アーバンデータチャレンジ 2019 キックオフ・イベント 1

アーバンデータチャレンジ
UDC Lab
Published in
9 min readJul 4, 2019

令和元年7月1日、東京駒場の東京大学生産技術研究所コンベンションホールで「アーバンデータチャレンジ 2019 キックオフ・イベント」が行われました。今年もこのキックオフからUDCの活動が開始です。
UDCラボではアーバンデータチャレンジに参加する全国の拠点から集まった皆さんの熱気がお伝えできるようにレポートしていきます。

なお、イベントの様子は2部に分けて録画されたものもございます。あわせてご覧ください。

アーバンデータチャレンジ2019キックオフイベント前半
アーバンデータチャレンジ2019キックオフイベント後半

キックオフイベントは講演中心の【第1部:UDCのセカンドステージに向けて】と各拠点が今年の豊富や目標をシェアする【第2部:地域拠点のこれまでとこれから】から構成されていました。

【第1部:UDCのセカンドステージに向けて】

開会挨拶 UDC実行委員長 関本先生

第一部の司会、瀬戸先生からのキックオフ宣言のあと、UDC実行委員長の関本先生からは「UDCセカンドステージ始まります!」と題して、今年以降のUDCのねらいについてお話がありました。
これまでのUDC6年間のあゆみのもとにして、2019年から2023年までの今後5年間でさらに進化するUDC、UDCセカンドステージ(2nd Generation)についての詳細です。

東京大学生産技術研究所 准教授(一社AIGID 代表理事)UDC大会実行委員長 関本義秀先生

セカンドステージで変わった点は大きく6つです。ひとことで言えばこれまでのUDCで得られた各拠点からのフィードバックに対応し、より深くより広い取り組みにつなげていくという仕掛けづくりになります。

応募部門を分野別にして毎年重点分野を設定し学会等と連携
UDCラボを設置し情報発信をWeb上で定期的に実施
各地域の大学と年間共催化
地域拠点賞の評価をきめ細かくします
メンターと地域コーディネータのコミュニケーション機会を増加
新しく部門を立ち上げてサポートします

また、昨年から始まった土木学会のインフラデータチャレンジもUDCと連携して行っていくことが発表されました。

講演1「i-Constructionの取組とデータチャレンジへの期待」

次に国土交通省の廣瀬健二郎さんからは国が進める建設分野の未来を作るi-Constructionの取組と、データ時代における街づくりについてのお話をいただきました。

国土交通省大臣官房技術調査課・建設生産性向上推進官・廣瀬健二郎 氏

i-Constructionとは人口減少社会を迎えている我が国において働き方改革を進めるために、あらゆる建設生産プロセスにおいてデータ化を進め、抜本的に生産性を向上させる取組とのことです。BIM/CIMなどのツールに代表されるICTを全面的に活用することで、建設プロセス全体を3次元データでつなぐことが可能になります。また、作成されたデータは建設現場で利用されるだけではなく、G空間情報として将来的にはデジタルツインやシミュレーション、データにもとづいた街づくりなど、無限の可能性を持ちます。また、i-Constructionのデータを含む様々なデータを提供する国土交通データプラットフォーム構想についての紹介もありました。
「データの力を、まちの力に」が合言葉のUDCでも是非、活用していきたいところです。

講演2「デジタルアーカイブの広がりとジャパンサーチ(試験版)公開」

国立国会図書館(NDL)の奥田倫子さんからは、NDLのあらまし、データ提供の取組、そして最近公開されたジャパンサーチについて、デモを含めご紹介いただきました。ジャパンサーチは我が国が保有する多様なコンテンツのメタデータをまとめて検索できる国の分野横断統合ポータルです。
JAPAN SEARCH BETA

国立国会図書館電子情報部電子情報流通課 UDC実行委員 奥田倫子 氏

Japan Searchには当日時点ですでに102万点もの資料についての情報が収められており、テーマ別、時期別、著作権別など多数の切り口から一気通貫に検索が可能です。また、ノート機能を利用することでお気に入りの検索結果を編集し、新たに編集コンテンツとしてまとめることもできます。
デジタルアーカイブは専門家だけのものではなく、データ時代における社会・学術・文化の基盤としてあらゆる人が活用していく未来を作っていくためのものだとおっしゃっていました。そして、デジタルアーカイブには収めきれていないものが地域にはまだまだたくさん眠っており、市民参加型の地域アーカイブと結びつけ、様々な情報を付加して新たな価値を生んでいきたいとのこと。UDCではWikipedia Townなど地域アーカイブの活動を続けていらっしゃる方々も多数居ると思いますので、今年はJapan Searchとの連携も視野に入れてみると良いのではないでしょうか。

今年はUDCの2つある重点分野の一つが「生活・文化・地域アーカイブ」ということでWebinarなどUDC実行委員会側からも技術的に手厚いサポートが行われる予定です。9月にはNDLでハッカソンが行われる計画もあるそうです。腕に自信のある方は是非、ご期待ください。

Japan Search API等 開発者情報

講演3「富士宮プロジェクト:写真を媒介として認知症の高齢者を含む多世代の交流の場を作り出す取組み」

一般社団法人認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ(DFJI)共同代表理事の岡田さんからは富士宮で地元高校生が高齢者や地域の方々と写真を媒介にコミュニケーションを作り出す試みについてご紹介いただきました。

一般社団法人認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ(DFJI)共同代表理事・岡田誠 氏

岡田さんはDFJIで普段、認知症に関わる活動をしていらっしゃるのですが、「今日は認知症の話ではなくコミュニケーションの話をします」とおっしゃって、富士宮プロジェクトが具体的にどのようなことを行ってきたかということについてお話をいただきました。
当時、地元でボランティア活動をしている高校生たちには「地域の人や高齢者と話が出来ない。何を話していいかわからない」という課題があったそうです。また、地元商店街も「小中学生ならまだしも、高校生にどうアプローチしてよいかわからない」という同じような悩みがありました。そこで、岡田さんたちが提案したのがみんなが持っている昔の写真を持ってきてもらいデジタル化もしたりしながら、それを媒介にコミュニケーションを取ってみるというやり方でした。プロジェクトをまとめたビデオがあるので、こちらをご覧ください。

「写真の力」というものなのでしょうか。地元や近所を撮影した各自の写真をもとに話題が広がります。特に高校生が付箋に聞き取ったことを書き出し始めてからは話がより一層はずんだそうです。そこでは年齢の違いや相手が認知症を患っているかなども気にならないような時間でした。岡田さんはテクノロジーやデータを使うときには、より良いコミュニケーションを実現するために利用するのが良いのではないかという提案をされていました。岡田さんご自身もエンジニアなので、ついついテクノロジーでどうにかしようという思考になりがちだそうですが、UDCの参加者も課題解決の際にそこを気にしてほしいということです。

以前、ボストン市のスマートシティ担当で、Code for America やcoUrbanizeのフェローでもあるNigel JacobさんがTEDで「テクノロジーは人と人とのつながりのために使う」とおっしゃっていたことにもつながりそうなお話だと感じました。

第一部の講演は以上で終了となりました。明日は午後の各拠点の発表についてレポートいたします。

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