は何だ?」

このふたつの問いがリクルートの若手に「当事者意識」と「目的意識」を植え付けてきた。

「当事者意識」と「目的意識」がもたらす効果をわかりやすくするため、僕の頭の中にあるものをフレームに落とし込んでみた。それがこのマトリックスだ。

右上:当事者意識も目的意識も高い=デキる社員

【この社員の行動特徴】 目的は何かを考え、それを最も効果的且つ効率的に達成する方法を考え出し、それを達成することに本気で取り組む社員。この社員は目的を最も効果的且つ効率的にやろうとするから、前例にこだわらない。予想される困難も「自分にとって乗り越えるべき壁」だと思っている。そして壁にぶつかっても、自分ごとで本気で粘り強くぶつかるから乗り越える可能性が高い。チャレンジするから仕事を通して成長するし、やりがいも感じる。これでは非の打ち所がないなあ。あえて欠点を上げると・・・少々暑苦しい(笑)。

【育成のための次の一手】 このタイプを伸ばすには、今の能力を少し超える仕事を与え、それができたらさらに高いレベルの仕事を与えるということを繰り返す。異動させて幅を広げさせるのも手だ。とにかくやったことのない仕事を与え続けれていれば勝手に成長する。

左下:当事者意識も目的意識も低い=指示待ち社員

【この社員の行動特徴】 当事者意識が高くないから、仕事は他人ごとだ。目的意識もないので、何をすればいいのか、具体的な指示がなければ動けない。だから自発的な行動は期待できない。下手をすると自分の役割(組織内の自分の存在目的)にも関心がない。だから仕事はこなせばいいし労働は時間の切り売りだ。定時出社、定時退社、日中は指示された仕事をするだけで、指示がなければ退社時刻まで時間をもてあましてしまうことも。

【育成のための次の一手】 意欲がないように見えるが、意欲はあってもどうしたらいいのか分からないのか、実際に仕事に対して意欲がないのかの見分けがつきにくい。

前者なら、「おまえはどうしたいんだ?」「目的は何だ?」と問い続ける。意欲はあるのだから、仕事のやり方、仕事の基礎を教えてやればよい。リクルートの新人の多くがこれだった。

後者についても、「おまえはどうしたいんだ?」「目的は何だ?」を繰り返し問い続け、小さな成功(Small Success)をほめる。それによって目覚める社員もいる。目覚めた人が共通して言うのは、「自分にこんな能力があるなんて」。自分にもできるんだという小さな自信がつくと、俄然仕事に興味が湧いてきて意欲的になる。

残念ながら目覚めない人もいる。その場合は、あまり高いレベルは求めず、仕事のたびに具体的で詳細な指示を与える。そうすれば作業要員としては有用な人材だ。本人の将来のために売りになる専門能力を身につけさせたり、資格を取らせたりする。人それぞれに「売れる人材」に育成することは、親も同然の上司の務めだ。

右下:当事者意識は高いが、目的意識は低い=一生懸命だけど結果が出ない社員

【この社員の行動特徴】 仕事が自分ごとなので少々のことではへこたれない。言われたことは一生懸命やってくれるし、ぶつかった壁はあきらめずに乗り越えようとあの手この手をやってみる。ただ的外れだったり、総花的だったり、行き当たりばったりだったり・・・。決して効率的とは言えず、下手をすると結果が出ない。「できない子ほど可愛い」というが、一生懸命なのに結果が出ない、こういう子は本当に可愛い(笑)。

【育成のための次の一手】 目の前の仕事を成功させるなら、明確な目標(目的ではなく目標)を与え、目標達成に至るアクションプランを一緒に考え、スケジュールに落としてやる。道筋とマイルストーンさえ分かれば、このタイプは困難を乗り越えて結果を出す。

だが、長期的な視点で育成するなら「目的は何だ?」を繰り返すことだ。前回書いたように、資料をもってくれば目的を尋ね、資料の冒頭に目的が書いてなければ突き返す。トヨタの有名な「A3 1枚にまとめろ」も有効だ。1枚にまとめるためには、目的を明確にし、もっとも効果的且つ効率的な方法に絞り込まざるを得ないから。目的を考える癖さえつけば、このタイプを化けさせるのは比較的容易だ。

左上:目的意識は高いが、当事者意識は低い=評論家社員

【この社員の行動特徴】 実は最も難儀なのはこのタイプだ。目的意識は高いから正論は吐くが他人ごと。「こうするべきですよね」とか「これではうまくいくはずがないですよね」とか「やってもムダですよ」とか・・・四の五の言わずに自分でやってみろ!バカヤロー!と言いたくなる(笑)。

予想される困難は、このタイプにとっては「乗り越えるべき壁」ではなく「できない理由」「やらない理由」になる。要は「やりたくない」のだ。さらにこれが知識先行型だったりすると難儀。言ってることは間違ってはいないから。

【育成のための次の一手】 こういうタイプには「知っていることと、わかることと、できることは違う」ということを教えなければいけない。しかも体験で。

リクルートには「言いだしっぺ制度」と「有言実行」という文化があった。言いだしっぺ制度とは、言い出したものがその仕事を担当するという不文律のルールであり、有言実行は「言った以上はやるしかない」と自分を追い込む文化。

このタイプの社員が他人事みたいな発言をしても、「じゃ、おまえが担当ね」と当然のように担当を命じられる。周囲から「言った以上はできるよね」というプレッシャーがかかってくる。そして上司からは結果を求められる。

このタイプを育成するには、逃げ場の無い責任を負わせることだ。

「言った以上やらなきゃ恥ずかしい」と思う人はこれで伸びる。こういう社員はいずれ芽を出す。

だが、ここで逃げる社員なら成長させるのは困難。逃げるとは他責・他罰になること。「そもそもこんな目標無理ですよね(この目標を持たせた上司が悪い)」、「○○の部署が協力してくれないんですよね(協力しない部署が悪い)」、「伝えたのにやってくれないんですよね(聞いてない方が悪い)」、「お客さんにはこういう事情がありますからね(お客さんが悪い)」、「そもそも今は事業環境が良くないんですよね(世の中が悪い)」・・・。

他責・他罰の者は決して成長しない。どこまでいっても他人のせいにして逃げ回り、自分に厳しい反省をすることがないからだ。

そんなとき、僕はいつもこんな話をする。

逃げるな!そう言われると君は不本意かもしれない。だが僕の先輩が新雑誌創刊の担当となることが発表された朝礼でこう宣言したんだ。

「やろうと思ってできないことがあるとすれば、それは自分のやり方が悪いか、やる気がないかのどちらかだ!」

逃げているのかいないのか、僕の基準はこの言葉だ。もう1度言う。逃げるな!君もみんなの前でそう宣言しろ。そこから逃げたら、逃げ続ける一生を送ることになるぞ、と。

「当事者意識」と「目的意識」の重要性をご理解いただけただろうか。

上司・リーダーと呼ばれる方々の参考になり、若い方々の成長の指針になれば幸いである。


※本記事は旧ブログからの転載です。

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