Web3.0後の未来

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Unchained
Published in
6 min readApr 12, 2019
画像:https://u3071399.wordpress.com/tag/web3-0/

はじめに

最近ではDLTを使ったビットコインなど暗号資産から始まり、銀行などのフィンテック分野、そして他産業でも数々のプロジェクトが日々生まれています。この一連の産業全体の動きは現代のWeb3.0への遷移を示唆し、それは既存産業に革命をもたらすと言われていますが、Web3.0とは一体何なのか、読者の皆さんは定義することができるでしょうか。この記事ではWeb3.0を正体を解剖し、国内外の先駆的なユースケースの紹介を通して『Web3.0後の未来』を予測します。

Unchained代表の小林も2018年にベルリンで開催されたWeb3.0に参加し、特に欧州で日々誕生しているプロジェクトについて学んできました。その時の記事はこちら

1, Web3とは

2, なぜ今Web3.0が必要なのか

3, まとめ

1. 注目を集めるWeb3.0の概観

Protocol LabsのJuan BenetはWeb3 Summit 2018ので行った「What Exactly is Web3?」でWeb3.0をこう定義しています。「Web1.0は読み込み専用、Web2.0は読み、書き込み、Web3.0はそれに信頼が加わったものである。」

Web1.0は企業のポータルサイトやホームページなどを例とするスタティックなサイト。それらはurlという識別子によって繋がっており、パブリックに公開されています。一般的なユーザは静的なドキュメントを読むことしかできません。

Web2.0はブログや掲示板、最近ではYouTubeやTwitterをはじめとした、ユーザ同士の相互対話が可能なソーシャルメディアが誕生しました。誰でも書き込みが可能となったことから、現産業を支える様々なサービス誕生のきっかけとなりました。

そしてWeb3.0は改竄不可能性と透明性というDLTの特徴を組み込み、Web2.0上に溢れる真偽不確かな情報を検証可能(verifiable)にしました。また、スマートコントラクトの自動執行性と組み合わさり、サービスを管理する第三者の必要性(信頼コストとサービスの運用)を中抜きしたものがWeb3.0の大きな特徴と言えるでしょう。ユースケースプロジェクトは後述しますが、私たちが日常使っているWebブラウザやECサイト、ブログなどが代表的な例です。

簡単に図式化するとこのようになるでしょう。

2. なぜWeb3.0今注目が必要なのか

その理由は主に以下の3つです。

a. 情報

国連はインターネットユーザは2000年の738mil人から2015年には3.2bilに増えたと予測しており、IoTsやインターネットインフラの成長から、今後も膨大な量の情報がムーアの法則的に増え続けると言われています。これらの情報はAmazonやGoogleをはじめとしたプラットフォーマーの中央集権的なデータベースに保存され、ユーザは便利さと引き換えに自身の個人情報(アイデンティティ、検索履歴、ブラウジング習慣)のセキュリティを犠牲にしています。これらの情報は非常に大きな金銭的価値に繋がるため、企業間で売買されています。

b. Web革命 ver. 3.0

最近の大きな問題となっている企業による大規模の個人情報のブリーチや、許可された目的以外の使用によって、ユーザ自身の個人情報保護の意識が欧州をはじめとして高まって来ています。先ほど述べた検証可能なDLTの誕生により、Web2.0で中央集権的に集められたデータを、Web1.0の時のようにもう一度個人の手に戻し、当初のインターネットのあるべき姿である非中央集権的でフェアなWebを作ろうという動きが強まってきています。Web2.0は従来の国に管理された社会構成を民主化することに成功し、経済はプライベートなプラットフォーマーによる寡占状態に陥りました。これに対し、Web3.0が目指すものは、パブリックで非中央集権的な複数のエコシステムの価値の共有であり、この点でWeb3.0はWeb2.0のアンチテーゼと言えます。

c. Web3.0がもたらす恩恵

・Fat-Protocols

Web2.0はFat Application, Thin Protocol(http://www.usv.com/blog/fat-protocols)と呼ばれており、”winner-take-all”なマーケットです。これによりユーザの多いプラットフォームアプリケーションを作った者が個人情報や資金が集まります。それと相対し、Web3.0はFat-Protocols、Thin-Applicationsであり、一つのアプリケーションの成功がプロトコル全体の成功となり、さらなる優秀な人材やサービスの誕生に結びつきます。

・相互互換性(Interoperability)

従来のOS専用のアプリケーションとは異なり、スマホ・パソコン・テレビなどのデバイスやOSに縛られずにアプリケーションが動くようになります。

・攻撃させないインセンティブ設計

データが分散化されたサーバーに保存されているため、ハッキングするためには全てのネットワークに攻撃をしなければならず、ハッカーへのインセンティブが低い。

・情報の所有権

原則、個人情報はエンドユーザーが自身のデバイスなどで管理する。必要によって、特定のエンティティにデータへのアクセス権をグラントすることができる。

他にもWeb3.0がもたらす恩恵は数え切れないほどあり、それらが社会、産業全体にもたらす影響は計り知れません。

3. まとめ

Internet of Blockchain Foundationが提供している以下のカオスマップが示すように、Web3.0の波はもうすでに多くの産業で既存のサービスを置き換えるべく急速に広がっています。Unchainedのイベント講演でもよく話題に上がる分野は保険やヘルス、金融であり、この中で特に動きが速く、最初に商業的利用が広がりそうな分野はDeFi(Decentralized Fintec)と言われています。どのサービスもWeb2.0の既存プレイヤーと比較するとユーザ数はまだ微々たるものですが、急速な技術汎用の進展と価値観の変遷により、ユーザの「便利さ」と「プライバシー」の天秤が「プライバシー」に振れるのも近いと予測しています。

画像:Internet of Blockchain Foundation

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