2018年1月1日から電子帳簿保存法(スキャナ保存、スマホ撮影)を適用したい人は2017年9月30日までに申請を出そう

北川ワタル
Watald Tribune
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4 min readAug 9, 2017
雑然としたオフィスからの脱却には「スキャナ保存制度」が鍵となる

1.メリットの多いスキャナ保存制度

レシートや領収書、請求書、納品書などを全部スキャンして画像データで保管したいとお考えの方も多いと思います。画像データで保管すれば、小さなレシートを台紙やノートに貼り付けたり、クリアファイルなどで整理したりする手間が省けますし、保管するためのスペースも気にしなくて済みます。

後から書類を確認したくなった際にも、書類の束を一枚一枚めくって探し出すのではなく、日付や金額で検索をかけて簡単に見つけることができるというメリットもあります。ただし、このようなスキャナ保存を始めるためには、電子帳簿保存法などの要件に従い、あらかじめ税務署に承認申請を出しておかなければなりません。

2.スキャナ保存の「失われた10年」

実は、スキャナ保存自体は2005年の税制改正から適用可能となっていました。しかし、3万円以上の領収書などは紙で保管しなければならないなど、使い勝手の良くない制度となっていました。たとえば、東京-大阪間の出張で3万円内に収まった新幹線往復チケットの領収書はスキャナ保存できるのに、東京-福岡間の出張で3万円以上かかった往復航空券の領収書は紙で保管しなければならないという具合です。これでは会社の経費精算も余計に複雑になってしまいます。

そのため、スキャナ保存制度が始まってからの約10年間は累計申請件数がわずか152件にとどまっていました。ところが、2015年の税制改正では、この「3万円基準」が廃止されました。さらに、2016年の税制改正では、スマホやデジカメで撮影した画像でもスキャナ保存制度の要件を満たすようになりました。つまり、出張先の営業担当者が経理部宛てにスマホで領収書データなどを送信して経費精算をしてもらうという処理も可能となったわけです。

【スキャナ保存制度の累計承認件数】(単位:件)※2016年度の数値は2017年11月頃公表予定。

3.管理体制の一部を税理士が担うという特例

スキャナ保存制度は、法人だけでなく、個人事業主でも申請することができます。適用に際しては「適用事務処理要件」と呼ばれる管理体制を整える必要がありますが、小規模企業の場合は「税理士がチェックすることでOK」という特例が設けられています。

【国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請書】(写真は1枚目のみ)

この制度を始めるためには「スキャナ保存の承認申請書」を適用開始の3か月前までに提出しておく必要があります。たとえば、2018年1月1日から適用したい場合には、2017年9月30日までに提出しなければなりません。

申請書類の作成などは北川ワタル事務所でもサポートさせていただきます。ご質問などあれば、Facebook、twitter、HPのメールフォームなどから、いつでもお気軽にお問い合わせください。

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北川ワタル
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公認会計士/税理士/株式会社ダーチャコンセプト代表取締役。最近の興味は仮想通貨、クラウドセール、ICOにかかる会計処理、法人税、消費税、所得税、相続税の取扱い。仮想通貨の民事信託、現物出資、デューデリジェンス。仮想通貨交換業にかかる登録、帳簿書類および報告書の作成、財産の分別管理、それらにかかる公認会計士の監査など。