創業者はなぜ「老害」になってしまうのか?

Shinichi Takano
tsukuruba
Published in
3 min readAug 30, 2017

創業者は経験者だからややこしい

前回は部長を例にお話ししだけれど、今回は創業者のお話。

創業者の場合は、社内にあるほとんどの仕事が「やったことのある仕事」ということになる。だからさらに事態はややこしい。

知ってるつもり?

すべての仕事を「知ってるつもり」だから、すべての仕事に「口出し・手出し・頭越し」をしがちだ。
「いやいや、社内で一番知ってるのは私ですよ!」という創業社長の声が聞こえてきそうだけれど、そもそもこの話、創業者は自分の情報処理能力を超えて困ったから組織化したんじゃないの?
多くの創業者は、組織化して「仕事改革」したのに「自分改革」を忘れていやしないか、僕はそう思ってしまう。

自分に入ってきている情報は、それまでとは質量ともに変化しているのに、本人は「知ってるつもり」「わかってるつもり」「できてるつもり」になっている。
部下を始め周囲の人は、創業者の判断がおかしい‼︎と思うんだけど、本人は気がつかない。相変わらず「自分が一番わかってる」と思ってる。

会社は成長期。仕事は常に変化している。つまり日々刻々、「知らない仕事」「やったことのない仕事」へと変化しているわけだ。

40代で「老害」?

僕の知っている40代の創業社長に従業員が500人になっても、個人の評価に口出ししてる人がいた。500人の人が毎日働いているのに、ひとりひとりのことなんて分かるはずないのに、と思っていたら、案の定、評価の根拠は「3年前にアイツはこういうことをした!」だった。
担当の管理職は懸命に部下の成長ぶりを説明しているんだけど、「お前たちに何が分かる。俺が一番分かってるんだ」と、創業者はひかない。結論はもちろん創業社長の言うとおりの評価になった。
40代でもはや老害(笑)。

刮目して相侍すべし

僕が「30人の壁」にぶつかっていたとき、ある先輩が三国志演義の言葉を教えてくれた。
「士別れて三日なれば、即ち更に刮目(かつもく)して相待す(あいたいす)べし」
組織化し任せたならば、自分の見ていないところで人は進化し成長する。
自分は知ってるつもりなだけで、もはや何も知らないのだという謙虚な気持ちで目を見開き、耳を傾けろ、それが「自分改革」だ。

我慢と謙虚が事業を拡大する

でも口を出してしまうのは、創業者に誰よりも強い当事者意識があるからだよね。苦労して、苦労して、ここまで大きくしてきたんだから。

しかし、もし事業をもっと大きくしたいなら、そこをグッとこらえて「我慢と謙虚さ」だと自分に言い聞かせること。

それが僕自身が壁を乗り越えたときに体験したことであり、リクルートの創業者やコスモスイニシアの中興の祖のすぐ側で仕事をして学んだことでもあるんだ。

※本記事は旧ブログからの転載です。

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