リアクション
リアクションと言えば芸人さん、というくらい、毎日テレビの中では芸人さん達がオーバーなリアクションで番組を盛り上げています。
言ってみれば、リアクションの腕一本で稼いでいるとも言えますね。
リアクション ▷ reaction 反動。反応。
子ども達の世界もリアクションの上手い子は人気者だったりします。
なぜリアクションが良いと人気者になれるのでしょうか。
例えば相手に何かをしてあげた時、はっきりリアクションしてくれると、こちらの意図が伝わったことがわかり、それが良い感情ならば心が通じ合ったような気持ちになり、嬉しくなります。
(本当に心が通じ合ったかどうかはわかりませんが。)
リアクションは私たちのコミュニケーションの重要な道具
のひとつと言えるでしょう。
ところで私は毎日のレッスンはライブだと思っています。
だから一方的に教えるのではなく、双方向で話しあったり、問いかけをしたりしながら進めていきます。
そんな時、とても良いリアクションをしてくれるお子さんがいます。
でも逆にあまりリアクションのないお子さんももちろんいます。
ママ達の目には、リアクションの薄いお子さんより、良いお子さんの方がレッスンをよく見聞きして集中しているように映ります。
レッスンに対しリアクションがなかったり、問いかけてもなかなか答えないお子さんのママは、我が子がぼーっと見ていて何も聞いてないのだと焦り、返事や答えを急かします。
そんな時私はお子さんに「ゆっくり考えていいんだよ〜何か気づいたらまた教えてね。」と声をかけています。
それは決してその場しのぎに行っているわけではありません。
なぜなら、リアクションが薄くて真剣にレッスンを受けていないと思われていたお子さんが、ずっとあとに突然思い出したように答えてくれたり、すっかり忘れてしまっていた以前のレッスンの内容を、事細かに覚えていて思い出して話してくれるからです。
そんなお子さんは、きっとその場ではインプットに集中するあまりに、なんの言葉もリアクションも出て来ないのです。
そんな時私は、こんな風に想像しています。
まるで上等のワインのように、子ども達にインプットされた様々なものが、子ども達の頭や身体全体の中でじっくりと熟成され、ある日突然良い香りを醸し出し始めるのです。
ですからお子さんの外見のリアクションに一喜一憂するのではなく、
この子は必ず大丈夫なんだと信頼して、
自然にアウトプットが始まるのを待ってあげて欲しいのです。
という私も、かつては焦る母のひとりでした。
初めての子育てである長男は、とてもリアクションの薄い子どもでした。
公園ではお友達はみな走り回って遊んでいるのに、我が子は座ってじっと見ているだけの内気な子だったので、なぜみんなと一緒に元気良く走り回ってくれないのかととても残念な気持ちでいました。
また或る子育て勉強会に参加した時、子どもの絵はダイナミックだから大きな紙に描かせると良いと教えてもらいました。
家に帰ると私は、早速クラフト紙を用意して、
「さあ、大きくてダイナミックな絵をどんどん描いてね、なんならはみ出てもママは怒らないから」
くらいの気持ちで長男の前に広げました。
すると長男は絵を描くのは好きなので描き始めたのですが、大きな紙の隅っこに小くて細い絵をひっそりと描いてばかり。
その時私は本当にがっかりしたし、この子は大丈夫なんだろうかと不安になりました。
ある日いつものように公園へ出かけました。
長男はやはり、お友達がみな公園中を駆け回って遊んでいるのには全く関心を示さず、ひとりで砂場に腹ばいになってじっとしていました。
しばらくすると
「ママ〜これ。」
と言って手の中のものを見せに持ってきてくれました。
息子の手の中には、真っ白で綺麗な星の形の砂が数粒握られていました。
公園の砂の中にまさか珊瑚が混ざっていたなんて、これまで誰も気づきませんでした。
ママ友達も「わー綺麗だね、星砂みつけるなんてりょうちゃんすごい!」
そしてその異変を聞きつけたお友達も寄ってきて、みんなで星砂探しが始まったのです。
私はその時初めて、この子はこの子でいいんだ、他の子とは違うけど、この子なりのものの見方や感じ方があって、それを私は信頼すればいいんだと思いました。
細かく描かれた長男の絵を見てママ友曰く
「すごいね!うちの子はこんなにじっとして細い絵なんか描けないよ。」
外見のリアクションに惑わされないでください。
今はなんの反応を見せてくれなくても、子ども達はいつも何かを感じ、気付き学び取っているのです。
私たちおとなはどっしりと構えて子ども達を信頼し、ゆっくりじっくり待てばいいんです。