既存アプリのUIデザインを紐解こう〜Snapchatはなぜ使いにくい?〜

Mie Kwon
5 min readSep 23, 2016

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世界中の若者の間で流行っているSnapchat。
インストールはしてみたものの、何をどうすればいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
私もその一人で、もう既にターゲットユーザーから遠ざかってしまったみたいで、いまいち馴染めないでいました。

世界でこんなに普及しているアプリなのに、使いづらいと感じてしまう理由はなんなのか。
少なからずその理由にUIが関わってくるはず。改めて、使いづらい理由をデザイナー視点から探ってみたいと思います。

起動画面が自撮りのカメラ

Snapchatの新しいところは、何と言っても「メッセージアプリと思いきや起動画面がカメラ」というところではないでしょうか。

下記のように、他人に何かメッセージを送る時は普通は送る相手を先に選びます。そして、伝えるためのテキストを入力し、必要であれば写真やスタンプなどを送ります。
これが一般的だと考えられていたフローをSnapchatは根本から覆しました。

一般的なメッセージアプリの操作フロー

SNSやメッセージアプリの認識で使おうと起動するや否や、カメラが起動。
しかも自撮りモードで自分の情けない顔が一番初めに見えてしまい、ここで心折れる人も多かったのでは。。

ただ、カメラが起動画面であることで、すぐに写真を撮ることができます。
そして面白い写真が撮れたものなら友達に送って爆笑でき、恥ずかしい写真も10秒で消えるので黒歴史になることもありません。

これらが何を示すかというと、すべてが“瞬間”の出来事であり、アプリを使う上でスピードが命ということが分かります。
そう考えると、面白いものがあった、撮りたいと思ったその瞬間を逃さないためにはカメラがすぐ起動することも納得です。
Snapchatはメッセージを送るためのアプリではなく、“今、この瞬間”を楽しむアプリなのです。

コンテンツが上下左右に配置されている

一般的なアプリは、階層型、平坦型ナビゲーションを用い、進むためには右へ展開していき、戻るためには左に進むといった感じで1方向に展開することが多いです。

階層型ナビゲーションの例

しかしSnapchatは、起動画面がカメラでナビゲーションやタブバーが存在しないうえ、上下左右にタップやスワイプでコンテンツ移動します。

Snapchatの全体遷移

上記のように、俯瞰してみると画面数は少なくて単純そうに見えますが、実際に操作してみると、自分がどこにいるのか何を押せば望みの画面に行けるのかの判断が容易ではありません。

しかし不思議なことに、使っていくうちに最初感じていた使いづらさをどんどん感じなくなり、いわゆる“慣れ”が生じてくるのです。
初心者には不親切なUIではありますが、慣れた既存ユーザーにとってはこれほど無駄を省いたアプリはないのではと思えます。

特殊に思えるこの画面設計も、ユーザーが今を楽しむためにスピードを優先させたからではないでしょうか。
いちいちメニューを開くよりもスワイプ一つで移動できる方が俄然早いのです。

Snapchatは、ターゲット且つ、既存ユーザーに徹底的にフォーカスしたUIなので、初心者や今を楽しむ心を忘れた大人たちは、初見で使いづらいと感じてしまうのではと考えます。

さいごに

iOSならヒューマンインターフェイスガイドライン、Androidならマテリアルデザインのガイドラインに沿った画面設計を心がけることが推奨されている今、多くのアプリはこれらのガイドラインに沿って作られていることが基本です。
そんな基本的な作りに慣れ親しんだユーザー層(いわゆる大人たち)は、特にSnapchatを使いづらいと感じてしまうのではないでしょうか。

目新しいUIを理解できないものとして捉えてしまう人間の心理が働いてしまいがちですが、今一度ユーザー目線で純粋な気持ちで楽しむと、新しい世界が広がります。

いつ何がスタンダードになるかは誰もわかりません。若者向けだからと諦めるのではなく、新しい感覚も常に吸収して進化していきましょう。

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