オープンバンキングのイノベーション

ustwo Tokyo team
Jul 2, 2021 · 8 min read

こちらはustwo Londonの英文記事を翻訳したものです。

2018年、ヨーロッパの銀行による個人金融データの独占は EUにより破られました*。銀行は顧客の金融データをサードパーティへ開放せざるを得なくなったのです。顧客さえ許可すれば、新しい金融サービスを作るためにデータを使うことができます。

*EUでは2018年に「EU一般データ保護規則」が発効し、個人データを異なる管理者へ移転、使用させる権利などが定められました。

なぜこれが注目すべきニュースなのでしょう?データが新しいゴールドならば金融データはまさに24金です。多くの新規プレーヤーがサービスと交換にあなたのデータを得ようと押し寄せているのがその証拠です。その中でも注目すべき事例は、従来の銀行よりもはるかに低い手数料で外国送金できるTransferwiseや、あなたのデータを使い投資のアドバイスを生成するWealthfrontでしょう。スピードの速いスタートアップは一山当てようとしており、外から見れば銀行はそれを許しているように見えます。

前後の順序を誤る

APIポータルをうまく作って維持できれば、将来、競争力のある銀行の重要な基礎になるでしょう。それは銀行が最先端でありつづけるだけではなく、内部のソフトウエア開発を加速させ外部のデベロッパーやパートナーへアクセスを与えるのに役立ちます。

オープンバンキングの探求

イノベーションの過程がモヤがかかったようにはっきりしない時は、成果をしっかり定義するとチームの進む道が見えてきます。今回のケースではまるで荷車が馬を引いているように順番が逆でした。情報にはアクセスできましたが、それを使って何を達成するかがわかりませんでした。そこではじめに、私たちは基本的な考え方を練りました。

  • ユーザーインタビューでは、ユーザーはバンキングやペイメントアプリのユーザー体験に全体的に満足していませんでした。
  • オープンバンキングで一山当てるには、規制を越えたところへ進まねばなりません。
  • 次世代バンキングの収益モデルはまだ確立していません。

このマジックを成功させるのは難しいですが、ustwoには常に実行するいくつかの「トリック」があります。その領域の知識、デザイン思考、技術的経験をうまくミックスし、まず数スプリント作業します。ユーザーから得たインサイトを元にプロトタイプを作り、次世代バンキングにとって大切だと思われる点をいくつかコンセプトに落とし込みます。この過程で出てきたアイデアのほとんどはスケッチの段階で捨てますが、いくつかはコーディングに進む事になります。

バンキングのような複雑で奥深い領域で試行錯誤するときは、さまざまなバックグラウンドの人たちが欠かせません。UXデザイナーが銀行口座のしくみ、成り立ち、規制事項をわかっていると期待しないでください。ですが銀行員何人かに聞けば、デザイナーでもわかる人たちが出てきます。 それぞれが異なる知識ベースを築き、理解を共有すれば、それが新しいプロダクトにつながります。

オープンバンキングに飛び込んでみて考えたこと

  • ソーシャルバンキングが成長するでしょう。消費者が集団で自分たちのウォレットのパワーを発揮することができます。マイクロファイナンス、コミュニティ投資、ソーシャル起業などです。
  • お金の管理をAIが助けてくれます。あなたはジュースにお金をたくさん使っていますか?AIが安く買える店を教えてくれます。タンポンを買うのを忘れたことがありますか?AIからリマインドが来るでしょう。クレジットカードを盗まれましたか?AIがそれを認識して、口座の怪しい動きに目を光らせます。
  • 透明性が増します。顧客はより高いレベルの透明性を期待し、自分の資産がどのように使われているかに注意を払います。たとえば、自分の年金が社会的に責任のある方法で投資されているかどうか、です。
  • もうすぐ誰でも安く簡単で速い海外送金できるようになります。RevolutやTransferwiseが手数料をほとんど0ちかくまで下げるでしょう。
  • 本人確認手順はさらにひどくなりますが、やがて改善されるでしょう。現在のソリューションは技術的に未熟で、ユーザーフレンドリーではありません。第二、第三世代の本人確認サービスに期待します。

イノベーションのフォーカスは、APIポータルを作るところからそれをアクティベートするところへ移ります。この動きは草の根レベルで始まり、さらに広がるでしょう。すぐに新しいビジネスモデル、フィーチャー、画期的なイノベーションが出てきて、ユーザー中心に考えるプレーヤーとそうでないプレーヤーの格差が広がります。この戦いが将来の銀行の立ち位置を決めることになります。最悪の場合、銀行はインフラとしての規模すら縮小され、合法的に金を動かすだけの存在に終始することになるでしょう。もしくは今のうちに自身を再構築し、新しくイノベーティブな価値を提供できるようになれば、フィンテック革命の前線に躍り出ることができるのです。

成果

私たちのケースでは、アイディアを実装したきちんと動くプロトタイプを提供しました。リアルに動作するフィーチャーを作る事を優先しました。ざっくりとしたものを広いスコープで作ってしまうと、実際の機能の価値を弱めてしまう恐れがあるからです。このプロトタイプはPOC (Proof of Concept)の役割をするだけではなく、組織の中でインスピレーションを広め、自信を与える触媒としても機能します。

こういったプロトタイプというのは混乱の嵐の中で消えてしまいそうな蝋燭のように見えるかもしれません。洗練された、見るものの心を掴むパワポのプレゼンとは違うものです。が、関係者がこのプロセスに適応し成長していく中で、本当に大切な価値をカスタマーの目の前に届けることができます。マーケットに出すまでの時間、技術の熟練、デザイン思考が大事で、形があって実際に動くプロトタイプがこれらすべての支えになります。

ustwoでは、未知の中を進んでいくことにたくさんの経験を積んできました。探し求めるものが抽象的でぼんやりしているとき、これを明らかにさせるプロセスが重要です。それはつまり、いかに一歩一歩を認識し、記録しながら前に進むか、その方法を知っているかという事です。

✨ わたしたちはustwoです。人々の暮らしに明確な変化を起こすデジタルプロダクト、サービスのデザイン・開発をしています。

👏 また、クライアントご自身の組織・デジタル文化が発展するよう、ワークショップやコーチングなども行っています。 プロジェクトのご相談やご質問など、お気軽にお問い合わせください。 — hello.tokyo@ustwo.com

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