KPI ツリーコミュニケーションの勧め

KPI ツリーを使って、エンジニアが業務チームの本当の狙いを理解する

Kunihiko Kido
VELTRA Engineering
6 min readDec 26, 2017

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こんにちは、クニです。このエントリーは、今年最後の記事です。今回は技術ネタと言うよりは、コミュニケーションネタです。

VELTRA に入社して、約9ヶ月。事業会社と言うこともあって、開発チーム以外の部署と関わることも多い状況です。また、新しいソリューションを企画・開発する担当と言うこともあり、そのコミュニケーションはとても重要です。ここでのコミュニケーションとは上手に話すとか、そう言う話ではなくて、相手が本当に困っていることを理解すると言うことです。

具体的な機能を求められてしまう

入社してまもなく、カスタマーサービスの業務効率化と言うミッションを達成するために、業務ウォッチをしていました。業務ウォッチをしていて、ヒアリングすると必ずと言って良いほど、「〇〇な機能が欲しい」と具体的な機能を求められてしまいます。

「本当にその機能作れば問題解決するの?」

業務を詳しく知らない私は、こう言う疑問をいつも持ってしまいます。かと言って、カスタマーサービスの業務経験の無い私にとっては、その業務を細かく把握することはかなり困難です。。そのためその意図を把握するのはとても難しいのです。

いつだか誰かに、「子供がハンバーガー食べたいと言って、買ってきたら実はハンバーガーセットについてるおもちゃが欲しかった。」と言う話を聞いたことがあります。

仕事でもよくあるとこですよね。

「実は、ハンバーガーセットについてるおもちゃが欲しかった」これを引き出すために KPI ツリーは威力を発揮します。

KPI ツリーは目的を達成するための地図

KPI ツリーとは、例えば、売上を KGI とした場合、売上を構成する要素を分解して施策が実行可能になるレベルまでブレークダウンした指標の一覧です。

その一覧はツリー形式で可視化され、末端の指標を達成した場合の KGI への影響がわかります。

KPI ツリーをブレークダウンする場合は、四則演算で説明できる要素に分解します。

例えば、上の図では、売上を達成するための指標として、「顧客数」「購入回数」「購入単価」にブレークダウンしていますが、

売上 = 顧客数 × 購入回数 × 購入単価

と言う計算式で説明ができます。

一言で表すと、KPI ツリーは目的を達成するための地図です。

ビジネスモデルや組織が向かってる方向性によって特徴が現れる

同じ売上を達成するにしても、そのビジネスモデルや組織の向かっている方向性によって、KPI ツリーにその特徴が表れます。

例えば、「ロイヤルカスタマー」にフォーカスすると言った方針が計画されている場合、売上を構成するKPI ツリーの「既存顧客」はさらに「ロイヤルカスタマー」とそれ以外の「一般顧客」にブレークダウンされて行きます。

さらに、ロイヤルカスタマーを増やすための指標を考え、それに対する施策を考えていくことになります。

このように KPI ツリーで可視化する事で、その戦略が見えてきます。機能の話だけではなかなか捉えづらいその先の情報を理解することができるのです。

KPI ツリーの頂点はその組織が最も望むもの

組織の大きさにもよりますが、必ずしも KPI ツリーの頂点は「利益」ではありません。会社、部署、チーム、プロジェクトなど組織の単位で最も望むものを KPI ツリーの頂点にしてしまって良いのです。

例えば、業務効率化自動化プロジェクトを例にすると、「人件費」を KPI ツリーの頂点として KPI ツリーを作成します。

頂点の指標は、上位の組織(プロジェクトであれば部署、部署であれば会社)のいずれかの指標と関連している必要はありますが、基本的にはそのミッションに対して、わかりやすい指標をゴールにした方が、関わるメンバーの理解も得やすいはずです。

施策が考えやすい指標まで落とし込む

いきなり、売上を上げるための施策って何か考えられますか?考えられないですよね?少なくとも私は考えられません。

KPI ツリーを作成するメリットは、売上など直接コントロールできない指標をコントロールできる指標まで落とし込んで可視化できるところです。そうすることで、具体的な施策やアクションを考えやすくなります。

具体的な施策を考えるのが難しい指標しかなければ、業務担当者と一緒にさらにブレークダウンして行きましょう。

KPI ツリーはコミュニケーションツール

これまで、業務を担当する部署とのコミュニケーションを色々試行錯誤して、現在は KPI ツリーを使ってコミュニケーションするようにしています。

KPI ツリーを使うことで、業務側の言葉を使って、その全体像を理解した上で、ソリューションを提案できるようになります。

もし KPI ツリーがなければ、その場で KPI ツリーを一緒に書きながらディスカションしていると、自然と機能の話は出てきません。

もし具体的な機能の話になったとしても、「その機能を実現すると何が嬉しいですか?」と言うマジックワードで、KPI ツリーの頂点に話を戻すことができます。KPI ツリーの頂点を意識していない場合でも意識するきっかけになります。

さいごに

いかがでしたでしょうか。

KPI ツリーを使って業務担当者とコミュニケーションすれば、業務担当者にとって当たり前のことも、可視化されてくるため、驚くほどコミュニケーションは円滑になります。

また、具体的な機能を求められてしまう環境から、本当に求められている機能や施策をエンジニアリングチームで企画・開発できるようになるはずです。

エンジニアリングと業務をつなぐ共通言語、KPI ツリー。ぜひ導入してみてください。

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