意味論的転回 #6
P134–P169をまとめました。
情報を与えるもの
どこか別のところで生じていることについて報告し、相互作用の履歴を振り返り、ある行為がもたらすことを人に期待させる。
情報を与えるものと記号の「自分自身とは別の物の代わりとなる」ものという伝統的な考えとの違いに関する重要な点
- それを受け取ることができ、しかもすすんでそうする気があるユーザーには情報を与える。ユーザーと人工物との関係をユーザーが理解してその理解に基づいて行為をする。
- 情報を与えるものは、人間と人工物とのインタフェースがもつ力動性に組み込まれているということ。
情報を与えるものは大きく三つに分けることができる。
- ユーザーの注意を問題となっていることに向け直すもの
- ユーザーに現在地や、どこから来たのか、あとどのくらいの距離を進まなければならないのかを知らせるもの
- どんなことをすることができるのか、それを達成するために利用できる経路や機械や危険性を知らせるもの
情報を知らせるものの仮の一覧:
ユーザーにとっては探究に利用できる。デザイナーにとってはデザインがユーザーに十分な支えを提供しているかどうかを考えてみるための一種のチェックリストとして役立つ。
- 信号
- 状態表示器
- 進捗状況の報告
- 確認
- アフォーディング
- 部分、特性、あるいは配列における不連続性
- 相互に関連のあるもの
- 可能性の地図
- エラーメッセージ
- 取扱説明書
意味の層
違った解釈をもたらし、種類の異なる人々の行為を支えることがよくある。意味が重層的である可能性を示唆する。
例: コピー機
- 製品とサービスが別々に売られて、ユーザーと技術者という区別が生み出された環境で、意味の層という発想が現れた。
- 自動車のオーナーが自分でできることと、専門家が面倒を見なければならないかもしれないことのあいだにある、意味の層に、注意が移った。
- 多数の意味の層を支えている人工物は、異なる視点から見えることをアフォードするだけではない。そのような人工物は意味の層ごとに異なるものになる。
- ユーザーに異なる意味の層を提供する最大の利点は、ユーザーが快適だと感じる意味の層では専門家になることが可能だということ。
- すべての人工物は、異なるときに、異なるユーザーに対して、異なる意味を持つ。
信頼
人工物に頼っているとき私たちは、もはや「どのようにして」という使用法に関する質問を発することはなく、その代わりに、等の人工物が私たちの世界にどんなことをしてくれるのか、使用中にどんなことが起こるのか、ということに関心を持っている。
信頼を評価基準とする概念:
- ユーザーフレンドリーであることの概念
- ユーザビリティーの概念
信頼を獲得することは、人間中心的なデザインが第一目標としていることでもある。インターフェースを有意味なものとし、他の感心事が優先されてインタフェースがユーザーの意識から消えることができるようにすることを目指している。
シナリオ
1. インタフェースが存続している間に何が起こったのか、あるいはどんなことが起こらければならないのか、という人間と機会の相互作用の系列を記述したもの
シナリオを手に入れる方法:ビデオで録画、思考発話、回顧法
2. ユーザーが人工物をどのように使用するだろうか、あるいは使用すべきなのか、について仮説を立て、ユーザーがどんなものを見ることになるのか、そして作業を完了させるためには、どのように対応しなければならないのか、ということに関してのステップバイステップで進む説明を生み出すもの。
シナリオの形
いつでも、最も自然で、したがって信頼できるシナリオは、相互作用の手順の繰り返しで成り立っていて、慣れ親しんでいる原則を利用するか、またはその手順を概念化するのによく使われるメタファーを役立て、それほど考えることなしに実行されるもので、たやすく学習できるようなもの。
典型的なユーザーは神話である。ペルソナの助けを借りる。
- ペルソナはデザイナーが達成したいことに反対するのではないにしても批判的であるように、構成されるべきである。
- ペルソナを用いる概念上の利点は、審美的考察がユーザビリティーという基準に置き換えられることである。
内発的動機づけ
特定の人工物の選択は動機付けで説明できる。
2種類の動機づけ:
- 外発的動機づけは、到達すべき目標、完了すべきタスク、およびうまく完了した場合に与えられえると期待される報酬を示すことによって、行為を正当化する。
- 内発的動機づけは、独自の点から行為を正当化する。この種の動機付けは、外発的な条件とは無関係に、純粋な快楽を指し示している。
内発的動機づけはユーザビリティを測定不可能なほど向上させる
内発的な動機づけはデザイナーが支援できるものなので、意味論的転回の獣妖な目標である。
例: PC、スキー、ゲーム機
内発的な動機づけを成り立たせること
- 有意味な人間−機会のインタフェースに発生する
- 信頼を前提としている
- ユーザーの自立性をかなりの程度に欲求する
- 理想的には全身にわたる多重的な感覚−運動の強調を伴う
- 継続的な学習を欲求する
- 実際に起こる可能性が高いことに対処できるという自身に基づいて発生する
- 観察することができず、実際に体験してみなければならない。
- 明敏な場所と方向に関する感覚を基盤としている。
- 概念上は、自己−閉鎖的である。
- 混じりけのない実在の内部にある。
ユーザビリティのための原則
- 人間中心性
- 意味のあるインタフェース
- 二次的理解
- アフォーダンス
- 制約
- フィードバック
- 一貫性
- 学習可能性
- 多感覚の冗長性
- 変動性–多様性
- ロバスト性
- デザインの委託