情報デザインのワークショップ #2
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8 min readAug 17, 2014
抄読会: UXKYOTO STUDYで取り上げる書籍「情報デザインのワークショップ」のChapter 2をまとめました
- コミュニケーションデザインとは、デザインプロセスの発見を目に見える形にして共有する表現活動
2–1: コミュニケーションデザインにおけるワークショップの活用法
2–1–1
- 「要求された仕様に合わせて期限までに形作って納品する」から「明確になっていない課題をクライアントやユーザーとともに解決してゆくプロジェクトリーダー」へ、デザイナーの役割が変化してきている。
- コミュニティの中での情報共有などを活性化させ、個々人の日常におけるコミュニケーションの道具や仕組み、サービスのデザイン変えていくことが求められている。
- 成果物は時に、図解を用いた視覚表現、デバイスやネットワークを介した道具、サービスやシステムである。
2–1–2 ~ 2–1–5
- <理解>目の前で起こっていることを観察し、得られた事実を解釈、それを表現に落としこむことで、デザインの成果物として当事者間での確認や他者への説明が可能になる。
- <提案>まだ存在しないサービスやプロダクトを視覚化し、社会を説得する役割もある。アイデアの発想・集約・表現、そして公開することで社会からの評価が得られる。
- 理解と提案の循環あるいは同時並行させることが実践的なスキルで、コミュニケーションデザインの基本である。
- 活動のプロセスを記述し、共有や振り返り、プレゼンテーションのための資料とすることコミュニケーションデザイナーの役割。
2–2: オリエンテーション
- ワークショップの目的を整理しよう。参加者の焦点がずれないように。記録をとって振り返りをしよう(客観的、個人の内面的問わず)
- 多様なチームメンバーをつくることで相互の創発、学び合いが起こる。チーム分けには自分の意志を反映させるとチームの結束が高まる。問題への感情移入が当事者意識や使命感へつながる。
- メンバーの能力の相乗的な発揮が優れた成果に直結するため、チーム内の信頼関係マネジメントが非常に重要である。シアターゲーム/コンセンサスゲーム/チームフラッグ/パンフレットへの仕掛けなどが、チームビルディングに活かされている。
2–3: ウォーミングアップ
- <日常も対象>一連のデザインプロセスを体験します(5時間)。普段の体験を図解してみる。言葉に頼らないで伝える際の相手に対する思いやりを問う。例として『学生食堂の利用方法』
- <明確な表現>誰に?どんなふうに?を意識するためにユーザーの設定とストーリーテリングを取り入れた。使う側視点を持つために現場観察が必須である。観察後は利用シーンごとに分解する。
- <表現の洗練>完成したらみんなで共有。観察力や構成力の違いに気づく。調査で見ぬいたことが成果物に反映される
2–4: ワークショップの企画
- 題材の視覚化表現がWSの成果物である。
- WSは企業活動や新製品プロモーション企画にも活用できる。デザインプロジェクト全体、各ステップ、特定のフェーズ 、個々の活動など、様々な粒度でWSを実践できる。
- WSは予定調和の活動プログラムではない。魅力的な成果や合意形成が得られるWSデザインとそのファシリテーションが求められる。
2–5: 現状調査
- 現状調査は、視覚化のための情報収集と対象の理解を目的とする
- フィールドワークにも(1)人と現場を観察、(2)ユーザと関わり対話する、(3)体験するという3つの質がある。定期的に現場へ訪れることは、雰囲気に慣れ実態を把握するために大事である。多様な人と関わり、解釈の際の根拠となる様々な生データを収集しよう。対象の社会的位置づけや産業の仕組みを事前に調べておくことで状況を正しく読み解くことができるようになる。
- 現状を捉えることに集中し好奇心と行動力を優先する。十分な時間が取れない時は、ファシリテーターは、参加者が感情移入できるデータを用意することが望ましい。
2–6: 調査結果の視覚化
- グループで情報を共有し、対象の可能性や課題を把握する。
