ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2018日本館

プレスリリースが出ました。福島アトラスも出展!

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南会津の建築家芳賀沼整が立ち上げた私たちのプロジェクトも参加します。青井哲人+NPO福島住まい・まちづくりネットワーク+福島アトラス制作チーム。展示されるのは『福島アトラス01』『福島アトラス02』『福島アトラス03』。まもなく産声をあげる『02』『03』はいま印刷所にいますが、先行してつくった見本刷りが本日貝島桃代さんのカバンに入って日本を発ちました。明日にはヴェネチア入り。

『02』は避難社会とその住まいを問い直しています。NPOの高木さんがつくった仮設住宅団地全プラン・データ集をはじめ充実の(というか脅威的な)コンテンツとなっています。展示されるのは下のドローイング+マップ。ある家族が7年間にわたって転々とした「住まい」のすべてを追跡したもので、「LIVING along the LINES」と題して出展。

『福島アトラス 02 ── 避難社会と住まいの地図集』(NPO法人福島住まい・まちづくりネットワーク, 2018.03)より

一方の『03』は冊子体ではなく、A1サイズ表裏印刷の一枚もの。こちらは篠沢健太さん(工学院大学)と野口理沙子+一瀬健人のおふたり(イスナ・デザイン)が中心になって作成された、ある地域の「3.10」の環境世界を描いた図解ドローイング。地域の方々への聞き取りの積み重ねと、繊細な人間環境構築のリテラシーがこれでもかというほど投入されています。

『福島アトラス 03 ── 避難12 市町村の復興を考える基盤としての環境・歴史地図集』(NPO法人福島住まい・まちづくりネットワーク, 2018.03)より

もちろん『01』から『03』まで、アートディレクション+デザインはすべて中野デザイン事務所。果てしなくおそいかかる難題を見事に解き続けてくださった中野豪雄さんとスタッフの保田さん、西垣さん(昨年の01は小林さん)。そして拡張したプロジェクトの仕上げを優しく追い詰めてくださった編集の川尻大介さん。

ほかにも諸種のデータを整理・提供してくださった方々、インタビューに応じて貴重なお話をしてくださった方々、たくさんの方々の力で福島アトラス・プロジェクトは動いております。うちの研究室の学生さんたちも。この場を借りて心よりお礼を申し上げます。

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青井 哲人 AOI, Akihito
VESTIGIAL TAILS/TALES: aoi's journal

あおい・あきひと/建築史・建築論。明治大学教授。単著『彰化一九〇六』『植民地神社と帝国日本』。共編著『津波のあいだ、生きられた村』『明治神宮以前・以後』『福島アトラス』『近代日本の空間編成史』『モダニスト再考』『シェアの思想』『SD 2013』『世界住居誌』『アジア都市建築史』ほか