福島アトラスがグッドデザイン賞ベスト100 + 特別賞を頂きました。

2018年10月31日発表

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これまで『福島アトラス01』『同02』『同03』をつくってきました。詳しくは上記リンクからクレジットをご覧いただければと思いますが、このプロジェクトは、NPO福島住まい・まちづくりネットワークを事業主体として、建築史・建築計画・ランドスケープなどの専門家、建築設計の実務家、編集者、イラストレーター、グラフィック・デザイナー、そして学生など、多数の人々からなるチームで進めているもので、福島県の〈ふるさとふくしま交流・相談支援事業〉による活動です。そして、取材に快く応じてくださった原発事故避難12市町村の皆様なしには実現しておりません。内容に誤りがあり、お詫びを申し上げたこともありました。すべての皆様に心より感謝し、ご報告する次第です。

昨日(10/31)、福島アトラス・チームの代表として授賞式に出席してきました。じつはあまり仕組みを知らないのですが、セレモニーの前説(まえせつ)によると、応募全4,789点からまず1,353点の受賞作品が選ばれ、そこからベスト100に絞り込まれた後、特別賞31点が選出されています。特別賞の内訳は、金賞19点とグッドフォーカス賞12点。大賞は、金賞のなかから選ばれたノミネート5作品を対象に、投票で選ばれるのだそうです。グッドフォーカス賞には、新ビジネス・デザイン、技術・伝承デザイン、地域社会デザイン、復興デザインの4カテゴリーがあり、それぞれ3点ずつが選ばれています。

福島アトラスが頂いたのは、グッドデザイン賞ベスト100およびグッドフォーカス賞(復興デザイン)です。

今年はほかにベネチア・ビエンナーレ国際建築展2018(5/26〜11/25)への出展、日本建築学会大会2018記念シンポジウムでの紹介(8/5)といった機会をいただいております。さまざまなかたちで注目いただき励みになりますが、「避難社会」(場所から引き剥がされた社会)を生きる方々と対話しながら、原発被災地のこれからの新しい持続可能な生存様式を考えるための基礎資料をつくること、それを地域の方々に届けること、そしてWSなどを通してこれを活用していただくことが、このプロジェクトの目指すところです。まだまだ目標の形には至っていません。

現在、『福島アトラス04』の作成に向けて準備を進めています。明日より葛尾村の取材ですが、NHKのドキュメンター「原発被災地最小の村 —— 福島県葛尾村1945–2017」に出演されている中心的人物に明日会ってお話をうかがいます。この番組、登場する人々が例外なく現実に翻弄されながらも、冷静な歴史観に立って発言しておられ、深い感銘を受けました。

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青井 哲人 AOI, Akihito
VESTIGIAL TAILS/TALES: aoi's journal

あおい・あきひと/建築史・建築論。明治大学教授。単著『彰化一九〇六』『植民地神社と帝国日本』。共編著『津波のあいだ、生きられた村』『明治神宮以前・以後』『福島アトラス』『近代日本の空間編成史』『モダニスト再考』『シェアの思想』『SD 2013』『世界住居誌』『アジア都市建築史』ほか