- 生データを付箋を使って分解し、論理構造を目に見える様に整理する。情報の組織化を行ったあと、その分類から新しい意味を見つける。KJ法。そこで語られてないことやいまここにない重要な事を見抜く視点に気をつける。データは断片的なので冷静に議論しよう。
- 企業の事業構造を理解し合えるように視覚化した図がこの時点での成果である。この図を元に、企業の可能性やデザイナーができることについての議論が展開できる。
2–7: 資料のドキュメント化
- デザインプロジェクトの過程で生成されるすべての表現物を資料と呼ぶ。デザインWSの成果は最終成果物のみではなくそのプロセスをも含む。振り返りや説明の証拠などの目的でドキュメント化をしよう。
- 成果をその場で確認・共有できるので、RTDはリアルタイムであることが重要。その他、DW, RTV, RTP, RTBも活用できる。客観性を意識しながら記録者の主観を含めて編集する。
- WS内でのRTDでは参加者と共に議論をすすめることが望ましい。主催者やファシリテーターとの打ち合わせは綿密に。
- RTDの本質はその活用にあり、WSの成果を今後どのように活かしていくかを考える上で欠かせない資料となる。WS終了時にはふりかえりとリフレクションをしたい。参加者が個々に持ち帰るようにしたい。
2–8: 現状把握の結果の視覚化
- グループ内向けの資料から発信のための表現へ。誰に、何を、どのように伝えることが最もふさわしいか、コンセプトを考える。声の小さい人の意見にも光るものがある。
- 現状把握のプロトタイプは個人で行い、A3用紙1枚にまとめる。伝えたいメッセージから伝わるメッセージへ、固定観念に囚われないように作業する。コンセプトを考え、伝えたいメッセージを明確にし、必要な情報だけに簡略化し、眼と心を惹きつける見やすいレイアウトを考える。コンセプトはデータを重ねてゆくと次第にみえてくる。
2–9: ディスカッションによるコンセプトの共有
- カーテンディスカッション、シャッフルディスカッションなどを活用し、他のグループのコンセプトやアイデアを相互に理解しよう。
- グラフィックファシリテーションはメンバーの認識のギャップを発生させないために有効である。グラフィックファシリテーターは交代で務めることで本人の自信も構築できる。
2–10: 社会に向けたメッセージ表現
- コンセプトメイキングを学ぶワークショップを通じて、人を惹きつける魅力などを見つけてみよう。
2–11: 社会に向けた情報発信
- インフォグラフィックスの完成度を高めるワークショップ。人に見てもらい、プラス面・マイナス面を聞こう。
- ツタグラプロジェクト
2–12: 社会に向けた成果物の発表と評価
- 展覧会形式と公開プレゼンテーション
- 提案内容をステークホルダーに理解してもらい実現に向けて進めるためには、提案にいたるプロセスを体験してもらうことが最も効果的である。WSの成果発表としての展覧会をひらき、動いているものをみてもらう。アクティングアウトにステークホルダーを誘い込む。来場者向けワークショップ。
2−13: デザインプロジェクトの資料化と共有
- ポートフォリオの編集と表現の構成案をWSで進めてみる。
- (1)活動の振り返り、(2)資料の構造化、(3)説明のシナリオ制作、(4)シナリオの確認、(5)ページ構成とレイアウトの検討
2–14: 社会に向けた資料の制作
- 成果物を実社会で活用し、組織や社会に影響を与えていくための具体的な戦略を考える。
2–15: リフレクション(省察)
- 省察は自らの活動を省みながらその意味付けを行うこと。デザイナーは活動の中で省察を行いながら目的に見合う成果を導き出す専門家。活動をリードする船頭のような役割がある。
- WS終了後にふりかえりセッションを設けて省察することはデザインプロジェクトの継続や次のプロジェクトへの発展、人材育成の視点からも重要である。
- クールダウンのためのセッションであるため、感想ではなく、参加者が活動の中で得た知見や持ち帰って今後に活かしたい視点などを言葉で表すことに意味がある。リフレクションムービー/ドキュメントウォールを用いたふりかえりもある。
- 活動の暗黙知を外在化し、共有・活用できる形式知として道具化する手段ともとらえることができる。