はしだ くみこ
W.L.S. MOMO
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6 min readOct 8, 2016

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長いトンネル

13年前、たまたま読んだ本にひかれその著者のセミナーにドキドキしながら初めて参加した。そこで初めて脳力開発を知った。

「これだ!これさえあればきっと誰もが幸せになれる。」

そう思って飛び込んだ世界。初めて自分からやりたいと思った。ただの主婦の私にとって初めての世界、初めて学ぶこと、初めて出会うこと、何もかもが新しくて素晴らしかった。

このメソッドさえあれば誰もが幸せになれる。そう直感し、経営などしたことがなかったのに教室を作った。生徒さんはどんどん集まり、にぎやかになった。

ところが、しばらくして誰もがきっと幸せになるはずのメソッドが、上手くいかないことに気がついた。出来る子と出来ない子、他の子と自分の子を比較する親、何が何でも頑張らせる親、親の顔を伺う子ども。

こんなはずじゃなかった。きっと私のやり方が間違っているに違いない。

自分の間違いを何とか正そうと、必死になって勉強した。何か良い方法がないかと探し回った。

その間に尊敬していたお師匠先生が亡くなり、心に大きな穴があいた。何をする気力もなくなった。外に目を向けると、先生が教えてくださった様々な世界が広がっていた。

まだまだ学び方が足りなかったと、先生が教えてくださった足跡を辿るように、外へ学びに出かけ始めた。そしてセルフコーチングと出会い、コーチングの素晴らしさを知った。

子ども達が幸せな社会にするためには、コーチになって私たちおとなの心を豊かにしよう。コーチングを使ってママ達のお話を聞かせていただくと、「先生、ありがとうございます。」「すっきりしました。」「元気になりました。」「やってみます。」

嬉しい反応だった。でもどこかにまだ違和感を感じていた。何かが違う・・・

教室を続ければ続けるほどどんどん心は苦しくなり、それが何かはわからないまま最初に感じていたワクワクする気持ちはいつか失っていった。

いつの間にか教室開室から10年がたっていた。

ラーニング・ファシリテーター

先生と呼ばれていることにずっと馴染めないでいた。

私の父は故郷でずっと教師をしていた。小さな街なので誰もが先生と知っていたし、私は先生の子だった。

それなのにその娘は遊ぶのが大好きで、勉強は大嫌い。と言うかじっとしていられない子だった。集中力がなく、しょっちゅう忘れ物をするやら友達ともトラブル起こすやら、校内では私が知らない先生まで私を知っているほどの問題児だった。

そんな私を両親は教師にしたがったのだが、私は絶対教師にはなれないし、ならないと思っていた。そんな私だったから先生と呼ばれることに居心地の悪さがあったのか。

そんな時、ひょんなことから関大前の《トイカフェ》で行われるマーケティングセミナーに参加することになった。

《トイカフェ》は何とも不思議な場所だった。知っているセミナーハウスとは全く違い、コンクリートの床にむき出しの天井、壁は一面白い塗料で、それはホワイトボードとして使えるそうで、あちこちにマーカーで書くことができた。

テーブルはカフェのようなテーブルが出たり引っ込んだり、椅子もパイプではなく木製の折り畳み椅子が10脚ほど。セミナールームは受講者とスタッフが20人でパンパン状態だった。

何より《といかふぇ》を主催されている亀田先生と、若い社員さん(Tシャツ、短パン)達の醸し出す空気がとてもラフでとても居心地が良かった。そしてマーケティングのセミナーなのに、全くマーケティングらしくない、これまで感じたことのない暖かい空気のセミナーだった。

その雰囲気が大好きになり、次はこんな教室にしたいな~と漠然と思うようになった。《といかふぇ》さんにはちょくちょくお邪魔するようになった。

それから数年、自分の理想の教室を構えるため、思い描いた場所にぴったりの物件が見つかり昨年9月に引っ越しをした。

気持ちも新たに、さあ教室を再開!そうできると思ったのだが、結局自分の中に見つけてしまったどうしようもない、絶対ともに歩むことのできないものとこれ以上居られず、12年間続けて来たブランドメソッドの看板を下ろすことに決めた。

何をしていったら良いか。それでも私を信頼して長い間教室に通ってくださっている生徒さんやそのご家族に何が提供できるのか。ブランドを手放し、まったく手探り状態のまま、厳しい日々が続いた。

そんな中、toiee Lab(トイラボ、トイカフェの会社名)から『ラーニングファシリテーター講座』のお知らせメールが届くようになった。

ラーニングファシリテーターって何だろう?
ファシリテーターってただの仲介役じゃないの?

その少し前、私は『アチーバス』と言う成功哲学のカードを全員で協力しながら揃えていくボードゲームの認定トレーナーの資格を取っていた。

そしてそのトレーナーを続けているうちにトレーナーとはゲームの場を用意し、プレイヤー同士が限られた時間、決められたルールの中で学びや気づきが起きるように静かに、時には場を盛り上げて、成長が最大になるようにする重要な仕事であることに気が付いた。

それは、上から何かを教える先生ではなく、ゲームと言う短い時間の中で起きる人生の縮図のような場面展開を、チームメイトそれぞれの力(長所も短所も)を引き出しながら乗り越えていけるように、そして次々と起こる現象を見守る立場、先生でもナビゲーターでもない、静かなチームのプラスワンの存在と捉え、そこにとても魅力を感じ始めていた。

ちょうど『ファシリテーター』の存在の重要さに気づき始めた時に、toiee Lab からラーニングファシリテーターのお知らせが届いたのだった。なんてタイムリーな!

一も二もなくすぐに申し込み、2016年6月にLFT講座に参加することができた。そしてこれからの時代こそ『ラーニング・ファシリテーター』の重要性を知っただけでなく、自分が本当にやりたかった『学び』の本質=人の能力はどうすれば伸びるのだろうか?の問いの答えにやっと出会えたのだ。

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はしだ くみこ
W.L.S. MOMO

ラーニング・ファシリテーター、コーチ。子どもの頃のコンプレックスから「なぜ人の能力には差があるのか」を追求して来ました。本当に必要なのはメソッドやノウハウではなく”学びが起きる場”そして人と人との有機的なつながり。理想のコミュニティ、ムーミン谷を目指しています。ワンダフル・ラーニング・スペース・モモ代表。