ゲームアイテムの資産化、これはDAppsゲームを語るときに誰もが関心をもっている重要な要素と言えるでしょう。
それはなぜなのか。
従来のゲームではユーザーが購入したり獲得したキャラクターやアイテムは運営している事業者のサーバーに記録されているだけに過ぎず、利用規約においても事業者から貸与されているだけに過ぎません。
そのため、いざとなれば中央集権的な権力を行使することでユーザーが獲得したキャラクターたちを事業者が自由に操作することができるといった状況に置かれていました。
DAppsゲームでは、こうしたアイテムを貸与という形態ではなく財産権を認める形で、運営会社がゲームサーバーを停止した後もデータを持続させることができます。
では、こういったブロックチェーンの特徴を新規のサービスではなく既存のサービスに当てはめることはできないのでしょうか。
私たちその先駆けとなれるよう、位置情報ゲーム「レキシトコネクト」におけるゲーム内資産をブロックチェーン上に移植するという取り組みを進めています。
レキシトコネクトとは
『レキシトコネクト』とは、スマートフォンやタブレット端末の位置情報登録機能を利用し、歴史上の英雄達をモチーフにした「イジン」と共に日本全国で戦国時代さながらの陣取り合戦を楽しむ位置情報ゲームです。
日本全国のお城や神社でチェックインしながらコレクションをしたり、各都道府県で未踏のエリアを埋めていき踏破を目指したりと、日常生活や旅行の移動にあわせて遊べるライフログ的な側面を持ったタイトルです。
レキシトコネクトのサービスは2018年9月19日12:00をもって終了いたしました。しかし、遊んでくれた数多くの方々に対する感謝の意を込めて、ゲーム内で獲得したキャラクターなどの資産をブロックチェーンのトークンとしてユーザーに配布するといった取り組みを行う予定です。
トークンをどのような規格にするか
トークン化する際に重要となるのは、扱おうとするものが性質としてNFT(non fungible token = 代替不可能な性質をもったトークン)とすべき性質を持っているのかといった点です。
通常、ゲーム内のアイテムといえども管理用のIDのようなものが割り振られると思います。ですので、データとしてはこれまでのものもノンファンジブルと言えなくもありません。
ただし、それ以外の情報が全て同じであるのなら実態としては同じものとみなして『同じ「木の剣」を100本持っている』というように理解されるでしょう。
今回レキシトコネクトではゲーム内のキャラクター「イジン」とイジンの着せ替え衣装「コスチューム」をイーサリアム上のトークンとして発行し、ユーザーに配布するという取り組みを行います。
トークンを発行するにあたって採用する規格を決める必要がありますが、私たちが注視したのは「ユーザーにとってどんな情報に価値がある」のかという点です。レキシトコネクトは位置情報を活用したものであることから、ユーザーがどのような行動を取ったのかというライフログ的な性質を非常に重視しているタイトルとなっています。
そのため、それぞれのキャラクターをユーザーが何回活用したのかといったことや、いつ出会った(獲得した)のかといったものをユーザーにも見れるものとして提供していました。
キャラクターのレベルやステータスやいった他のユーザーと同一ではないもの、ユーザーが「自分が本当に育てたもの」として感じられるものを残したいということからイジンは代替不能なNFTが適切であると考え、ERC-721を採用することにしました。もし同じキャラクターを複数体持つといった状態が生まれたとしても、それぞれのキャラクターは別のものとして扱うようにしています。
一方、コスチュームに関しては育成などの要素はなく、あるユーザーが持っているコスチュームと別のユーザーが持っているコスチュームは実態として同じものとみなすことができるため代替可能なERC-20対応のトークンとして発行します。
発行したトークンを今後どのように扱うのか、どういった活用をしていきたいのかということを念頭に置いて規格を決定するのは非常に重要なことです。
一方で、今回の取り組みのように既存のサービスを前提としている場合、ユーザーにとって代替不能な価値があるのはどういった要素なのか、ということを考慮するのも大切なことであると私たちは考えています。
私たち開発者には何ができるのか
ブロックチェーンの利用によって、ユーザーに本当に資産の財産権を持たせることができるという点には私たちも非常に大きな魅力を感じています。
その中でも、これから生まれるゲームだけではなくこれまでのサービスで取り扱われてきたゲーム資産に対しても正しく資産として認められるべきなのではないか、という意識を持って私たちは取り組んでいます。
多くの開発者はこれまでのゲームにおいても財産権がユーザーにあることを認めたくなかったわけではありません。実際に財産権を認めようとした際、対処しなければならない問題が数多く存在していたためにそれを実施することが難しかった、というだけに過ぎないのです。
この「やりたかったができなかった」という課題を解消してくれるものである、私たちはブロックチェーンというものをそういうものとして理解しています。
今はまだ色々な面で整備が進んでいないため、既存のゲームにおける資産を認める取り組みがしやすい状況とは言いにくい状況です。
しかし、分散化された社会が到来していく過程でこういった問題も少しずつ解消されていくのではないでしょうか。
これまで資産として認められていなかったものに対しても、きちんと資産として認めた上でユーザーに提供される。
そうした未来に向けて邁進していくので今後もUniqysプロジェクトをよろしくお願いします!