AVICII『AVĪCI 01』:帰還を告げるアコースティック・ギターとシンセサイザーと歌声の三角形

fujiokashinya
We Love EDM
Published in
Aug 31, 2017
AVICII’s new EP “AVĪCI 01”

AVICII(アヴィーチー)が2016年でライブ・パフォーマンスを休止するという報せを聞いたとき、とても驚きました。音楽活動そのものからも離れてしまうのかもしれないと思いましたが、それは杞憂と終わったようです。この夏、突如としてカウントダウンがコールされ、AVICIIの新作EPが発表されました。EPは『AVĪCI 01』と題し、5曲の新曲と1曲のリミックスで構成されています。聴かない理由はどこにもありません。

『AVĪCI 01』で印象に残るのはアコースティック・ギターの音です。すべての曲で鳴っているわけではないのですが、アコースティック・ギターを抱えるAVICIIの姿をよく見かけることもあり、彼の音のイメージの一翼を担うようになっています。デビュー作『True』、2枚目の『Stories』でもアコースティック・ギターが随所に使われています。

EDMの中でも、AVICIIは音の重ね方がシンプルな方だと思います。音が乱舞するダブステップのようなサウンドとは異なる、パズルのピースを組み合わせたような、整ったサウンド。さらに厚みもあり、それはひとつひとつの音の密度が大きいからでしょう。芯のあるキックとベースが鳴り、そこにキャッチーなフレーズを奏でるシンセサイザーが加わります。

AVICII: Friend of Mine [feat. Vargas & Lagola]

EPに収録されている曲の中から好きな曲をひとつ挙げるとすれば、僕は「Friend of Mine」を選びます。カウントダウンの始まりを告げるAVICIIのツイートに添付されていて、それを聴いた瞬間に気に入りました。新作のリリースというニュースだけで高まった期待が、沸点を超えるようにさらに高まりました。フルで聴いてもっと好きになりましたね。

「Friend of Mine」はアコースティック・ギターの心地好く、軽やかな音で始まります。牧歌的というべきか、心をほぐしてくれます。そこに歌が乗り、フォーキーな雰囲気が漂います。そして歌に誘われるように、他の音が生まれ、集まり、重なります。中でもシンセサイザーは丸みを帯びた太い音を鳴らし、インパクトのあるフレーズを繰り返します。シンセサイザーで描くメロディは、口ずさみたくなる、いわゆる「シンガロング(sing-along)」したくなるような快感を得られます。ボーカルに合わせて歌うように、シンセサイザーに合わせて歌いたくなる。

フィーチャリング・アーティストとして参加しているのはVargas & Lagolaというデュオです。メンバーのSalem Al Fakir(サレム・アル・ファキール)は、『True』に収録された「You Make Me」にも参加しており、AVICIIサウンドと相性のいい歌声といえるでしょう。「Friend of Mine」で披露されている歌を聴いて、気持ちよく晴れた青空や、心地好く吹き抜けるそよ風を僕はイメージしました。とても楽しく、穏やかな気持ちになれるメロディを届けてくれます。

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fujiokashinya
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