中学校と高校で勉強する意味とは
僕は依然として東大の学生のままであり、たかだかそこらへんにいる大学院生の一人なので、東大生向けのメッセージはすでに卒業している小田に託しました。というわけで僕は中高生向けメッセージをここに記します。
以下の文章は、東京大学第66回駒場祭(2015年11月)において配布済みのコピー本に掲載した内容を加筆修正したものです。
ちなみに、下記のメッセージのバックグラウンドとなっているのは、僕自身の中高から今までの経験及び家庭教師や塾講師といった教育関係の活動、そしてまるきゅうProjectの東大生約70人による東大受験アンケート結果です。
振り返ってみると、一度しか指導や交流していない生徒も含めればこれまでに1000人とはいかないまでも700〜800人の中高生と会ってきました。足利白鴎高校や春日部共栄高校、浦和実業高校、小松原高校、そして相馬市の中学生の皆さん、お元気ですか。数が多くてすべての学校の皆さんに挨拶ができず、すみません。しかし、少なくとも一度でも会話をした皆さんのことはずっと覚えています。そんな皆さんの顔を思い浮かべながらこのメッセージを書いています。
1.なぜ中学や高校で勉強するのか、意味はあるのか?
これは、きっと多くの人が一度は思ったことのあるトピックなのではないでしょうか。眠気に耐えながら授業を聞いて家に帰って宿題して、徹夜で勉強して試験を受けるより、友だちと遊んでいた方が楽しいですもんね。
結論から言うとこの問い掛けに対する答えは人それぞれだと思います。この記事では一例として僕の考えを提示しておきます。
中高時代における勉強成果を最初に効果的に発揮できるのは、やはり大学受験においてだと思います。そして大学受験は良くも悪くも今後の人生に関わってきます。そのため、中高で勉強しておくに越したことがないということは簡単にわかります。
しかし受験以外の人生においても中高で勉強したことは役に立ちます。なぜかというと、十分に勉強していれば世の中のいろいろなモノゴトについて正しい判断をできる確率が格段に上がるからです。
2.判断力が必要になる具体例
次の記事(リスクを二元論で考える事のリスク)を参照してください。
3.中高で習う科目はしっかり勉強して判断力を養おう
上記の参照先では放射能や放射線に関する例を挙げました。この場合、良い判断をするためには主に理科の知識が必要となります。
そして理科と切っても切れない関係にあるのが数学です。そのため、数学の基礎も疎かにできません。元々、中高で習う数学は論理的思考力を養うための練習に非常に適した科目であり、数学の勉強を積み重ねれば自ずと他の科目に応用が効きます。苦労しつつも勉強しておいて損どころか得しかありません。
長くなってしまうので、理科と数学以外の科目(授業)が役に立つことについては近いうちに別記事に書こうと思います。簡単に述べておくと、歴史や地理、倫理といった社会の授業を履修することで世界中の人の考えを古今東西にアバウトながら把握することができます。将来的にお金が欲しければ経済や政治の授業を理解しておくこともおそらく重要です。そして国語力が無いと科目によらず文章理解力が無いことと同然なので国語も大切です。
英語はまずはセンター試験で8割取れる程度の実力を目標に勉強しておくと、大学に入ってからもずっと役に立ちます。日本以外の国がどんどん国際的な活動を広める中、江戸時代のように再び鎖国することはもうできないので、英語の重要性はこれから嫌でもますます高まっていきます。うまく生きていく上で必須のツールとして英語力は磨いておいたほうがよいです。
5.まとめ
中学校と高校の授業で各々の教科の基礎を身につけておけば、その後の人生で様々な問題に直面したときに、正しい判断に基づいて対処できる可能性をかなり高めることができます。
このことにより自分のためだけではなく、家族や友人を助けることもできるかもしれません。このため、受験という要素を除いても学校でしっかり勉強しておくことに対する価値と意味は大いにあります。
一方で中高6年間という限られた期間で教科書や授業の内容のすべてを理解するのは簡単なことではないので、大事なのは日頃から継続して勉強することです。このメッセージをここまで読めた皆さんならば可能なはずです。
苦手な科目を勉強するのは無理という人は、興味がある範囲だけでも良いので理解しようと挑戦し、中高で習う勉強を無駄にはしないでください。皆さんが理解しておけば、将来的に自分の子供に教えることもできます。そうやってどんどんと次世代に継いでいけば日本全体が良い方向に進むことになるはずです。
6.おまけ
僕は東大以外の日本の大学はよく知りませんが、少なくとも東大は良いところです。好奇心を満たしてくれる授業やゼミがあり、心の底から楽しめるサークルやイベントもあり、今まであったことのない部類のユニークな人々と出会うこともできました。
こいつには勝てない、という友人も多くでき、勝てないながらも学ばされることはたくさんあります。ありがたいことです。また、大学に入るまで知らなかった世界をいくつも見ることもできました。東大に入ったおかげで渡米の機会を得てアメリカの大学を体験することもできました。
もし皆さんが東大に興味があるのならば、是非目指してみてください。そして入学したら積極的に活動してください。受動的な姿勢でいたのでは学べることは少ないからです。学生の間は失敗してもたいていの場合許されるので恐れることはありません。わからないことがあったら遠慮せずメールなりコメントなりください。
ではでは。
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