New York で過去最大規模の機械学習のカンファレンスが開催されました

Hidemasa Oda
UeSaku Diary
Published in
6 min readJul 3, 2016

2016/06/17 ~ 2o16/06/25 まで New York に滞在しました。滞在目的は ICML という機械学習のカンファレンスに参加することでした。

ICML は、NIPS と並び、機械学習のコミュニティで最も有名なカンファレンスです。2015 年 フランスの Lille で開催された ICML は、2016 年はアメリカの New York で開催されました。参加者は、主催者発表の数値で、ICML の歴史で最も参加者が多い、3,000 人となりました。

1日目がチュートリアル (tutorial)、2日目から4日目がメインカンファレンス (main conference)、5日目と6日目がワークショップ (workshop) と6日間にわたり開催されます。

会場は New York の中心市街地 Times Square にある Marriott Marquis です。μ’s が NY で公演していた場所の向かい側の建物です。

会場 Marriott Marquis の屋内はこんな感じです。Marquis 劇場を併設する高級ホテルです。

Father’s Day から始まる ICML 2016

US では 6 月 19 日は Father’s Day という祝日です。
しかも、19 日は日曜日でしたが、この日から ICML 2016 はスタートしました。

初日はチュートリアルということで、著名な研究者から各分野の紹介と最新の研究の動向について説明を受けました。
会場は Crown Plaza Hotel と Marriott Marquis の2箇所で、1日3セッション、各セッションで3種類、計9つのチュートリアルが開催されました。

New York の土地代と、主催者も予想できなかった規模の拡大とのせいでしょうか、参加者1人にかけられる予算が減ったように感じました。
例えば、今年は参加記念品もありませんでした(昨年は、手提げ袋いっぱいにお土産をいただきました;ICML ビール・ICML マカロン・ICML マグカップ, etc.)。休憩時間も、平凡なベーグルとコーヒーが振舞われるのみで、悲しみを感じました。(昨年は、10種類近いハムとチーズが振舞われ、パニーニも複数種類用意されていました。)

昨年よりも1セッション多い4セッションの招待講演が企画されました

Main Conference が開催された3日間で計4つの招待講演がありました。

チュートリアルが、機械学習コミュニケーション内にいる研究者からの発表であるのに対し、招待講演は、機械学習コミュニケーション外にいる研究者からの発表であることが多いのが特徴です。

メインカンファレンスは 7つの部屋に分かれて 1日数セッション 3日間にわたり開催されました

Main Conference は Marriott Marquis の7部屋を利用して開催されました。
深層学習 (Deep Learning) 関係の話題が多かったように思います。

小田は、強化学習 (Reinforcement Learning)・因果推論 (Causal Inference)・ロバスト統計 (Robust Statistics) に興味を絞って発表を聴講させていただきました。

メインカンファレンス最終日のリセプションは航空母艦の上で行われました

メインカンファレンス最終日のリセプションははイントレピッド海上航空宇宙博物館 (Intrepid Sea-Air-Space Museum) で行われました。
退役空母であるイントレピッド (Intrepid) 自体が博物館になっています。

ワークショップ1日目は Reliable Machine Learning に参加しました

ワークショップ1日目は、12個の分野から1つの分野を選択します。
小田は ‘Reliable Machine Learning’ を選択しました。

‘Reliable Machine Learning’ は、因果推論 (Causal Inference)・ロバスト統計 (Robust Statistics) ・リスク考慮型マルコフ決定過程 (Risk-sensitive MDP) などの分野と機械学習との関わりとに議題を絞ったワークショップです。

例えば、治療の効果(病気に対する薬の効用など)を確認するにはどのようにしたら良いのでしょうか。2種類の治療方法 A と B の効果を比較することを考えてみましょう。治療 A と 治療 B の効果の差は、A を施されたグループ(患者)での観測値(薬の効果)の平均と、B を施されたグループ(患者)での観測値(薬の効果)の平均値の、差として計算されます。
しかし、実際には、交絡要因 (両グループ間での年齢や性別の違い)が存在しており、単純に両グループ間での観測値の差が、治療の効果とは言えない場合があります。このようなケースで我々ができることは何でしょうか?

このようなケースでは、実際には採用しなかった行動(治療)に対する効果の推定 (counter-factual reasoning) が必要になります。つまり、「実際には治療 A を施した方に対して、もし(治療 A ではなくて)治療 B を施していたとしたら、この方に対する治療の効果はどのように変わったいたのだろうか」という、実現しなかった世界に関して考察が必要になってしまいます。このような状況に対処する方法はあるのでしょうか?

2日目のワークショップは Times Square 近くの Microsoft のオフィスで開催されました

ワークショップ2日目は、11個の分野から1つの分野を選択します。
小田は ‘Machine Learning Systems’ を選択しました。

‘Machine Learning Systems’ は、よりエンジニアリングに近い分野に関するワークショップであっため、内容を正確に理解することが難しく感じました。
機械学習を可能にするハードウェアやソフトウェアのアーキテクチャーに焦点を絞ったワークショップでした。

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