「当事者意識」を「成果」につなげる、デキる人の「思考の癖」

目的は何だ?

「おまえはどうしたいんだ!」の包囲網でほとほと困っていた新人の僕。独身寮の同じ階の営業部のN先輩に相談した。Nさんは「やられてるなあ」と笑いながら、どんな仕事なんだ?と相談に乗ってくれようとした。そこで僕が概略を説明すると、Nさんはこう質問した。

「で、その仕事の目的は何だ?」

「目的?わかりません」

と答えたその瞬間、みるみるN先輩の顔が赤くなった。

「ばかやろー!目的もわからないで仕事ができるか!Uさんは目的を何だと言ったんだ?」

「・・・目的?・・目的は・・・言ってません」

「ふざけるな!人に仕事をたのむときに目的を言わない奴がいるか!Uさんに目的を聞いて出直して来い!!」

聞いていたのに記憶に無い

翌日、僕はおそるおそるUさんに「目的」を聞いた。

「この間、説明したときに言ったろ。同じことを2回言わせるな!」

「いえ、僕は聞いてません」

「俺は言った。お前もメモしてたぞ。手帳を開けてみろ!」

・・・僕の手帳には、「この仕事の目的は○○○であり、目標は□□□である」と、Uさんの言葉がそのまま書いてあった。書いてあるのに目的についての記憶がなかった。僕はUさんの言うことをそのまま手帳に書いていたけど、その中で「目的」が重要だと思わず、ただ書き留めていたんだ。いつまでに何をしなければならないかという目標はわかっていたけど、何のためにそれをするのかという目的はわかっていなかった・・・。

仕事とは、その目的を最も効果的且つ効率的に達成する方法を考え、やり遂げること

しょげかえる僕に、Uさんがやさしい口調で教えてくれた。

「いいか、高野・・・仕事には目的がある。つまらないように見える仕事でも、すべての仕事には必ず目的があるんだ。そして、仕事とは、その目的を最も効果的かつ効率的に達成する方法を考え出し、それをやり遂げることなんだ。

高野に今回頼んだ仕事を、去年は1年先輩のYがやっている。Yもまた目的を考え、その目的を最も効果的、効率的に達成する方法を考えて取り組んだんだ。もう1度、Yの報告書を読んでみろ。そしてYの振り返りを元にして、Yよりも効果的、効率的な方法を考え出せ。それがお前の『仕事』だ。

だから、仕事に取り掛かるとき、まず初めにやるべきことは『目的は何か』を考えること、そしてその仕事を指示した人がいるなら『目的をすり合わせること』なんだよ」。

そしてUさんと僕は、もう1度、目的のすりあわせをした。

以来、僕は、人に仕事を依頼するとき、必ず「目的と目標」を言うことにしている。

付け加えよう。やりはじめてみて、うまく行かないと感じたら、何度でも目的に戻ってみることだ。最初に考えて、これでいいと思った目的も、やっているうちに壁にぶつかって立ち戻ってみると、実はぼやけていたなんてことはよくある。

経験的に目的がぼやける原因はいくつかある。単純に考えが浅いとき、間違った情報に基づいていたり、重要な情報が抜けているとき、好き嫌いなど心理的な影響を受けているとき、自分の考えを言わずに周囲に流されたとき、やっているうちにいつの間にかズレていくとき・・・。最初に目的ありきだが、やりながら何度も立ち返り、目的の解像度を上げていくことだ。

当事者意識と目的意識

それは、帆船に例えれば帆と羅針盤。どんなに追い風でも当事者意識という帆を張らなければ船は進まない。帆を張れば向かい風でも進むことはできる。でもたとえ帆いっぱいに順風をはらんでも目的意識という羅針盤がなければ目的地にはたどり着けない。

だから僕は若い人たちに、当事者意識と目的意識を教え込む。

常にこのふたつを考える癖がついていれば、みんな自力で目的地にたどり着けるようになるからだ。


※本記事は旧ブログからの転載です。

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