DevCon5を振り返る

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Unchained
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8 min readOct 15, 2019

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〜ボランティアをやってみて、Web3Summit比較〜

DevConの内容については他でもまとめられているので、本記事では一般的な情報は少なめに、筆者のボランティアとして参加してみての所感や、Web3Summitとの雰囲気の違いなどを共有できればと思います。

**ボランティアについては運営に許可を得た上で書いています**

2019年10月8日〜11日に、年に一度の世界最大のEthereumの祭典、DevCon5が大阪のATCホールにて開催されました。参加者はデベロッパー、リサーチャー、ビジネス系など全て合わせて5000人弱が参加し、大阪は参加者で溢れかえりました。

日本でのDevCon

世界中のブロックチェーンエンジニアがDevcon5に参加するために遠路はるばる日本に集結したというのは、ハイプが終わった日本のブロックチェーンエコシステムにとって良い方向へ向かう刺激になったと思います。これはEthereum財団のAya Miyaguchiさんなど様々な方が裏で動いてくれたことによって実現したことですので感謝しきれません。ブロックチェーンエンジニアには結構日本好きが多いので(主観ですが)、大阪での開催は正解だったと思います。東京にはない昭和を想起させる街並みや、新世界などの新しいものと古いものが混ざった独特な雰囲気を感じられる場所でした。

会場

日本開催ということもあり、日本人参加者も結構参加しており、会場のあちこちから日本語が聞こえてくるという、いつもの海外カンファレンスと違った雰囲気を感じました。会場のATCホールは街の中心から結構外れていたものの、海が見れたり、沢山のレストランが内接されていたのでまあ良かったかなと。2階から6階への移動手段がエレベーターしかなかったので常に混雑していたのがボトルネックでした。

ATCホール

ボランティアをやってみて

(内容については運営に許可を取った上で書いています。)

さすが世界最大というべきか、DevCon5には多くの応募者の中から選ばれた約100人ものボランティアスタッフが世界中から集まり、DevCon5を裏側から支えました。ボランティアは5つの役職グループ(参加者登録、トークルーム、メインルーム、スワッグ、一般フロア、インフォデスク)に別れ、その班のリーダーの指示に従います。

イベント前日の昼からの必須トレーニングに参加し、会場の下見や当日の仕事のガイダンスなどをしました。そして、イベント4日間のうち2日間の8:00am~6:00pmまでスタッフとして働きます。筆者はトークルーム担当で、アサインされた部屋のカメラやスピーカーのサポートなどを行いました。

日本人ボランティアは全体の10〜15人くらいで、通常の仕事にプラスで会場での翻訳や大阪現地についての質問など、何かと役に立てたかと思います。かくいう私も何度かレストランの予約を代わりにお願いされました。あとは、Twitterで話したことあるけど顔を知らなかった人と知り合えたので良かった。

イベント最終日にはEthereum Foundationとスタッフ限定のアフターパーティがありました。筆者は台風で翌日の新幹線がキャンセルされたので、前日に早めに帰ったため不参加。無念。

サテライトイベント

大阪の至る所で様々なイベントが開催されました。筆者はIPFS Workshop、Parity Workshop、OffDevcon Club、Consensys Clubに参加。フリーディナーやウォレットやセキュリティキーの抽選会などあって楽しかったです。OffDevconはテクノが流れると聞いて行ったのですが普通のパーティソングだったので帰りました。残念。

その他良かったところ

・Decompression Room(禅)

6階にはDecompression Roomという静かで薄暗く、涼しいリラックスルームがあり、DevConのセッションや人波から逃れたい人が休憩していました。最終日には英語を喋るお坊さんが禅のワークショップをしてくれました。

午後になると全てのクッションが埋まるので床に寝ている人もいました。

Decompression Room

・DevCon Park

アウトドアスペース。手作りおにぎりや抹茶、コーヒーなどが無料でもらえます。お茶は1つずつ立てているのですごい行列でイライラしている人も。「待つのも文化だよ」となだめました。

おにぎりはめちゃくちゃ美味しかったです。

Dogeコインのモデルになったしば犬も来てましたw

DevCon Park

・日本パフォーマンス

オープンセレモニーでの日本の太鼓パフォーマンスや、クロージングのドローンを飛ばしながらの盆踊りなど外国人参加者には結構受けていました。

日本太鼓パフォーマンス

Web3Summitとの比較

筆者は8月19–21日にドイツ、ベルリンのFunkhausで開催されたWeb3Summitにもボランティアスタッフとして参加していましたが、二つのカンファレンスからはかなり異なった雰囲気を感じました。

Web3Summit

Web3Summit(W3S)はどちらかというと思想やプライバシー寄りのカンファレンスで分散型Webという大きなテーマを扱っているのに対し、DevConは開発者のカンファレンス(Developers’ Conference)というだけあり、メインホールでも御構い無しに会場の至る所で技術的なトークやセッションが繰り広げられていました。

W3Sは毎年Funkhausで行われるのですが、Funkhausは戦時中、国営ラジオ局として軍のプロパガンダで頻繁に使われていた歴史を持っています。現在はその建物をそのまま、しかし真逆の思想や目的を持つW3Sの会場として使うというところがやはりベルリンならではだと感じます。W3Sの目玉スピーカーはやはりW3F/Parityの創業者のGavin Wood、Protocol Labs CEOのJuan Bennet、そして今年は元NSAのEdward Snowdenも登壇しました。日本人は10人ほど参加。

Devconのセッションの内容もほとんどがEthereum界隈のプロジェクトやスケーリングソリューション、Eth2.0についての話で、筆者はEthereumにあまり詳しくないのでついていくのがかなり難しかったです。中にはParityのセッションもありましたが、Polkadotについてはあまり言及なく、Ehtereumへのブリッジや、クライアントについての話がありました。

追記(10/17):4日目にPolkadotのガバナンスについての発表などあったらしいですが、お昼に帰ったので見れませんでした。

ボランティア

W3Sのボランティアは最初の会場設置くらいしかやることなかったのでかなり楽でした。当日のセキュリティや飲食などは会場のスタッフがやってくれていました。逆にDevConのボランティアは2日間の8:00–18:00で仕事しないといけないので結構大変だったのと、参加したかったトークを参加できなかったのが結構残念でした。

まとめ

ボランティアスタッフやイベント参加を通して様々な国の人と出会えたのは一番の収穫だったと思います。でもイベント期間の半分の時間を拘束されるので結構きつかった。DevCon5のセッション自体は界隈のサイドプロジェクトなどのテクニカルな話多く、Ethereum開発者でない筆者はそこまで興味はなかったかなーと思います。興味あったセッションも時間が合わず見れなかった。Vitalikの”Satoshi invented Crypto Economics”やEth2.0についてのトークは興味深かったです。一方、Web3Summitは現状のWebに対する問題提起や、思想をアップデートするようなハイレベルな内容のトークが多かったため、現地でしか感じられない会場の一体感やCypherPunkな雰囲気を味わえるので行って良かったと思います。来年のDevConはカナダで開催されたら行きます。

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