昭和の匂い、そして話

Shuko Ikemura
WANIC
Published in
3 min readFeb 5, 2017

ここのところ、はまっているドラマがある。又吉直樹が著書のNetflixオリジナルドラマ『火花』。
若手コメディアンが頂点を目指すその時代設定が私の年代に近いこともあり、懐かしさがほどよく、忘れた”何か”を取り戻すことができる。どこかで訓練を積むのではなく、大学で知見を広めることもなく、旅に立つわけではなく、ただこの場所で自分という身体一つから表現を探し、そして生み出そうとするその行為が、懿徳なつかしい昭和の所作を感じてしまった。まだSNSもsmartphoneもない、打ちづらい不器用なテキストで友人とやり取りしてしていた、先輩や上司が絶対であり、雑誌に流行が作られていたあの時代。芸人の世界が描かれた….火花の時代設定は2002年から始まる。

Wanicが形になった背景には2つの要因があると考えていて、一つは途上国に適正技術を届けるプロジェクトSee-D contest(現在の代表は、東工大の工学部デザインエンジニアリング博士課程後期に属している田岡さん)と、ビエンチャンでラムを作り続けるLaodiの井上さんの存在なくしては形にすることは難しかったであろうと思う。

201o-11年に行われたSee-D contestで設計されたプログラムデザインの気概がWanicのベースを作っただろうことと、Laodiの井上さんという大きな財産を私たちに繋げてくれたことは感謝しきれないと思う。直接目には見えていないが、そのときスタッフたちは、成功させようと四方三方と駆け回っていた。あのときのスタッフの熱意には本当に感謝したい。

Laodiの井上さんは、塞がっていた私たちに光を指してくれた存在となった。ビエンチャンでラム酒好きを高じてお酒作りを始めたおっちゃんで、広島弁で滑舌な人であり、昭和の匂いがプンプンし、磁石のような吸引力もある。(反対に、寄せ付けない力もあるということにもなるが)プロダクト完成まで、私たちを父親のように面倒を見てくれた。時には、キャバクラで騒ぎ、真夜中まで飲み、父親のように厳しく躾け、近所のおっちゃんのようによそよそしくしてみたり、上司のように企画を全面駄目出しをしてくる。特に、御社の男性陣は本当にお世話になったのではないだろうかと思う。全てに本気で体当たりしてくる姿に、自分自身を恥なかったことはない。井上さんを見ていると、お酒を飲むことがいかに楽しいことか、そして年追うごとにパワーアップしていけるその姿に、日本のおっちゃんたちの誇れる姿を拝むことができた。まだまだ世の中には井上さんみたいな昭和のおっちゃんが沢山いるのだろう。

火花は芸人の又吉直樹が描いた、ただのドラマであり、ノンフィクションでもある。だけど些細な所作から昭和や懐かしさを感じてしまい、ノスタルジックに浸ってしまう。私たちの酒造りは、このドラマで例えたらどこまで描けるのだろうか。

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