Mari Yoshitake
Vintage Kitchen
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5 min readJun 19, 2016

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先週のフロリダ・オーランドでの2つの惨劇に胸が痛い。(あまりにも悲しく苦しい事件で心がざわついて、文章にまとまりがないかもしれませんがご了承ください。)

50人もの人がなくなり、53人もの人が病院へ。9.11以来の最悪のテロだと言われている。

犯人はすでに射殺されているけれど、犯行中に警察に電話して、ISISへの忠誠を誓ったりボストンマラソンについても言及したと、発表されているけれど、彼自身がISISのメンバーだとかそういうことは全くわかっていないよう。ただ、2013年、2014年にFBIから事情聴取されていた過去があって、危険人物と思われていたこともあったということをニュースでは何度も繰り返されている。

8年も前に離婚した元妻(結婚生活はたった4ヵ月)は、DVも受けていたし精神的におかしい人でしたなどとコメントしているけれど、精神的におかしい人が、こんな事件を起こせるはずがない。100人以上の人を撃つには、何度も装弾しているわけで、頭がちゃんとしてなかったらそんなことできないと思う。

銃撃のあった場所が同棲愛者が集まるバーであったこと、犯人自身も同性愛者を嫌っていたという証言もあることから、ヘイトクライムだともニュースは報じている。イスラム教では同棲愛は悪だという教えがあるそうなので、過激なイスラム系のグループはSNSにこの犯人を賞賛するようなコメントを出しているよう。自分たちのメンバーの犯行でなくても、こうやって便乗声明を出したりするから、本当のことがわからなくなってしまう。実際にはこの犯人はそういうグループに所属していたとかそういう情報はまだ出ていない。

そして、この事件の前日にも同じオーランドで歌手のクリスティーナ・グリミーさん(22)が、コンサート後のサイン会で射殺された。この彼女はもともとYouTuberでかなりの数のサブスクライバーがいたところに、”The Voice”というオーディション番組でさらに人気が出て、Maroon5のアダム・ラヴィーンの後押しでデビューした女の子。パッションがあって歌もうまくて、本当にこれから、という時だったのに。一発の弾丸が、彼女の人生も夢も、家族やファンの希望や夢も、すべてを奪っていった。この犯人は、反抗直後に歌手のお兄さんにタックルされて押さえ込まれて、自殺。彼自身の命もそれで終わり。こちらの犯人は、狂信的なファンだったようだけれど、犯行の動機はわかっていないよう。

Source: Rolling Stone

本当にどうしてこういうことが起きるのか。

特にゲイバーでの銃撃事件の犯人は、この事件を起こす数日前に銃をいくつかかったようだけれど、セキュリティーガードの仕事を9年も続けていたこともあって、銃を扱うライセンスを持っていたため、アッサリといくつもの銃を買えてしまった。

セキュリティーガード=人やものを守る仕事のための銃のはず。それなのに、なんという矛盾。

もう一つの事件の犯人だって、いくつかの銃を持っていたようで、車にもまだ積んであったらしい。これでわかることは、普通の人のようだけれど、いくつもの銃を簡単に買える状況にあったということだ。

身を守るために、という理由で、銃の保持や携帯を許される法律があるはずなのに、実際に起きるのはこんな事件が多く、犠牲者の方が絶対に多い。

ある調査によると、アメリカでは独立戦争(1775年-1783年)のときから2014年12月までに戦争などの軍事衝突で亡くなった人は約120万人。それに対し銃による死者数が1968年-2014年の間で、たった46年で約150万人。

これが、銃社会であるアメリカの怖さだ。銃があるから人が死ぬ。銃があるから、人を殺したり、自殺してしまいたくなる。

身を守るためであろうとその逆であろうと、引き金を引いたら相手が死ぬ可能性がある、という点では結果は同じ。それなのに、誰でも銃を持つべきだ、なんていう法律がいい法律だとはどうしても思えない。

この事件を期に、改めて各州政府、個人個人が銃規制について考えを深めるべきじゃないだろうか。

そして、最近の銃による事件はヘイトクライムとは背中合わせの問題であることが多いと思う。こういうことが起きると、争いを良しとしないイスラム系の人たちまで一括りに危険視されてしまう。結果、より差別が進んでしまうことになる。

案の定、アメリカのイスラム系の団体は、事件後すぐに、”もう殺し合うことはやめなければいけない。被害者とそのご家族のために祈ります”という犯人の行動を認めない旨を発表した。この事件によって、イスラム系の人たちへの更なるヘイトクライムが起きてしまうことを懸念してのことだ。

1人の人間が起こした事件を、全イスラム系の人のせいにしてはいけない。普通に考えればわかっているはず。

だいたいアメリカでは、グループに所属していたって個人の意見を尊重することを美徳とし、普段から他の人と一緒にされることを好まない人が多いのに、こういうことになると、「悪い人たち」というグループで括りたくなるのは矛盾している。

この事件だって、宗教や民族がどうこういう前に、銃がなければ、ここまでの惨事にはなっていないはず。銃さえもっと規制されていれば、この犯人だって事件は起こさなかったかもしれない。歌手のクリスティーナさんだって、殺されずにすんだかもしれない。

銃がなくても差別やヘイトクライムはなくならないけれど、少なくとも簡単に人は殺せない。生きていればいつか話し合える日が来るかもしれない。希望的観測かもしれないけれど・・・。

テロは怖い。ヘイトクライムも重大な問題だ。でも、今回の事件で話し合われるべき最大の問題は、銃社会アメリカ、だと思わずにはいられない。

銃と隣り合わせの生活に、本当の平和があるとは思えない。

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Mari Yoshitake
Vintage Kitchen

アメリカに移住して丸12年が過ぎました。 その間学校に通い直したり、就職したり、結婚して 旦那さんについてパリに引っ越し。そしてまたカリフォルニアに! 最近は、以前から集めているファイヤーキングなどの ヴィンテージガラスを楽しみながら使ってます。 アメリカ生活、ヴィンテーガラス食器、アレルギーのこと、いろいろ綴ります。